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2005.03.19

『網状言論F改―ポストモダン・オタク・セクシュアリティ』 東浩紀 その他

4791760093.09.MZZZZZZZ 私は、新書程度の本なら1時間くらいで読み終わります。というか、私の読書術はたぶん特殊です。そうですねえ、いわゆるナナメ読みというやつに分類されるでしょうか。まずあとがきを読んで、次に目次。だいたいの目星をつけて前からパラパラ。「匂う」ところや「臭う」ところだけ字を追います。で、「使える」あるいは「あとでもう一度」と思った部分を見つけたら、ページの隅を折ります。線は引きません。線を引くだけでは後で探すのが大変です。ページがわかれば、あとは嗅覚が記憶していますから隅を折るのが一番。
 こんなの読書じゃないって言われても仕方ありませんが、私は「質」にこだわるので、良「質」に出会うためには「量」が勝負なのです。インターネットでサーフィンするのと同じ感覚です。サイトには線引きできませんよね。ページにしおりを挟むだけです。それと同じ。
 で、他の本を読んだり、違うことをしている時に、本能的にまた嗅ぎたくなる。そうしたら、引っ張り出してきて読みかえす。(本やサイトの)どこに何が書いてあるかを知っていることも「知識」だと思います。あるいは検索術も。読書における「嗅覚」は重要ですよ。
 てな具合で、今日もクンクンと面白い本を読んでみました。え〜と、折ったのは8カ所かな。興味あっても知らないことの多い世界なので、これからの課題を探すという意味で非常にためになりました。
 これは簡単に言うと、「おたく」についての評論集です。「おたく(この本ではオタクという表記)」「やおい」「萌え」などを学問的に分析しております。
 「おたく」はもう充分に日本文化になっているわけですし、自分自身も「おたく」気質を持っておりながら、しかし不本意にも「おたく」になりきれないでいる状態なので、筆者たちの姿勢には大いに共感し、また期待してしまいます。
 私は、「おたく」は現代の産物だとは全然思っていません。平安時代の貴族文化や江戸時代の町人文化など間違いなく「おたく」です。では、武家文化は体育会系かというと、これまたオタッキーだったりするわけで、つまり近代化する以前の日本の文化はほとんど全て「おたく」だと思っています。
 そして、それを生み出す土壌、すなわち日本人と日本の特徴というのは、三つ。まず、ネオテニー。つまり子どもっぽいということ。幼いということ。次に、平和。精神的、時間的余裕がある。そして、経済的に裕福であること。これも余裕があるということ。
 これはあくまで私の予感ですよ。学問になってない。
 この本では立派なおたく学者さん(「おたく」を研究しているという意味ではなく、「おたく」な学者さん)や「おたく」を仕事にしている方々が、熱く熱く学問しています。正直エキサイティングです。その行為自体がすでに「おたく」してます。つまり、結局内側からの学問になっており、それこそが「おたく」の特徴だということを、はからずも明らかにしているわけです。客観的(学問的)であろうとしているのに、結局「おたく」自体に「萌え〜」しちゃってるのです。
 そう考えると、「おたく」とは究極の自己愛の形なのかもしれません。そして、それが理解でき、共感できる日本人としての自分がいる。それを確認しました。ただ、それぞれの事象についてはあまりに知識が不足している。だから、「おたく」の仲間入りは出来ないわけです。最初に書いた読書術のような情報収集の仕方では、「おたく」もどきにはなれますが、ホンモノにはなれない。つまみぐいではダメ。努力と愛が足りないのかあ。残念。
 いまや世界にはばたく「おたく」文化。外国人には理解できないゆえに憧れにもなったのは「ジャポニスム」。しかし、いまや平和で裕福で幼い外国人も増えました。だから、「おたく」は憧れではなく、共感や理解の対象になっています。
 早く世界中が「おたく」文化に覆われますように。戦争はいやです。貧困もいやです。大人の金勘定もいやです。

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コメント

こんにちは。
今回の書き込みは非常に興味を持って読ませていただきました(笑)
「ネオテニー
平和。精神的、時間的余裕がある。
経済的に裕福である。」
成る程、これが日本人の特徴なんですね。
とろこで、精神的、時間的余裕というのはどのようなものなのでしょう?
私の思う日本だと「精神的、時間的余裕」があるのは高齢者がメインが気がしますし、
以前テレビで外国の方が「こんなストレスの多い国は嫌だよ」と言っていたのを思い出してしまいます。
やっぱり、どこの国もそれぞれストレス等の感じ方が違うだけで同じようなものなんですかね?

投稿: | 2005.03.20 17:13

ありゃ、すんません!
高齢者については「時間的」と「経済的」余裕のある、と言いたかったです。
個人差はあると思いますが、以前学校の課題で調べたときに高齢者は「養うべき子供達も自立し、時間的、経済的に余裕がある」という結果がでてきたんですよ。
それで、ちょっと気になったわけでありまして…。
ではでは!

投稿: | 2005.03.20 17:17

若さん、コメントありがとうございます。
いい質問ですね。(なんて先生みたい…あっ先生か、オレ)
そうですね。ストレスというのは人それぞれでしょう。
しかし、究極のストレスというのは、やはり生命の危険を感じることだと思います。
そういう意味で、日本は、世界史的に見てもまれなほど、ストレスがなかったのですね。
だから、私の言う精神的余裕、時間的余裕というのは、
自分の生命の維持のために心と時間を費やさないということです。
外国人が今の日本にストレスを感じるとしたら、
それはきっと日本という特殊な社会のしきたりやら、空気やらに対するものでしょう。
私たち日本人は、そのしきたりや空気に自由を奪われながらも、
ふんわりと包まれてノホホンとしているのだと思います。
自己愛に専念できるというのは、平和な証拠です。
生命を維持する本能は自己愛に優先するものでしょう。
自己愛に走るばかりに、自殺や自暴自棄な犯罪に走る人が現われるのも事実ですけれど。
皮肉なことですが、戦時中は自殺者がものすごく少なかったのです。

話は変わりますが、今とてもこういう文化(結局は自分)に興味があります。
現役腐女子さんからいろいろと教わりたいと思ってますので、今後ともよろしく!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.03.20 20:35

なるほど!
先生!すごく分かったような気がします!!
確かに今の日本では生命維持に自分の心などは費やしませんよね(笑)
ぼんやりしてても生かされる時代です…よね?
まさか先生のコメントから現役腐女子と言われるとは思いませんでしたよ!!
大いにお役に立ちたいと思います。
思う存分腐って、豆腐や納豆に負けないように頑張ります。
では!

投稿: | 2005.03.20 21:08

 全然関係ない話しで恐縮ですが、庵主 様は速読が出来るのですね。羨ましい。非常に羨ましい。片や私はホントに本を読むのが遅くて困っています。かといって、本物になれるわけでも無し。はぁ、無念。

投稿: LUKE | 2005.03.20 23:51

LUKEさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
速読なんてもんじゃないですよ〜。
つまみ読みです。
この方法では小説は読めません。
だから小説はほとんど読みません。
国語の先生なのに。すみません。
実はまともに読もうとすると、私もホント遅いんですよ。
テストの文章を読むのも、生徒よりずっと遅い。
だいたい読んでる最中、違うこと考え始めちゃうし。
集中力がないんです。地道が苦手なんですよ。
そんなことより、LUKEさん!
お料理ができる方がずっとすごいですよ!
羨ましい。マジで羨ましい。尊敬しますよ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.03.21 07:45

>だいたい読んでる最中、違うこと考え始めちゃうし。

おお!全く私も同じです。
本の内容が面白くても、勝手に妄想が湧き、脳内で脱線してしまったり、文章が下手な作家だと今度は集中出来ずに、やはり脳内脱線します。

>お料理ができる方がずっとすごいですよ!

すごくもないんですよ。昔、居酒屋でバイトしてたもんで。一人暮らしも長かったですしね。やってみれば簡単ですよ。
料理って言うのは、結構パズルっぽいとこがありまして、結局は段取りや調味料の組み合わせとかだったりするんですよ。結構、男に向いてますよ。

投稿: LUKE | 2005.03.21 21:44

若さん
まじでよろしくお願いしますね。
師匠と呼びます!

LUKEさん
なるほどねえ。料理はパズルですか。
非常に興味はあるのですが…。パズルも苦手なもんで。
ウチでは、LUKEさんのお宅のように、
家内が先生をやって、私が主夫という夢の構想があるんですよ。
たぶん実現しないでしょうが。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.03.22 18:59

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