レミオロメン 『ether』
我が山梨県の有名人は、え〜と、ワタシ的には、ジャンボ鶴田、武藤敬司、金丸義信、井上雅央…ってプロレスラーばっかじゃん。もちろん、スポーツ界で言えば、堀内監督とか、中田英寿とかね。
音楽界では、宮沢和史ぐらいしか思い浮かばない…というような感じでしたが、昨年8月におススメした3バンド、順調に成長しているようで、にわかに音楽シーンに山梨旋風が吹き荒れ…てないか。まあ、そこまではいかなくとも、ちょっと注目を浴びてるようです(地元インディーズ・シーンは相変わらず貧弱ですけど)。
さて、そんな中でも赤丸急上昇の勢いなのは、御坂町出身レミオロメンでしょう。昨年3月9日には、御坂中学校でライヴをした彼らが、1年後の今年3月9日には、武道館でフルハウスですからねえ。すばらしいことです。そして、同日発売された2枚目のアルバム「ether(エーテル)」を生徒に借りて聴いてみました。
うん、非常にいい出来です。デビューアルバムも心に残る出来でしたが、2枚目で早くも貫録を感じさせる内容になっています。正直びっくり。全曲いい曲ですから。
聴く前にクレジットを見るのが私の習慣でして、今回もチラッと確認して、それで実はちょっと心配になったんですよ。というのは、プロデュースが小林武史さんだったから。おおっ!と思うとともに、レミオロメンが小林武史に喰われるんじゃないかって。桑田さんや桜井さんくらいの抵抗力があるだろうか、彼らに…。
そうしたら、そんなのは全くの杞憂でした。
たしかに、ストリングスの扱いや、アナログ・シンセ風(メロトロン風もありますよ)の音には、いかにもの小林武史が聞けますよ。でも、それをすっかり消化してあまりあるレミオロメン世界が展開されてました。
以前書いたように、彼らはとっても田舎的だと思います。メロディーラインも、詩も、演奏も、歌いっぷりも。都会的な都会って、東京だけなんですよね、日本では。そこに媚びない、東京とは違う風景を見せてくれる。それが都会人にはまぶしいし、田舎人(ほとんどの日本人)には懐かしい。
山梨の人は、昔からプライドだけは高く、生黄泉(なまよみ)の国で流刑地だったくせに、江戸がたまたま隣になった途端、都会志向を強めました。それで成り上がった人、失敗した人、いろいろだったわけですが、結局自分というものがよくわかっていないような部分があったように思います。はたから見ると単なる甲州商人なんですけどね(バカにしてるんじゃないんですよ。私は山梨大好きですから)。
いいじゃないですか。彼らみたいに開き直れば。かっこいいですよ。素敵ですよ。都会的なロックの隣にあって、自然体ロックをやっていけばいいんです。これからは田舎の時代ですよ。このまま成長して、いや変に大人にならなくてもいい、都会に喰われないで、御坂のまんまやっていってほしい。ビートルズも世界の都会の波にもまれても、結局リバプールだったでしょ。
最後に一言。演奏がうまいのにビックリしました。各パートのメロディセンスも含めてとってもうまい。レコーディングでもわかります。スリーピースで聴かせてきた経験が生きていますね。今、「3月9日」がかかってます。ちょっとジーンとして涙が出ちゃいました。年甲斐もなく。
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