『五味太郎』 in 文藝春秋 特別版 『言葉の力 生かそう日本語の底力』
文藝春秋ですなあ。読みごたえはありましたが、いかんせん堅い。古い。30年くらい前の本を読んでいるような気がしました。擬古文ですかあ。
じゃあ、なんで読むのか。それは、ものすごく有用だからです。こういう内容で、こういうレベルの文章で、このくらいの分量のものは、そうそうない。使えますぞ。でも、これ以上はナイショ。
さて、そんな文藝春秋特別版であります。とにかく、執筆陣が堅い。古い。いったい平均年齢は何歳なんだ?それが口をそろえて、ホンライの日本語は素晴らしい、最近の日本語は乱れてる…なんていうのを延々と語るわけです。いくら日本語大好きの私でも、ちとつらい。
執筆陣は、まあ権威のある、つまりは御高齢のセンセイ方なわけですが、購読陣はどうなんでしょうか。老人同士の昔語りという気もしますが。私も言葉に関しては案外保守的な方ですが、この人たちのお仲間にはなりたくありませんね。だから、こういう物言いになっちゃう。今どきの日本語に媚びちゃう。
いや、若い人たちには新鮮に聞こえるかもしれません。彼らの会話。えっ?何?このジジイたち何人(なにじん)?なんで、こんなに自信ありげなの?
そんな中、唯一、ホントに唯一私が膝を打ったのは、五味太郎さんの文章でした。五味太郎さん。こんなにすごい言葉の持ち主だとは知りませんでした。不覚。何しろ、まわりの文章たちが文章たちなので、不意打ちを食らったような、廃棄物の山にとんでもない掘り出し物を見つけたような…失礼。
たしかに娘たちの絵本を見て、こりゃかなりぶっ飛んでんな、とは思っていました。でも、絵本の言葉はあくまで絵本の言葉ですからね。ぶっ飛びも表現の一つと見ることができます。し、しかし、このケンイある文藝春秋特別版の中で、五味ワールドを全開させちゃってますからね。
久々にパワフルなツッパった日本語に出会いました。内容、リズム、語彙…ものすごくスリリングな演劇空間にいるような錯覚を起こしました。何度も何度も読み返している自分。やられました。
ふ〜ん、こういう人っているんだ。そう言えば、知り合いが知り合いだと言ってました。急にうらやましくなってきたぞ。まずは、絵本以外の五味さんをもっと読んでみようっと。
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