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2005.06.10

Hyde 『ROENTGEN』

B000062VER 今日は甲府へ出張でした。行き帰りの車の中で、このアルバムを3回聴きました。
 誰から借りたかわからないのですが、借りっぱなしになっていて、聴いていなかったこのCD。なんとなく思いついて車に持ち込んだのでした。
 Hydeさんは、もちろんラルク(L'Arc-en-Ciel)のヴォーカリストです。彼のソロ・アルバムということです。ラルク自体、私はけっこう高く評価していました。演奏の実力はピカイチですし、Hydeさんの甘美なヴォーカル、そして何と言ってもkenさんの作曲能力ですね。ハイスピードなロックにメジャー7thコードを多用し、オシャレな新しい響きを発明したと思ってます(ちょっと大げさかな)。そんなラルクの顔、Hydeさんのソロ・アルバムはどんな具合だったでしょう。
 本当は1回聴いていいにしようかと思っていたのですが、つい3回聴いてしまいました。想像していたよりも良かったからです。最初はちょっと気恥ずかしかった。よくあるパターンに陥っていたからです。海外で録音、バンドの音楽との差別化、曲想のパターン化、ゴージャスなストリングスやらホーン類、ハープやバンドネオンまで…。いかんかなあ、と思いつつ聴いていると、そんなやや過剰な演出の中から、Hydeの美しい声が浮かび上がってくる。
 ホントにこの人はいい声してますね。日本のロック・ヴォーカリスト御用達の、あのシャクリは正直好きではありませんけど、低音からファルセットまで実につややかなHydeの声は、確かに魅力的です。特に、バンドの中では目立たなかった低音。非常に深い表現を実現しています。英語もなかなかお上手ですよ。
 楽曲は非常にシンプルです。ある二つの和音の間を揺りかごのように行き来する、そんな感じの曲がほとんど。テンポも比較的ゆったりなものばかり。ですから、ラルクを期待して聴いた人はがっかりでしょう。そうでなくとも、ちょっと飽きるかも。しかし、こういう飾らない内省的な曲は、聴けば聴くほど味が出るもの。吉井さんの場合もそうでした。
 美しい曲が並ぶ中、私が非常に気に入ったのは、7曲目のNEW DAYS DAWNですね。まるで初期のELOです。あの時代のロンドンの臭いがプンプンします。たぶん、この曲だけは好きになれない、っていうHydeファンもいることでしょう。でも、私は、この曲がなかったら、このアルバムをおススメしなかっただろうなあ。きっと。

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