『希臘羅馬神話』 木村鷹太郎 (教文社)&『偽史冒険世界 カルト本の百年』 長山靖生 (ちくま文庫)
キムタカのレア本が手に入りました!!なんと、亡くなった祖父の蔵書の中に迷著『希臘羅馬神話』が!
キムタカって知ってますか?キムタクぢゃないですよ。キムタカです。木村鷹太郎。知る人ぞ知る「と」の巨人。「と」はもちろん「トンデモ」の「と」、「と学会」の「と」です。
私は基本的に「と」系の人間です。偽史はある意味私の専門です。ここ富士北麓に住むようになったのも、偽史の代表格「宮下文書(富士古文献)」との出会いがあったからです。私は偽史は偽史だという前提に立っているので、純粋な「と」ではないかもしれませんが、「と」系であることは確かです。
そんな私でもやはり、こりゃあ「と」だわ!と感嘆し、かつちょっと距離を置きたくなるのが、このキムタカの著書群です。何しろぶっとびすぎてますから。例えば…パッと開いたところを…え〜っと…。
ユリセースが本國へ着いた時は眠つて居たとのこと。即ち印度中央部は「眠り」の地で、マハー・ナヂ河地方は「大ねんね」即ち大兒の土地で、…イタケ夫人即ちユリセースの妻ペーネロペの事で、又棚機の絲織姫なるものである。イタケ或はイタカの變化がイタコ(潮来)で日本の其れは印度のダムラ潮来の寫しである。
ん?何だって?ユリセースとはユリシーズつまりオデュッセイアのこと。キムタカはこのユリセースは実は、あの日本昔話にも出てくる「百合若大臣」だと言うのです。それが、え〜と航海に出て、インドでねんね…で、なんで潮来が出てくるの?
ってな感じです。全編。簡単に言ってしまうと、この人は明治の末あたりに、世界の神話やら歴史やら言語やらは、全て日本が起源であ〜る、という新史学というのを打ち立ててしまったわけです。すさまじい語呂合わせを駆使しまくり、語呂が合えば即ち真実という信念の下、新しい歴史を作り上げてしまったのです。伊邪那岐はゼウス、大国主はダビデ、日本武尊はアポロン…。
しかし、ここで噴飯していては、「と」系人間にはなれません。私も今いろいろと検索していて知ったのですが、百合若=ユリシーズって本当かもしれいなんですね(ユリシーズ=百合若ぢゃないけど)。ある大学でまじめにシンポジウムやってました。びっくり。坪内逍遥や南方熊楠も言及してます。だから、「と」は侮れないんですよ。行き過ぎ、盲目、押しつけはいけませんが、常識に安住しないで、自分の力で考えてみることは大切なことです。
そんな「と」世界を、絶妙のスタンスで語ったのが、名著「偽史冒険世界」です。大衆文学研究賞を受賞するだけのことはあります。本当にいい本です。「と」本はおススメできませんが、こちらは心からおススメします。これを読んでからだったら、きっと「と」と正しいつきあいができると思います。長山さん、史学科ではなく歯学科の卒業だそうです。こういう人に憧れますね。
Amazon 偽史冒険世界―カルト本の百年 ちくま文庫
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