ドラマ『電車男』
ELO関連で、放映前にこんなこと書きました。放映が始まりましたが、ウチはフジテレビをキレイに受信できない環境でして、結局第1話は砂の嵐の中、2話3話は生徒に録画してもらったDVDで観ました。結論から申しますと、大変に感動したので、第4話は工夫に工夫を重ねて、なんとか自宅でリアルタイムで観ることができました。なせばなる。
昨年原作を読みながら涙する私を、なかばバカにしたような目で眺め、私がいくら本を差し出して、読んでみな、これは感動するし、新しい文学の到来だよ、と言っても、一向に興味を持たなかったカミさんが、今は食い入るようにテレビを見、大好きな睡眠を削ってまで原作を読んで泣いています。
というわけで、極私的思い入れたっぷりの感想をちょっと。
まずオープニングから行きましょうか。私はもうトワイライトがかかるだけで泣けます。青春時代を思い出すのかな。笑い声がフェードインしてくるだけでウルウル。ベヴ・ベヴァンのドタバタドラムでもうノックアウトです。アニメもそんなにひどいと思われません。あの時間帯のドラマのオープニングがアニメであるというだけでも画期的ですよ。DAICONのパロディーでいいんじゃないですか。トワイライトとも意外にマッチしてるし。
さて、内容の方ですが、原作との差別化も含めて、脚本・演出が秀逸であると思います。毎回、笑いと泣きの要素を上手に織り交ぜていますね。コテコテであるけれども、基本に人の温かさがあってよろしい。2ちゃんって意外にそういうところですし。
その2ちゃん上のやりとりをどのように再現するかというのが大きな課題であったと思いますが、なかなか上手にこなしていますね。2ちゃんリテラシーを知らない人も、知ってる人も、それぞれ楽しめるのではないでしょうか。もちろんデフォルメされておりますが、住人たちもそれぞれ魅力的ですし、(実のところ)彼らが持っている内面の明るさ(ユーモア)もうまく表現されているではないでしょうか。
私とカミさんの共通した意見なのですが、ここで描かれている男と女の心理状況にはかなり普遍性がありますね。一見、特殊な状況のようにも感じられますけれど、実はどんな男もあんなふうに自信がなく、人生においていくつもチャンスを逃しそうになる、女も結局は外見ではなく、人柄(たとえば誠実さ)で男性を選びたい。太宰治的に言えば、全ての男性には一人電車男がすんでいるし、全ての女性には一人エルメスがすんでいるということです。
このように、実話(としておきます)が寓話として機能する、それもインターネットという媒体でその寓話が無自覚的に形成されたということ、それはやはり、それを好きか嫌いかを別として歴史的なことだと思います。
今日、生徒と解いた現代文の問題は、西村清和さんの「同調のメディア」からの出題でした。西村さんはネットの掲示板などのメディアの限界について語っておられる。個人から遊離した文字により、合意を目指すのではなく単に「つながっている」ことを確認しあう、チューニングであり、モノローグである、と。しかし、そういった多くの人々の予感を、簡単に、それも恣意的でない形で乗り越えてしまった。そういう物語が、こうして誕生したわけです。特殊性どころか、普遍性までをも感じさせる物語が。そして、さらに、マンガや映画やテレビドラマや演劇という古典的(!)メディアにまで形を変え、成長していく。う〜ん、やはり奇跡は起きた。
な〜んて、私がこれほど感情移入する理由がカミさんの一言でわかりました。カミさん曰く、
「なんか電車男って○○さん(私の名)に似てる…」
と。なるほど、そう言えば見た目も似てるような。そしてそれ以上に…。
と、と、とにかく今後の展開に期待しますです…はい、すみません。
ps 今日の夜中BS2でELOのライヴやりますよ!
| 固定リンク
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- QRコード(2019.10.21)
- 中田敦彦 〜5G時代の最終兵器「ブロックチェーン」(2019.10.17)
- 中田敦彦のYouTube大学 「古事記」〜最終話〜日本人が知らない空白の歴史に迫る!(2019.10.15)
- 祝! 吉野さんノーベル化学賞受賞(2019.10.10)
- オルフィス FW5230Ⅱ (理想科学工業)(2019.10.03)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『若者のすべて フジファブリック 志村正彦がのこしたもの』(NHK甲府 ヤマナシクエスト)(2019.12.13)
- 祝! 松田龍平 最優秀男優賞受賞(2019.12.11)
- 雪村いづみ&キャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫)(2019.11.29)
- ユーミン,ムッシュ with Tin Pan Alley(2019.11.28)
- 藤圭子・尾藤イサオ・白井貴子 『ビートルズメドレー』ほか(2019.11.27)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 『若者のすべて フジファブリック 志村正彦がのこしたもの』(NHK甲府 ヤマナシクエスト)(2019.12.13)
- 日本人は物語教徒!?(2019.12.12)
- 祝! 松田龍平 最優秀男優賞受賞(2019.12.11)
- 坂口孝則×モーリー・ロバートソン 『あの日のインディーズバンドの話の続きをしよう』(2019.12.10)
- 出口王仁三郎 『瑞能神歌 一人百首かるた【百鏡】』(2019.12.07)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 『若者のすべて フジファブリック 志村正彦がのこしたもの』(NHK甲府 ヤマナシクエスト)(2019.12.13)
- 『あらすじで読む霊界物語』 飯塚弘明ほか (文芸社文庫)(2019.12.08)
- 出口王仁三郎 『瑞能神歌 一人百首かるた【百鏡】』(2019.12.07)
- まじ、つらみ…(2019.12.04)
- 読解力の低下=◯◯◯の増加?(2019.12.03)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 『若者のすべて フジファブリック 志村正彦がのこしたもの』(NHK甲府 ヤマナシクエスト)(2019.12.13)
- 『時間は存在しない』 カルロ・ロヴェッリ ・冨永 星(訳)(NHK出版)(2019.11.24)
- 祇園祭と富士山の噴火(2019.10.18)
- ザ・ビートルズ 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・バンド』(2019.09.08)
- 「夢カンタービレ コンサート」より藤田真央(ピアニスト)(2019.08.29)
コメント