『神秘家列伝 (其ノ参)』 水木しげる (角川ソフィア文庫―Kwai books)
全くの不勉強で、御大水木しげる先生が、こういうものを書いておられるとは、つゆぞ知りませんでした。なんということだ。これらが連載されている「怪」という雑誌(専門誌?)も、実は読んだことがなかったのであります。基本がしっかりしていない私を象徴するような事例です。
それにしても、この「其ノ参」のラインナップにはかなりビックリ!どうしてこうも私好みの4人をお集めになったのか…。不思議な御縁を感じます。正直、壱・弐の面々ではちょっと食指が動かない。
というわけで、この巻に収められている「神秘家」の方々は、出口王仁三郎、役小角、井上円了、平田篤胤の4名様です。濃い〜なあ。
昨日の記事にも登場願った出口王仁三郎、言わずと知れた近代の大化け物です。宗教家というジャンルではくくりきれませんな。世界史上の最強の狂人とも言えます。凡人にはその全体像がとらえきれない巨人ですね。私は彼の大ファンです。
役小角は7世紀から8世紀にかけて実在した怪人です。修験道や密教、さらに神道にもゆかりの深い人物ですね。また、渡来人との関係、先住民との関係においても興味深い存在です。オカルト系サブカルチャーでもカリスマとして人気がありますぞ。
以上お二人は、私の住む富士山とも大変にゆかりの深い方々です。空を飛んでちょっと富士山まで、というノリです。古代と近代を代表する二人のトンデモくんとも言えますね。
3人目の井上円了も不思議な人ですよね。東洋大学の創始者として有名ですが、別名は「妖怪博士」。では、水木しげる先生みたいな人かと申しますと、先生ご自身も書かれていますけれど、実際は全然逆。アプローチが逆なんですね。不思議な現象を、要は科学的に証明しちゃえ!という、どちらかというと大槻教授の師匠みたいな方です。しかし、そのこだわりよう、やはり妖怪や超常現象に対する深い愛情を感じずにはいられません。大槻センセイもそんな感じですし。結構好きです、こういう人たち。
4人目の平田篤胤は、最近私が興味を持っている人物です。本居宣長の弟子として、日本史の教科書にも出てくるような人なのですが、実はかなりアブナイ人。その著書群もかなりオカルトしてます。ちなみに、平田篤胤は秋田の出身です。秋田出身の数少ない大人物のお一人ではないでしょうか(失礼)。
結局この御一行4名様は、現界のみならず、霊界や幽界を感知できる能力をお持ちの方々だったのでしょう。それは、現代科学で言えば、3以上の次元を存在を感知するということだと思われます。歴史に名を残すセンセイ方には、皆少なからずそういう点が見出せます。それが世人にはどう映るか。紙一重なんですな。4次元〜11次元のどこまでが守備範囲かにもよりますし。
で、こんな魅力溢れる方々を、あの水木しげる先生が、実にわかりやすいマンガにしてくれています。入門書として最高の出来だと思います。途中登場する水木先生ご自身や、荒俣宏センセイのキャラがおかしく、いい味出してます。荒俣センセイはいつもの入れ込みようですけれど、水木先生は意外に冷静で、適度な距離を保って対象を見ているのがわかりますよ。そのあたりも見ものです。
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