Salyu 『landmark』
昨年度のワタクシ選定のベストソング賞を受賞したSalyuのデビューアルバム、早速聴いてみました。久々にお見事な音楽に出会いました。
う〜ん、やっぱり小林武史は職人ですねえ。そつがない。はずれがない。そして新鮮な発見がある。そうですねえ、ビートルズのアルバムを聴いた時のような感じでしょうか。実際ビートルズがベースですし。
昨日、ラジオでJ−POPのtop20をやってまして、カミさんと聴いていたんですよ。途中まで。あまりにひどすぎて気持ち悪くなってしまい、スイッチを切っちゃいました。hip-hop系、ラップ系か素人バンド系のどちらかしかないんですから。前者は言うまでもなく、後者も昔の曲の焼き直しみたいなのばっかりで、ちっとも新しくない。コード進行には限りがありますから仕方ないとしても、そこに乗せるメロディーのセンスがなさすぎる。何度も聴こうとは絶対に思わない曲ばかりでした。ラルクだけは許せたかな。
スイッチを切った後、カミさんと私は歌本をひっぱり出してきました。今度、アイドルバンドをやろうと画策していまして、何をやるか選曲するためです。歩くカラオケと言われる?うちのカミさんは70年代、80年代の歌謡曲や演歌など、ホントに端から唄えます。で、端から唄ってたわけですけど、ものすごくメロディーがいいんですね。それでいてそれぞれ信じられないほど個性的。似た曲がないんですよ。あらためて黄金期の歌謡曲の作曲家(作詞家も)のすごさに脱帽…とともに現状に落胆。
そんなタイミングでしたので、このSalyuと小林武史のコラボレーションにはホッとしました。完全にトラディショナルなスタイルでありながら、全曲新しさがあり、また聴けば聴くほど味が出るのです。アレンジから曲順に至るまで、ホント非の打ち所がありませんね。特にそのメロディー。小林さんお得意の生きもののように波打つ旋律。時々コードもはずしてくるんですけど、彼の真骨頂は普通のコード進行に今までにないメロディーを乗せる瞬間ですね。瞬間というか全編そういう感じです。そこがビートルズっぽい。
基本はロックですが、Salyuの無二の声のおかげで、不思議な響きになっています。彼女はちょっと物の怪チックですね。もちろんほめ言葉です。ちょっと暗めで重いロック、渋いブルース、ゆらめくバラード、明るく突き抜けたポップス、それぞれ見事に歌いわけつつ、統一感がある。きっとライヴもいいでしょうねえ。
なんか、とりとめもないことばかり書いてますが、本当にいいものはなかなか批評しにくいんですよ。理屈抜きにいい音楽というわけです。その魅力を言葉で伝えられないもどかしさ。まあ、とにかく買って聴いて下さい、ということです。久々の名作。
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