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2005.06.11

『絶対少年』(NHKBS2アニメ)

okaka NHKBS2「うる星やつら」の前枠で放送が始まったこの作品。脚本は、うる星で脚本家デビューを飾った伊藤和典さんです。伊藤さんの最新の作品と最古の作品を続けて見ることができる貴重な時間帯というわけです。
 私は伊藤さんの作品をほんの少ししか知りませんが、デビュー作にしてすでに卓越した言語感覚を示していると思います。うる星は原作と比較しながら観ています。そうすると本当によくわかるんですよね。高橋留美子さんを軽く凌駕する言語センスの持ち主であることが。作家さんとして、語り手として本当に尊敬しています。
 そんなわけで、先月始まったこの「絶対少年」、大変期待しておりました。そして、今日で4回分放送されたわけですけれど、結論から言うと非常に興味深い作品となっていますね。それは伊藤さんの言葉にとどまらず、彼や監督の望月さんらの総合的な「物語観」とでもいうのでしょうか、メディアとしての全体像がとても古くて新しく感じられるのです。
 ジャンルとしてはいわゆるファンタジー系と言うのでしょう。その意味では非常に普通なアニメであると思われます。しかし、何というか、時間の流れ、空間の流れ、言葉の流れ、いや、流れではないな、よどみですな、それがアニメ初心者の私には、非常に興味深く感じられます。言うなれば小津映画のような世界。淡々と日常を装った非日常。私はこういうよどみがとても好きなのです。
 吉田喜重的に解釈すれば、「見せるアニメ」ではなく「見られるアニメ」になっていると言えるのではないでしょうか。御覧になった方はお気付きでしょうが、全体の色彩がかなり渋めです。彩度が低い。もちろんそういう色指定をしているわけでしょう。それはたぶんNHKだからできることだと思います。私はこの色合いを見て、ミュシャを思い出しました。ストーリーのテンポもかなり遅い。いやテンポがないような感じがします。表現技法としては、あえてアニメ的でない方法をとっているとも言えましょう。
 これからの展開に期待しましょう。単純に猫(オカカ婆)がカワイイというのもあります。音楽も静かで良い。あと、これは書くべきでしょうか、結構エロチックなんですよね。田舎の風景に溶け込んだ土俗的なエロチシズム。これは「物語」の伝統とも言えますね。仮面ライダー響鬼もそうですけど、ニッポン回帰ブームなのかなあ。私としては非常に嬉しい傾向ですなあ。というか、作り手の世代が自分と重なってきているということですかね。

絶対少年

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