エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO) 『ベリー・ベスト・オブ・ELO』
Electric Light Orchestra 『ALL OVER THE WORLD』
やっぱりこの問題については、一言コメントしておきましょう。
ELOというバンドが、いかに私にとって大切かは、こちらやこちらで書いてきました。そのELOについて、今日こういう形で語ることになるとは、夢にも思っていませんでした。
まず、私の姿勢を明らかにしておきます。今回の事態、私は大変に嬉しく思っています。昔からのファンの方々の中には、許せない、切ない、などというペシミスティックな意見が多いようですけれども。
今回の事態、というのは、今月8日から始まるドラマ「電車男」のオープニングテーマにELOの「トワイライト(Twilight)」が選ばれたという事態のことです。
正直、なぜ「電車男」に「ELO」なのか、私にもわかりません。おそらく深い意味はないと思われます。あのドラマにフレディー・マーキュリー(クイーン)だったというのと同じくらいに。まあ、いろいろな意味で貧窮した音楽界にあって、過去の大物をリバイバルヒットさせることは、商売の上ではとても重要なのでしょう。実際、7月20日には、タイトルにあるベストアルバムが発売されます。はたして、二匹目のクイーンになれるのか。ちょっと厳しいだろうな。
いずれにせよ、こういう売り方に反感を覚える方もいらっしゃるでしょうね。しかし、もともとELO自体が非常に商業的なバンドであった、そしてそういう音楽のあり方も正常だと思う私は、それほど違和感を抱きません。ただ、どうなんでしょう。その器が「電車男」だったから許せないという人もいるのでは。
私はこの点に関しても、難なくクリアです。何しろこんなこと堂々と書いていますから。でも、ここで書いたことは、いちおう文学やら言葉やらの畑で働く者としての偽らざる印象ですし、また、そこには音楽界同様あまりにも魅力を欠いた文学界に対する、皮肉やエールが込められているのも事実です。
そんなこんなで、私の大好きなこの二つの作品が、逼迫した現代のエンタテインメントに対する起爆剤にでもなってくれれば、ハッキリ言ってこんなに喜ばしいことはありません。もちろん、このドラマによって「電車男」の原作?を読みたいと思ったり、ELOってなんぞやと思ってくれる若者やらオジサンオバサンやらが出てきてくれれば、よっしゃ!って感じですよね。特にELOは日本で不当に低い評価しか得ていませんから。音楽界の職人さんたちに対しては、「影響」という形で多大な功績を残していますけれど。
ちなみにその「トワイライト」ですが、これは間違いなくロック…じゃないな、ポップス史上に残る名曲ですよ。ELOの曲の中でも最も好きな曲の一つです。マニア的にはいろいろ微妙な時期の作品ではありますが、ジェフ・リンの非凡な才能が、非常にわかりやすく開花しているという意味では、全楽曲中随一の存在感です。今までも、時々テレビで流れてきました。さりげなくBGMとして使われたり、NHKで子どもが歌ったり。今回の事態をきっかけに、私も改めて何度か聴いてみました。やはり名曲です。そして、先ほど生徒たちに特別先行サービスとして聴いてもらいました。で、生徒たちの率直な感想は、「電車男って感じじゃな〜い」でした。やっぱりね。
あっ、そうだ。ウチはフジテレビ映らないんだ。肝心なこと忘れてた。音だけは聴けるので、まあいいか。
Amazon ベリー・ベスト・オブ・ELO
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コメント
なぜ、「トワイライト」?
との問いかけに、僕の考えを述べさせてもらいます。
電車男イコールオタク、ということで、創世記である1983年の第22回日本SF大会オープニングがこの「トワイライト」だったというのが、ポイントだったのではないでしょうか。
アニメーションもそこはかとなくモチーフにしたんだなと感じられるところです。
投稿: Gon | 2005.07.09 02:37
Gonさま、コメントありがとうございます。
DAICON4 OPENING ANIMATION ですね。
記事では「深い意味はない」と書きましたが、
私も放送を見て、やっぱりそうかと思いました。
私はDAICON自身の価値を高く評価する者ですので、
もしそういうことであれば、なんとなく嬉しくもあります。
今考えれば、あのアニメから始まった…。
これによって、ELO=オタクというイメージになることを憂慮する向きもあるようですね。
でも、ELO=ジェフ=オタクって、事実じゃないでしょうか(笑)。それもまたよし。
最近オタク文化やら「萌え」やらを研究している私にとっては、実に興味深いことです。
私のように、ELOも電車男もDAICONも大好き!という人はあんまりいないようですけどね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.07.09 07:06
あっ、上のジェフ=オタクっていうのは、広義のオタクですよ。
まあ、音楽オタク、レコーディングオタクでしょうか。
もちろんほめ言葉です。誤解なきよう。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.07.09 10:40
電車男でトワイライト聞いて懐かしさで当時を思い出しました。タイムを買ったのはたしか24年くらい前ですかね、最初に買ったアルバムなので一番気に入ってます。いま聞いても未来のきょくですね。
投稿: マッコイ | 2005.07.18 09:46
マッコイさん、コメントありがとうございます。
そうですね。今回のことがきっかけで、久々にタイムも聴いてみました。
とても20年以上前とは思えませんね。
Amazonでも、タイムはよく売れているようです。
やっぱり、ELOファンにとって、電車男には感謝ですよ。
ドラマじたいもなかなか高評価のようですし。
私は明日、初回と第2回をみる予定です。
ウチはフジテレビがちゃんと映らないので(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.07.18 11:56