『ガーフィールド ザ・ムービー』 ピーター・ヒューイット監督作品
『CASSHERN』と一緒に借りたこの「ガーフィールド」。見事にキャシャーンと対照的な作品でした。うん、この組み合わせは良かった。両者の特質が際立って見える。
アメリカのアニメや映画では、だいたい猫は悪役。顔つきもキツくて可愛くないキャラがほとんどです。このガーフィールドもいや〜な顔してます。ただ、性格的にはわがままでキツくても、なんか憎めない存在なんですよね、アメリカの猫たち。たぶん、そういうアメリカ人の象徴として描かれてるんでしょうな。犬は従順ですから、アメリカ人ではありません。猫は個人主義です。だからその描かれ方には、アメリカ人自身とともに、彼らが個人主義とどうつきあっていくか、個人主義の集合体にいかに社会的な温かみを見出すか、といったような、そんな潜在意識が見え隠れしているように思います。
さてさて、映画でのガーフィールドは、原作のコミックやアニメよりかなり柔らかくなっていますね。原作コミックはどちらかというと大人向け。ブラックジョーク満載です。映画ではファミリー向けになっています。これもキャシャーンと全く逆です。キャシャーンは家族と一緒に観れません。
あと、キャシャーンと逆と言えば、CGのあり方です。キャシャーンでは主人公たる人間たち(新造人間もいますが)が実写。その他はほとんどCG。ガーフィールドでは基本的に主人公だけがCGで、あとは実写。このコントラストは面白いですよ。両作品をそれぞれ逆の手法で製作するのはほとんど不可能でしょ?内容と技法の関係、あるいは技法と内容の関係を考えてみるのも面白いですね。一方で、演技する生身の人間にとっての難しさは同じかもしれないですしね。ジョン役を大滝秀治がやったとしたら(笑)、やっぱり「どうしたらいいかわからない」でしょう。
内容のコントラストは説明するまでもないですね。とにかくガーフィールドの物語は、伝統的な予定調和の世界であり、だからこそわかりやすく、ハートウォーミング。普遍的であり、安心である一方、挑戦や革命はありません。
まあ、ガーフィールドは、作品全体がピクサーに対する風刺になっているとも言えますけど。それはそれでかなりピリ辛かも。
私は吹き替え版で観ましたので、ガーフィールドの声は藤井隆くんでした。あっ、乙葉さんとのご婚約おめでとうございます。最近、お笑い芸人はおいしいとこどりしますね。名倉しかり、ウッチャンしかり、あとスピードワゴンの井戸田さん?たしかに彼らはそれなりの才能と人柄をお持ちですからね。おっと話がそれた。藤井隆くんもなかなか頑張ってましたよ。一生懸命さ、まじめさが伝わってきました。ただ、ビル・マーレイの吹き替えっていうのは、きついっすよね。私はビルの声では観ていません。もうすぐ、特別編が発売になるようなので、買ってみますわ。
いずれにせよ、キャシャーンとの抱き合わせで貸してくれたフォトグラファーに感謝します。とってもナイスなカップリングでした。
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