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2005.05.24

『ロ短調ミサ曲』(バッハ) リフキン指揮バッハ・アンサンブル

B000005IX6MBM-Rifkin-2 初めて触れたものが、生涯にわたってベストになる、ということはよくあります。いろいろ例を挙げるまでもありませんね。あれもこれも、言われてみれば…。これはなんなんでしょうね。どういう本能なのでしょう。
 今日のおススメも、人によっては「なんで?」と思われるかもしれません。よりによってなんでこれなの?って。
 「ロ短調ミサ」自体には問題ないんですよ。問題どころか、バッハの楽曲の中で最も好きなものとしてこれを挙げる人は、私のみならずけっこういるようです。
 どういうわけでバッハがカトリックのミサ曲を書いたのか、その理由は忘れてしまいましたが、とにかくこのバッハにとってのフツーでないお仕事が、実にいい仕事になった。異種格闘技戦が名勝負になることがたまにありますよね。
 私もバッハから1曲選べと言われたら、この曲を選ぶわけです。その理由は語るも野暮ですから、さし控えましょう。で、次が問題なわけです…じゃあロ短調ミサの数ある演奏の中で、一つ選ぶとしたら?はい、選ぶもなにもリフキン盤しかありませんよ…これが問題なのです。
 リフキン盤、ご存知の方も多いと思いますが、とんでもないシロモノです。あの気宇壮大なロ短調ミサ曲を、各パート一人ずつで演奏しているのです。これが、どんなにとんでもないことなのかは、どう説明すればいいでしょうねえ。ラジオ体操を一人でやる…ぜんぜん違うな、盆踊りを一人で踊る…違うな、なんだろう、とにかくまあ、赤信号みんなで渡れば、ではなくて一人で渡っちゃうんですよ。ふだんなら10人とかでやることを一人でやるわけですから、それは大変です。
 で、その行為自体も大変なのですが、そこに浮かび上がってくる音楽もとんでもないものになる。ものすごく繊細で、清澄で、緊張感にあふれ、人間的で、音楽的で。
 もう四半世紀も前の録音なんですね。私は大学1年か2年の時にLPで買いました。リフキンなんて知りませんでしたが、たまたまレコード屋さんにあったので買ってしまったのでした。正直言うとジャケ買いです。左のやつです。私は当時、まだバロック・ヴァイオリンを始めていませんでした。モダンか古楽器か、けっこう迷っていた時期ですね。そんな時に、この響きを聴いてしまった私は、もうすっかり古楽器の虜になってしまったのでした。あとは言わずもがな、現在に至る。
 さて、たまたまさっき読んだマンガ「ラーメン発見伝」の中に、スープの温度の話がありました。スープの温度が高いと旨味や風味が吹き飛んでしまっていかん、だからウチのスープは60度だ、というお店の話です。結局そこは人気が出ず、温度を高くする選択をします。その決断のきっかけになったのが、あるロック・バンドのライヴです。そのライヴは大音量で、演奏の細やかな部分は聞こえなくなっていました。しかし、それを補ってあまりある迫力が感動を誘いました。それではっと気づいた店主は、スープの温度を上げます。
 いつかも書いた気がしますが、音楽は陶酔のためのものです。その陶酔には両極端な二つがある。瞑想と興奮です。聴く側がそのどちらを求めるかで、演奏の評価も分かれます。繊細な旨味や風味を味わいたいのか、熱々の迫力を味わいたいのか。
 私はロ短調ミサに前者を求めたようです。それにはリフキンの調理法がぴったりだった。バッハの意図(実のところその意図がいまだ不明だそうですけれど)や一般的な聴衆の目的とははずれるかもしれませんが、私にとってはリフキンが投げた球がど真ん中直球ストライクだったのです。その後、いろいろな編成のヴァージョンを聴きました。でもどうしてもツボにはまらないんです。パロット盤でもダメでした。つまり、そこにツボがあったのではなく、リフキンの速球によってツボができちゃったんですよ。なんでも初めてがいいっていうのは、そういうことなのではないでしょうか。
 ぜひ試聴だけでもしてください。ツボがポコンとできることをお祈りします。
 
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若かりし頃のリフキンさんの偉業!

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