ミュシャ
Mucha 「Dance」
生徒が「ミュシャ展」と「中宮寺半跏菩薩像特別展」に行ったということで、いろいろと資料などを見せてくれました。それにしてもすごい組み合わせですな。圧倒的に後者が良かったと。そりゃそうでしょう。
しかし、私にとっては、ミュシャも大変興味深かった。なにしろ、こんなにいっぱいミュシャを観るのは初めてですから。生徒は、あんまりたくさんあって疲れたと言っておりました。それも分かる。展示して観るものじゃないですよね。
しかし、作品集としてまとめて観ると、今までと違った印象を持つことは確か。で、結論から言うと…。これは現代のグラフィック・デザインそのものですな。いや、もっとはっきり言っちゃうと、少女マンガや美少女系イラストの世界そのものです。
正直びっくりしました。今まではオシャレなパリのポスター程度の認識しかありませんでしたから。こんなにナウい(?)とは。
美少女の表情、ポーズ、アイテム、背景、全体のデザイン、カラーリング、あまりに最近見かけるものと似ているので、頭が一瞬混乱するほどです。コミケとかで大量に売ってるんじゃないんですか。よく知りませんが。
ギャルゲーと美少女マンガ大好きな男子生徒がミュシャに興奮して、携帯でパシャパシャ撮りまくってました。待ち受け画面にしてご満悦、オタク友だちに自慢するそうです。これが何よりの証拠ですな。
この事実は、そっちの世界では常識なのかもしれませんね。私が知らなかっただけとか。
それにしても、アール・ヌーボーですよ。100年前です。ちょっと前は印象派ですからねえ。それが現代のサブカルチャー(と言っていいのかな)に直結してるんです。驚きました。当時としてもかなり新しかったのでしょう。
私は不勉強で、ミュシャがチェコ人だったなんて知りませんでした。フランス人だと思ってた。どうなんでしょう、スラブの血というのも影響してるんでしょうか。どこか東っぽいような気もします。
などと考えていたら、もっと分かりました。これはジャポニスムそのものなんですよね。日本画や浮世絵の技法そのものじゃないですか。輪郭線と平面的な彩色、自然物と幾何学的紋様の意図的な配置。
そう考えると、日本独特の少女マンガの画風や、イラストレーションの世界というのは、伝統に根ざしているということになります。それがちょっとパリに飛び火したと。たしかに日本は江戸から明治、大正、昭和と、芸術ではないコマーシャルなイラスト類を発達させましたからね。
ミュシャ風なイラストはアメリカのモダニズムにも影響を与えました。それがコマーシャル美術の中枢になっていくんですから、日本の文化ってやっぱりすごいですね。本人たちがすごいと思ってないところが、またかっこいいじゃないですか。
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