『へんないきもの』 早川いくを (バジリコ)
けっこう売れている本です。遅ればせながら、借りて読んでみました。
うん、たしかに面白かった。一気に読んでしまいました。見ている時間の方が長かったかな。
「へん」の選択基準は、主に人間の視点から見た外見です。これは筆者の経歴からすれば当然であり、ある意味そういった視点からの企画であったからこそ売れたのでしょう。
生物学的に「へん」ということも紹介されていますが、あくまで外見が「あり得ない」が中心。そこにこだわったのは正解でした。なぜなら、これは一般書であり、たくさん売れることを目的とした本だからです。我々一般大衆の食指を動かすには「外見」が一番。そして二番が「下世話」です。この本はこの二番もしっかり押さえていますね。
悪く言えば、下品、下ネタ、おやじギャグ。たしかに、一気に読んでいると、ちょっと鼻につくようになります。著者のユーモアセンスは素晴らしいですし、世代的にも趣味的にも共感するところがあります(つまり、笑いがオタクっぽいってことかな)。ただ、そのさじ加減っていうんでしょうか、それが、うまくコントロールされていない感じがしました。これは著者というより、編集の責任でしょう。調子に乗らせすぎ、ですか。
ただ、このあたりの評価というのは、まさに「センス」の問題で、この前も書きましたが「読者論」の領域なんですね。そういう意味で、本本体よりもAmazonの熱血なレビューを読んだ方が面白い。あそこに書くような人は、これもおとといの『今週、妻が…』のところに書いたように、両極端な人たちですから。まったく人間とは「へんないきもの」ですね。
ところで、こうした人間のへんな言動に対して、「へんないきもの」からの反論や説明はないのでしょうか。そういう機会を与えるのが言論のルールでしょう。「へんないきものはへんじゃない」とか、「にんげんこそへんないきもの」とか、「へんに潜む宇宙の真理」とか、「差別とへん」とか、「へんないきものは買ってはいけない」とか、う〜んやっぱりストレートに「へんなにんげん」もしくは「へんなひと」がいいかなあ、そんなような本を、バジリコ以外の出版社から出してもらいたいですね。たぶん、その前に「へんないきもの2」が出るのでしょう。残念。
いや、反論したら同じレベルになってしまうと、無視をきめこみますかね。きっとそうでしょう。そのくらい彼らは高度です。何しろ高等生物人間様にも解明できない謎(=へん)を自然に身につけているのですから。
Amazon へんないきもの
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