『納豆大全 愛すべき伝統食品の謎を解く』 町田忍 (角川文庫)〜萌え論再び
面白かったあ。納豆が好きだ!と豪語しつつ、ホント知らないことばっかりでした。
筆者の町田さんは、納豆のあのパッケージを3千以上集めておられるそうで、世の中にはそういう奇特な方がいらっしゃるんだと、まず感動。考現学の実践者ですね。今和次郎の正統的後継者の一人とお見受けしました。
こういうのって、フェティシズムでは片づけられないわけですよ。単なる蒐集癖でもない。私の最近のはやりで言えば、これこそ「もののあはれ」なんですね。つまり、時間的変化(無常)も含めての対象への愛情。これは男が得意とする分野です、実は。
女性は反対に即時的、即物的なんですよ。今が大切なんです。「をかし」です。この前「萌え」=「(例えば枕草子の)をかし」と書きました。かなり反響があってびっくりしたんですけれど、「萌え」って、実は女性的な感情なんですよね。刹那的なんです。対象に永遠性(非無常性?)があるんです。刹那しか見ないから変化しない。つまり、生身の存在ではなくて、フィギュア的存在なんです。現代における男性の女性化がもたらした新しい文化。古来続いてきたけれども、ここに来て担い手の性が交代した文化。
おっと、話がそれた。納豆でした。え〜と、とにかく、この町田さん、古来の男の道を行っています。つまり、愛する対象が生きている。生きているから重い歴史がある。深い思想がある。根拠がある。そう、納豆菌のごとく、常に増殖し続ける愛。かっこいいですね。
とにかく愛する納豆を、栄養学的、医学的、歴史学的、考現学的、食文化的見地から徹底的に料理しております。そして、ただそれだけにとどまらず、納豆にかかわった人々の、古今東西にわたる心温まるエピソードが満載でして、それをまた実に洒落た文体で記しておられる。これは名著ですね。死なばもろともとまで言わんばかりの激愛ぶりです。やっぱり人生かけた愛がなければ、いい文書けないですね。
最後の方に、家庭での納豆の作り方が載っています。私も大学時代、お風呂に浮かべて大量の納豆を作ったことがあります。なんだか、納豆菌が繁殖したのか、腐敗菌が繁殖したのか、よくわからん味になったのを思い出しました。で、そんなことを思い出したら、急にまた納豆を作りたくなっちゃいまして、先ほどいろいろと道具やら材料やらを買ってきちゃいました。よ〜し、やるぞ〜!
その顛末はまた後日。
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