妙法山 正眼寺(岐阜県美濃加茂市伊深)
さて、本研修旅行のメインイベント、正眼寺参拝であります。正眼寺さんの現住職でいらっしゃる山川宗玄老師は、我が校の名誉校長先生でもあられます。そんなご縁で、毎年3年生は、ここ伊深の地を訪れます。
飛騨から美濃へ通ずる新しい高速道路から見る山々の美しいこと。若葉の季節を少し過ぎ、人で言う青年期のような活力にあふれる緑たち。広葉樹と針葉樹の絶妙のテクスチュアに思わず嘆息。文明的な高速道路さえ、その豊かな自然に溶け込んでいくようです。
真新しいインターチェンジを降り、しばらくのどかな丘陵を行くと、おだやかな山々に抱かれて正眼寺があります。
正眼寺さんは、京都の妙心寺、つまり臨済宗妙心寺派の大本山の開山でいらっしゃる関山国師慧玄大和尚(無相大師)さんとたいへんにゆかりの深いお寺さんです。今日の老師のお話によると、悟りを開かれた慧玄さんは、自らの光をあえて消すために、この深山にお隠りになったそうです。人は偉すぎると、人を寄せつけなくなる。人に尊敬されるだけでなく、懐かしまれる人にならなければ。そのためには「徳」が必要である…老師の短くも要を得たお言葉に自ずと首肯かれます。
ここ正眼寺は、雲水たちの道場としても有名です。厳格さにおいてはこの世界で三本指に入るとか。そうした、一種張りつめた空気、これが禅風なんでしょうか、そういった気をゆっくり吸いながらの坐禅は、短時間とは言え、私にとっては格別の味がありました。一瞬で再生。本当のリクリエーション。
坐禅のあと、若い雲水さんの案内で、簡単に堂内の説明を受けました。担当の雲水さんの飾らないまっすぐな言葉が、生徒たちの胸に響いたようです。こうした現代において、自分と自分を構成する縁について考える、いや考えるんじゃないな、とにかく無心で向き合う。そんな姿に、私の出家願望もピークに…しかし、そんな勇気はなく、まあせいぜい野狐禅を究めようか。いや、禅は坐らなくともできる。私は私流でやっていきましょう。ただ、求めるものは、「徳」でありたいですね。
本尊の裏側に安置されている、開山や、その法を嗣いだいわゆる四派高僧の頂相彫刻も拝見しました。美術的な観点からも非常に優れた像であるとお見受けしました。贅沢な経験でした。ありがとうございました。
さて、最後に一つ、ゆかりのあるお話を。おそらく、正眼寺関係の方も、あるいは妙心寺関係の方もご存知ないと思われるのですが、実は、我が校の母体となっている月江寺関係の古文書(いわゆる富士古文献・宮下文書)によると、慧玄さんは大徳寺に入る前、こちら富士北麓で修行されたことになっています。さらに、その後も富士北麓を再訪し、妙心寺二世授翁宗弼と再会する…こんなドラマが展開するのです。お墓も富士吉田市明見にあります(!)。記憶が定かでない部分もあるので、今日の夜、家に帰って繙いてみますね。
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コメント
WEB上をウヨウヨしていましたら、こちらに辿り着きまして、
6月8日分を読みましたら何とも気になる文面・・・
臨済宗だの我が校の名誉校長だの・・・。
で、筆者紹介を見てみると
知った名前がありました。
バイオリンを弾くアノ方ですよね?
私は以前、同校のブラスバンド愛好会に
所属していたものです。
名前は・・・ナイショ!
目が大きくて、今の制服の前の
紺のブレザー時代の生徒です。
なんだか急に懐かしくなって
書き込んでしまいました。
私も、上記アドレスでブログ始めました。
もしオヒマでしたら見てください。
では・・・。
投稿: 一応・・・教え子です | 2005.06.17 15:47
あらまあ、おひさしぶり。10年以上ぶりだな。トランペットだよな。
ネットは面白いね。どうやってたどりついたんかな。この渋い記事に。
元気そうでなによりです。ブログ読ませていただきます。
私はあいかわらずこんな感じでマニアックに生きてますよ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.06.17 19:31