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2005.05.21

黒川ひとしピアノ五重奏団 結成五周年記念リサイタル

sa011 都留のうぐいすホールで黒川クインテットのコンサートを聴いてきました。
 黒川均さんは私の人生を変えてくれたミュージシャンです。御本人はそんな意識はお持ちでないと思いますが、そこがまた黒川さんらしいところです。人を動かすなにかをお持ちなんです。
 私ごとではありますが、20年くらい前、大学の構内で黒川さんに声をかけられたことで、私の人生は決定しました。あの時、彼が私に声をかけてくれなかったら、私は今の職場にもいなかったでしょうし、ということは、富士山に住むこともなく、カミさんと出会うこともなく、したがって子どもたちもいなかった…。不思議です。
 黒川さんは、当時活動していた地元のオケのトラを探していたのでした。そこにたまたまヴァイオリンケースをぶらさげた私が通りかかったのです。当然全くの初対面でした。30秒でもタイミングがずれていたら、私が楽器を持っていなかったら、この出会いはなかったのですから、縁というものは不思議なものです。
 その後は、音楽の面でもプライベートの面でもいろいろとお世話になりました。ちょっと最近御無沙汰していたので、今日は御挨拶も兼ねて出かけました。
 というわけで、今日のコンサート、大変楽しめましたし、勉強になりましたね。考えてみると、ヴァイオリニストとしての黒川さんとのおつきあいはずいぶんありましたが、本職?のジャズ・ピアニストとしての黒川さんを聴くのは実は初めて?
 でも、今日はジャズ・ピアニストとしてよりも、アレンジャーとしての黒川さんの実力と個性に感動しちゃいました。実際、ピアノは伴奏&指揮(つまり通奏低音か?)に回っていることがほとんどでしたし。私も若かったころ、黒川さんの編曲でいろいろな曲を弾かせていただきましたが、たしかに当時から独特の和声感覚とリズム感覚をお持ちでした。クラシックとは全く違う何かがありました。それが何だったのか、今日のコンサートでよく分かったような気がします。特に、プログラムの中心になっていたピアソラ。ここに彼の才能の全てが聴きとれたように思います。
 説明が遅れましたが、クインテットの編成は、ピアノとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ベースです。それに昨夜は特別ゲストとしてドラムスが加わりました。この編成でのピアソラは、実に豊饒な響きで、まさに黒川編曲の真骨頂。彼の豊かな、そして個性的な人柄を表してあまりある出来でしたね。やはり、演奏以上に作曲(編曲)にはその人の人となりが表れます。
 演奏も全体として充実していましたが、ちょっと自戒の気持ちもこめて、感じたことを正直に書きましょう。ストリングスのお三人、クラシックの世界で大活躍の超実力者でいらっしゃいます。ああした方々でないと、あの複雑な楽曲を完璧には弾けません。しかし一方で、そのために失われたものもあるような気もしました。私もジャズやラテンをやると全く同じ状況に陥ってしまうわけですけれど、どうしてもクラシック畑の人間が楽譜を見ながら弾くと、たてノリになってしまう。スイングしないのです。1・2・3・4と数えてしまう。だから、アドリブ風の難しい部分を楽譜に従って弾くと、なんかクラシックのコンチェルトのカデンツァを弾いてるようになってしまう。しかめっつらで一生懸命ひいちゃうから、リズムも音もコワくなる。これは課題ですね。自分にとっても。
 ジャズ・ヴァイオリンでも、クラシックあがりの方はどうしてもカタい。だいぶ前に、同じうぐいすホールで、まだ無名だった寺井尚子さんを聴いたときですら、そう思いました。まあ、比較の対象がグラッペリだから、ちょっと酷かな。
 長々と書いてしまいましたが、それだけ、人生について、音楽について考えさせられたということです。とてもぜいたくな時間を過ごさせていただきました。黒川さんありがとうございました。

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