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2005.02.19

『日本語大シソーラス 類語検索大辞典』 山口翼 (大修館書店)

4469021075.09.MZZZZZZZ 誰かがやらなきゃいけない仕事をやる。これがボランティアの本義です。自分にはその能力(精神的なものも含めて)があることを前提に手を挙げるわけです。そして、それが歴史的大事業になることもあります。
 今から150年以上前、イギリスのあるお医者さんが手を挙げました。ロジェさんです。これが歴史的大事業になりました。ロジェのシソーラスの誕生…というか、世界で初めての使えるシソーラスの誕生です。150年経った今でも、全くその威光は衰えず、最新の電子辞書にまで搭載されるに至っています。それほど画期的だったということです。
 シソーラス。やや語弊はあるものの、類語辞典、類義語辞典と言っていいでしょう。カオスをアーティキュレイトして生まれた言葉たちは、その数が増えるにしたがって、新たなカオスを生む、というパラドックスを内包するようになってしまいました。使い手である人間様でも、いつのまにか分類不可能になってしまったのです。そこで、誰かが重い腰を上げなくてはいけなくなりました。再分類です。
 これは、言葉を分類するというよりも、人間の脳ミソを一度広げてみて、そこにたまった記憶を、いくつかの抽斗に収納しなおす、という行為に近いと思います。考えるだけでも恐ろしい。みんなが手を挙げなかったのもうなずけます。で、ロジェさんという奇特な方が、恐ろしいことをやっちゃってくれたわけです。
 その点、英語話者、英語筆者は幸せでした。現代英文学の作者の何割かは、実はロジェかもしれません。それほど、利用されたのです。
 さて、翻って日本。日本語。日本人。手を挙げた人はいましたが、残念ながらロジェレベルの大事業を成し遂げられなかった。たぶん、時間と根性がなかったのだと思います。根性がないというのは悪口ではありません。それが普通ですから。しかし、あえてそう言ったのは、根性がある人が現れてしまったからです。山口翼(たすく)さんです。
 一昨年、ついに日本語のシソーラスが誕生しました。それも「大」を冠して。たしかに「大」を冠するに値する大事業です。少なくとも、ものすごく真面目な私が150人いて150年かけたとしても不可能です。同じ山口でもエライ違いだ。
 この辞典、150年後には「大」ではなく「山口の」という冠を戴いていることでしょう。ロジェのシソーラスと同様に。私はこの大事業の恩恵を受けて、別の小事業にとりかかりますわ。
Amazon 日本語大シソーラス
参考 デジタルシソーラス

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