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2005.03.03

キース・ジャレット 『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』

Keith Jarrett 『The Melody At Night, With You』
B00002EPJH.09.MZZZZZZZ 私は基本的に鍵盤楽器が弾けません。適当な即興(メチャクチャ)は得意ですが。それならウチの猫でもできます。
 それでも死ぬまでに一曲くらい完璧に弾けるようになりたい。その一曲を何にするか。これは大きな問題です。
 数年前まではやはりバッハかなあとか、クープランもいいなあとか、そんな感じで考えていました。しかし、最近、絶対にこれ!というものが確定しました。それは…。
 キース・ジャレットのアルバム『The Melody At Night, With You』から『Blame It on My Youth/Meditation』です。期せずしてまた「瞑想」が出てきてしまいましたね。ま、それはいいとして、とにかく、このアルバムの素晴らしさと言ったら、もう本当に絶句してしまいます。もうすでに神の世界です。
 慢性疲労症候群という受難、そして復活に向けての第一作が、この美しいメロディーたちであったというのは、本当に奇蹟です。ある意味、音楽が彼を死の淵に追いやったわけですが、その彼を救ったのは、やはり音楽でした。本当に自分を癒すように、大切に大切に音を紡いでゆきます。彼には申し訳ないですが、苦しい病あっての奇蹟でしょう。感動します。
 今ちょうどキリスト教世界ではレントの時ですね。少し強引かもしれませんが、このアルバムを聴く私の心は、バッハのマタイのアリア「わが心よ,おのれを潔めよ」を聴く心と同じような気がします。ある特定の音楽が持つある力。明確には語れませんが、そういうものの存在を認めざるを得ない体験です。自分も清められ、癒されていく…。
 さて、そんな名アルバムの中でも、私は6曲目の『Blame It on My Youth/Meditation』が大好きです。もともと、キースのトリオでも何回か演奏され、それらを聴くたびに鳥肌を立てていました。そして、ここでのキースの演奏は、まさにシンプルを極めています。そしてその純粋さの中に最も深い感動を呼び起こします。これはもう言葉で説明できません。聴いて下さい。
 で、最初の話に戻りますが、この曲を弾いて死にたいのです。あるいは死にそうな時に、自分のために弾きたいのです。キースのアレンジで。たしかにこの演奏はシンプルなのですが、私は絶対音感も持ってないし、ソルフェージュもやったことありません。つまり耳コピが苦手なのです。採譜したいのはやまやまですが、はっきり言ってあきらめていました。「ケルン・コンサート」の楽譜や、トリオの楽譜は出版されており、実際持っています。ですから、いずれ発売になる可能性はあるかなあ、程度の気持ちでいました。
 それが、なんと、なんと、素晴らしい採譜をしてくれた方が現れました!このサイトをご覧下さい。

 ジャズピアノ上達お役立ち譜面(現在リンク切れ)

 う〜ん、素晴らしすぎます。欲しかったまさにこの曲が、完全な形で楽譜に…うるうる。神さま仏さま採譜者(T.M.)さま。ありがたいですね、本当に。後半もカットせずに…。
 というわけで、早速ピアノに向かって、ゆっくりゆっくり鍵盤を押さえます。もう、あの響きが一瞬再現されるだけでも感動します。人に聞かせるわけではないので、こうして一歩一歩、牛歩のごとく響かせるのも悪くないですね。よ〜し、死ぬまでに弾けるようにするぞ!それまでは死ねません。ああ、また練習すべきものが増えました。うれしい限りです。
 おとといのバッハの無伴奏チェロの楽譜に続き、またまたインターネットの恩恵…と言うか、インターネットを通じて、見知らぬお方のお世話になってしまいました。本当に「無我」「空即是色」ですね。

Amazon The Melody At Night, With You

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音楽」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。あやと申します。
『キースジャレット 楽譜』で検索して、ここにたどり着きました。
私は、今イギリスに留学しているのですが、ジャズ好きの音楽の先生に、『キースのトリオの楽譜が日本でしか出版されてないんだけど、、、うるうる』と頼まれまして。ネットで探しに探して、やっとトリオの楽譜を持ってらっしゃる方を発見!というわけなんです。
もし、よろしければ、トリオの楽譜の詳細を教えて頂けないでしょうか?お願いします。

投稿: あや | 2006.03.25 23:52

あやさん、遠くUKからコメントありがとうございました。
えっと、トリオの楽譜の件ですが、今ちょっと出先でして、詳細を紹介できません。
家に戻りましたら、さっそく地下室から引っ張り出してきますね。
少々お待ち下さい。
ただ、今はもう絶版であることはたしかですね。
ということで、のちほど。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.03.26 11:30

あやさん、お待たせしました。
とりあえず一冊見つかりました。
中央アート出版社の完全コピー・シリーズ3
「キース・ジャレット ピアノ奏法 VOL2」
稲森康利 監修(紺屋達子 採譜)
1988年7月刊 本体2000円
です。
おそらく私はVOL1も買ったと思います。
両方ともキースの「STANDARDS VOL1/キース・ジャレット・トリオ」「STANDARDS VOL2/キース・ジャレット・トリオ」「星影のステラ/キース・ジャレット・トリオ スタンダーズ・ライヴ!」の3枚のアルバムから5曲ほどをピックアップして、耳コピして譜面化しています。
冒頭におまけとして、稲森さんによる、キース風ソロ(やさしいアレンジ)楽譜が3曲分くっついています。
トリオの譜面は、ピアノ・パートとベース・パートの3段、つまりドラム譜はありません。また、ベース・ソロの部分は省略されています。コードネームも付されています。
私が見る限り、かなりの精度で採譜されていますね。私は演奏はできませんので、勉強用にずいぶん読み込んだあとがあります。
それぞれの楽曲のあとに、オリジナル(全てスタンダード・ナンバーですからね)のコードとメロディー、さらにキースによるインプロヴィゼーションのコード進行、詳細な演奏分析とアドバイスまであって、本当によくできた本です。
演奏分析ではライヴにおけるミスとそのごまかし方まで書いてあって面白いんですよ。
キースもすごいけど、稲森さんもすごいですよ〜。
で、ちょっと調べたところによると、やっぱりもう売ってないようですね。他の完コピシリーズはあるんですけどね。
とりあえず、もう一冊も探してみます。
では。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.03.26 18:31

はじめまして。私もキースは大好きで特にこの『The Melody At Night, With You』はキースの作品の中でも大傑作だと思います。ほんとに奇跡の録音と言えると思います。このCDの楽譜を探しているところで、こちらに辿り着きました。しかし、残念ながら上記で紹介されているサイトは現在は無いようですね。他に情報をご存じでしたら、ぜひとも教えていただきたいです。よろしくお願いします。

投稿: きむち | 2007.06.01 00:04

きむちさん、こんばんは。
このアルバムは本当に奇跡ですよね。
歴史に残る名演です。
ところで、あの素晴らしいサイトなくなってますねえ!
私もしばらくお邪魔してなかったので、知りませんでした。
ちょっと調べてみましたが、ほかにはどうもないようですね。
この演奏はKeithにしてはかなりシンプルですので、
なんとなく弾けそうな気がするんですけど。
残念です。
私もがんばって探してみます。
何かの雑誌に1曲載ってたような気もしますが、
それも調べてみます。
ちなみにBlame…も行方不明…orz

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.01 00:21

キースですか・・・素晴らしい。

私は「ケルンコンサート」も大好きです。聴いていると天上界で踊っているような気になるんです。

投稿: 日田の宮田 | 2011.04.03 21:20

上記キースジャレットのBlame it on my youthのピアノ譜がどうしても欲しいのですが、お持ちでしたらPDFでお送りいただけませんでしょうか。

投稿: のぼち | 2016.01.20 14:35

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