『VISIBLE宇宙大全』 藤井旭 (作品社)
素晴らしい本!!文句なくおススメです。一家に一冊必携です。
発売以来、ちょっと高いのが気になり、買わずにいたのですが、このたび、あるルートから半額以下で購入することができました。買ってみると、なるほどこの定価でも十分納得できます。
なんか、ページを繰りながら涙が出てきましたね。忘れかけていたものを思い出させてくれました。
私は幼い頃から星が大好きで、本気で天文学者になろうかと思っていたくらいでした。残念ながら数学で挫折して、その夢はついえましたが、今でも自分のベースになっているのは、星の世界への憧れであるような気がします。言葉も音楽も宗教も科学も、そして自分もやっぱり宇宙の一部にすぎず、しかし考えようによっては、宇宙の一部を担っている…そういう憧れ。
小学校、中学校、そして高校、大学時代、私の星の先生は藤井旭さんでした。残念ながら実際にお会いしたことはありませんでしたが、本当に尊敬できるまさにスター的存在でした。たぶん、スカイウォッチャーの皆さんのほとんどが同じ意見だと思います。
もしかすると世界で最も有名な天体観測家、天体写真家の一人かもしれませんね。
学者さんではありません。とにかく実際の星に触れ、感動することを基本とした活動を続けてこられました。そして、それを子どもを中心に、多くの愛好家と共有することをライフワークとしている方です。
その藤井さんの理念、活動の総決算、集大成的なお仕事が、この本の編纂だったのではないでしょうか。
それほど素晴らしい内容なのです。何と言っても、そのボリューム。たしかに重すぎて手に持って読めない。しかし、だからこそ宇宙の広さ、深さ、重さを知るという感じです。何千点にも及ぶ美しい写真やイラストもさることながら、やはり、藤井さんの素晴らしい文章にメロメロです。さりげない話題から、いつのまにか壮大な宇宙の世界に引き込まれる。もうそれだけでページごと宇宙旅行の気分です。本当に大げさでなく。
確かな経験と知識、そして宇宙への愛情、人との友情…。妙な小説を百冊読むより、ずっと勉強になり、心が洗われます。宇宙に思いを馳せていると、なんか日常の憂鬱やら、地球人のいざこざやら、もうどうでもよくなってしまいます。みんながそういう気持ちになることこそ、今必要なことではないでしょうか。つまり、昔の人間が当たり前にやっていたように夜空を見上げること。
何かに迷ったり、行き詰まったりした時、なにげなく開いたページを読むのがいいでしょう。バイブルです。
子どものために、と思って買ったのですが、これはウチの家宝ですね。
Amazon VISIBLE宇宙大全
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