ハイビジョン クラシック倶楽部『結婚カンタータ復元コンサート』
1. カンタータ第210番 おお佳き日、待ちこがれた時よ(バッハ)
2. カンタータ第216番 満たされたプライセの町よ (バッハ・リフキン補作)
ソプラノ : 佐竹 由美 (1曲目)
ソプラノ : スザンヌ・リディーン (2曲目)
アルト : マリアンネ・ベアーテ・ヒェラン (2曲目)
管弦楽 : バッハ・コンチェルティーノ大阪
指揮・チェンバロ : ジョシュア・リフキン
先日、偶然リフキンのロ短調ミサについて書いたばかりなんですが、なんともグッドタイミング、昨日NHKでリフキン指揮のコンサートが放送されました。動くリフキンさんを初めて見ました。
田舎に住んでいると、なかなか行きたいコンサートに行けず、なかばあきらめモードになってしまうんですよね。そんな私たちにとって、NHKのクラシックライヴ番組はありがたい存在です。結構古楽系の演奏会もとりあげられますし。
さて、昨日放送された曲についてですが、ソプラノとアルトのパート譜が日本で発見された(なんでだ?)ということと、それを元にリフキンさんがカンタータを復元した(えらい!)というニュースは知っていました。また、それが3月に初演されたというのも聞いていました。しかし、先ほど書いたように、コンサートには行けませんので、CD化でもされない限り、聴くことはできないなあ、と思っていたわけです。
それがこうして放送された。こんなに早く幻の曲を聴けるとは。ありがたや。ありがたや。
さて、まず復元されたカンタータ「満たされたプライセの町よ」の出来栄えです。そうですね、よく作り込まれていたと思います。バッハの言葉をよく研究しつくしている、よく知りつくしているリフキン氏ならではの編曲ではないでしょうか。
残されたパート譜からの復元、という作業について考えてみましたが、たぶん、まずメロディーの流れから和声の流れを類推し、それをもとに各パートを有機的に創造していく、という段階を踏んだのではないでしょうか。それが、バッハ自身の作曲法とは違う手順であることは確かですけれども、最終的にはバッハの真作として紹介しても違和感のないレベルに仕上がっていたと感じました。
と言いつつ…たいへん僭越であり、自分のセンスのなさを露呈するだけとは思いますが、この曲の前に演奏された「おお佳き日、待ちこがれた時よ」のコンティヌオを聴いたあとだからでしょうか、ちょっとバスの流れが単調に感じられたのも事実です。だからと言って、自分がよりよい流れのバスを作れるはずもないわけですが。すみません。ああ恥ずかしい。
ところで、演奏者のみなさん、現在の古楽界を代表するみなさんでありました。お上手なのは当たり前として、私が感心したのはリフキンさんの存在です。いちおう指揮・チェンバロということでしたが、ほとんど指揮らしい指揮をせず、通奏低音に徹していたように見えました。もっと前面に出て、アンサンブルを引っ張るのかと思っていましたから、ちょっと意外でしたね。演奏者を信じて、個々の主体性と全体の調和を、ご自身が楽しんでおられるように見えました。
メンバーをよく見れば、いやよく見なくても、直接お世話になった(なっている)方々ばかりです。コンサートでは大変まじめそうなお顔で演奏されていますが(まあ当たり前ですけど)、普段は楽しい方々ばかり。そんなことも考えながら見ていました。初めて聴く、という興味と感動もあって、本当の演奏会に出かけたように、心から楽しませていただきました。
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