『CASSHERN』 紀里谷和明監督作品
ご近所にお住まいのプロのフォトグラファーの方が、昨日DVDを貸してくれました。時代の最先端、商業写真の世界で大活躍している彼が、「これはすごい!」と太鼓判を押してくれましたので、期待をして観ました。
一方では、世間であまりに「酷い」と言われているのを知っておりましたから、ちょっと怖いもの見たさの気持ちもありましたね。
私はまず、メイキングを観ました。その方がきっと肯定的に観ることができると直感したからです。その判断は大正解でした。結論から言ってしまうと、私にとっては本編よりもメイキングの方が単純に感動したのです。まず、その話からしましょうね。
紀里谷監督、この人は天才でしょう。映像に関しては。あれだけの豊かなイメージを頭の中に作り出し、そしてコンテを描き、実際にキャメラを構えて撮影し、CGを作って編集して具現化していく。まさに「もの」の「こと」化を一人の脳ミソでこなしていく、その能力たるや、これはマジで尊敬します。若いのに偉いなあ。自分より年上の超一流スタッフを納得させ、操り、まとめあげていくわけですから。とてもとてもマネできませぬ。だから尊敬。さすが宇多田が選ぶ男だ!
ものすごく惹きつけられ、時間の長さを忘れて見入ってしまいましたよ。このメイキングには、新しい映像文化の息吹が感じられました。保守的な映画の現場も、こうして変わっていくのでしょう。
というわけですが、さて、これは映画の現場なのでしょうか?ものすごく根本的な疑問が湧いてきます。では、本編を観てみましょう。今日は生徒と一緒に観賞しました。
う〜む、結論!これは映画ではない。映画であるのかもしれませんが、いわゆる旧来の映画の枠を完全に突き抜けています。映画に見える時もありましたが、私にはほとんどPVであったり、ゲームであったり、アニメであったり、コミックであったり、オペラであったり、絵画であったり、見世物小屋であったり…。物語があるようで、実はなかったり、コテコテのメッセージ性があるようで、実は薄っぺらだったり、何度も観ないと解らないようで、実は何度観ても解らなそうであったり、重そうで軽かったり、深そうで浅かったり、上手そうで下手だったり、美しそうで醜かったり、かっこよさそうでかっこわるかったり、オシャレなようでダサかったり…。
つまり、名作のような駄作なのか、駄作のような名作なのか、どっちかわからないんです。ただ、誰もやっていないことであるのは確かですし、大変な力作であるのはわかります。でも、なんだろう、結局自分がついていっていないのだと思います。生徒も呆気にとられていました。
これはたぶん、10年後に再評価されるべき作品でしょう。おそらく、とんでもなく高い評価を得ると思います。つまり、専門家や好事家やオタクたちが10年かけて分析し、解釈するだけの価値があるのです。
これは寺山修司でしょう。近いものがあると感じました。そりゃあ、賛否両論ですよ。
面白かったのは、メイキングでの大滝秀治とミッチーの発言のコントラストです。グリーンバックに囲まれて演技をするベテランと若手の対照的なコメント。私はやはり大滝さんに共感してしまいました。ついに私も年寄りグループに配属決定ですか。
そういう意味でも、この作品は踏み絵ですね。アマゾンのレビューが抜群に面白いですよ。みんな踏みまくってます。
ただ、一言苦言を。脚本の日本語が貧弱すぎます。これは10年後にも笑われるでしょう。コミック、アニメのレベルにも達していません。残念です。
Amazon CASSHERN
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