『ピンポン』 松本大洋原作 宮藤官九郎脚本 曽利文彦監督作品
昨日のおススメは芝居が原作の映画。今日のはマンガが原作。映画は映画として撮られる場合もありますが、日本の場合、どうしても原作ありきが多い。これは現在の日本映画界の状況からして仕方のないことであります。興行的にはそうならざるを得ない。
では、純粋に映画を創るという行為で考えた時、原作ありき型ははたして成功への近道なのでしょうか。答えは…。
この『ピンポン』という映画、手元にDVDがありながら、結局昨日テレビで観てしまいました。で、感想というか印象ですが、まずは面白かった。昨日の『笑の大学』とほぼ同レベルで楽しめました。昨日のは昨日書いた通り、非常に芝居じみており、そういう意味では「映画」を観たなあという感慨にはふけることができませんでした。こちら『ピンポン』はどうだったかというと、やはり「映画」を観たなあ、は味わえなかった。しかし、面白かった。う〜ん、ここなんですよ。気にかかるのは。映画館で観たわけではないので、たいそうなことは言えませんけれども、やっぱり「マンガ」だった。
実は、松本大洋の原作コミックも読んでません。つまり昨日と同じ状況。だから、またもや比較できません。しかし、だからこそ純粋に「映画」としての査定もできる。無理やりこう言っちゃいます。
それにしても見事なキャスティングと演出だと思います。ここまでよく映画という技法でマンガを描けるなあ。正直びっくりですし、目からウロコものです。まさにコミカルな役者陣(窪塚洋介、ARATA、中村獅童、大倉孝二、竹中直人、夏木マリ…たしかにマンガだ)と演出。見事です。
でも、でもですねえ、映画がマンガに追いついてどうしようと言うのでしょう。映画的なんていう言葉はもう死語なんでしょうか。なんとなく不安になります。これで邦画にも活気が出てきた、なんて言えるのでしょうか。
昨日の作品も、結局は映画の中で芝居をやってみました、くらいに思えてきてしまう。それは、マンガより芝居より多くの人に観てもらえるでしょう。お金もどっさり入ってくるでしょう。でも、それじゃあやっぱりテレビと同じになってしまいますよ。映画というジャンルはもうないのでありましょうか。単なる映画館で観る(またはディスプレイで観る)マンガや芝居や小説や…。
十分楽しんでおきながらこんな苦言を呈するなんて、まったくもって性格が破綻している、と自分でも思うのですが、いちおう邦画ファンの私としてはちょっと小言を言いたくなるのですよ。まあ親心でしょう。
というわけで、冒頭の問いに対する答えは…原作ありき型で「映画」を創るのは非常に難しい。原作をぶちこわすくらいのパワーがないと、結局、○○(原作)とその周辺展(於映画館)みたいになってしまう。実際原作をぶっこわして名画となったものもたくさんあります。破壊なくして創造なし(橋本真也)。私が今まで紹介してきたものの中にもありますよね。
でも、それが興行的に成功したかどうかは別問題…というところが本当の問題なのでありまして、それはエンターテインメントやら芸術やらが持つ永劫尽きぬ苦悩なのでありました。ああ、良かった。創り手じゃなくて。
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投稿: みんなのプロフィール | 2005.07.13 21:09