『人生は3つ数えてちょうどいい』 和田京平 (メディアファクトリー)
全日本プロレスファンにはたまらない一冊。レフェリー本としては、ミスター高橋の暴露本が有名ですし、それなりに面白かったのですが、私はやはりこっちの方に惹かれました。何度かうるうるしちゃいました。まさに新日と全日の違い。猪木と馬場のコントラスト。私はやっぱり断然全日派です。
全日本のレフェリーと言えば、まずはジョー樋口さんですね。富士山麓にも縁の深い方です。ジョーさんとはある意味対照的なレフェリングをする京平さんも、いつのまにか全日本を語るのに欠かせない存在となりました。90年代の、いわゆる四天王時代の完成されたプロレスを指揮した名ディレクターと言っても過言ではないでしょう。
全日派としては、馬場さんとジャンボ鶴田が相次いで亡くなり、そして、あの三沢光晴によるノア設立への流れ、その中でいったいどのようなことがあったのか、気になるところです。愛情が深ければ深いほど、知りたいような、知りたくないような…。
私は、ようやくそれを知ってもいいな、と思えるようになりました。それは、決定的だと思われていた両者の間に横たわる溝が、平和的に埋まりつつあるのを見たからです。やはり、当事者にとっても、そういうタイミングだったのでしょう。2004年になって、4月に三沢が「理想主義者」を、そして京平さんが12月にこの「人生は3つ数えてちょうどいい」を上梓しました。三沢はノア旗揚げの時に、その辺の事情も含めた自叙伝を書いていますが、時期が時期だったためか、ちょっと私には理解できない部分がありました。しかし、この京平さんの本を読んで、本当の三沢の苦悩も理解できたような気がしました。そして、心からホッとしました。私はどちらも、誰も、悪者にしたくなかったのです。それはもちろん、全日本を、馬場さんを愛しているからです。
京平さんのこの本には、とにかく人の悪口が出てきません。形としては自分を裏切った人に対してもです。これはもちろん、馬場さんの生き方そのものですし、京平さんの人柄そのものでもあるでしょう。
いや、正確に言うと、馬場さんの奥さんである元子さんに対しては、けっこう厳しい表現をしているところがあります。これは、京平さんと元子さん、そして馬場さんとの強い絆がなければ、できないことです。そして、京平さんの信念。つまり、自分が最も大切な人を批判することによって、袂を分かった人たちとの関係を修復しようという気持ちです。これには本当に感動しました。
昨日読んだ本の内容と重ね合わせるのは不謹慎でしょうが、正直、やっばり馬場さんは仏様だな、と思いました。そして、今は皆違う世界で活躍していますが、仏様の弟子はやっぱり仏様の弟子なんだな、と思いました。
明日からは「理想主義者」を読みます。
Amazon 人生は3つ数えてちょうどいい
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