『デジタルを哲学する―時代のテンポに翻弄される〈私〉』 黒崎政男 (PHP新書)
センター試験1日目。朝起きると大雪。なんでまあ、毎年降るのかなあ。っていうか、なんで大寒の日にこんな大切な試験やるの?やっぱり、日本人は季節感を大切にする?試験には冬の厳しさがよく似合う。そして春には桜咲く…人生に季節を重ねて、自分たちを演出する。とてもデジタル的な思考からは出てこない哲学。しかし、そんなところにもデジタルのツナミは押し寄せる。我々教員は学校にて2ちゃんとにらめっこ。不思議な光景だ!
さてさて、そんなわけで、哲学という最も古い学問が、デジタルという最も新しい世界に、どのように関わってゆけるのか。たいへん興味のあるところです。
もともと、哲学は人間の知恵に対する希求のことですから、今の我々にとって最新、最高の知恵である(?)デジタルに対する哲学は当然成立します。
この本では、そのあたりについて、鋭く切り込んでいます…かと思ったら、そうでもなくて、結局、哲学は子を産み、育てて、そして死んだ…しかし哲学にとってのnothingはallでもある、という何とも哲学的な結論で終わってしまっています。いや、それが正答なんでしょうけれど。
ん? nothing=all って、もしかして0=1?今思いついたんですけど、これって究極のデジタル否定では?
期せずして、世の中がデジタルで割り切れないことを哲学が証明したってことでしょうかね。筆者はこんなことは考えていないと思いますが、この本から私にはこういうメッセージが届きました。
全体として哲学者らしからぬ(失礼)平明なトピックと文章で、楽しく読めました。2年くらい前の出版なのですが、あまり古さを感じさせません。2年後はわかりませんがね。たしかに時代のテンポが早過ぎて、哲学している(つまり無駄なことをしている…いい意味でですよ)ヒマがありません。
結局、筆者が骨董品を弄するように、意識的に(無意識的に)アナログ的世界を引っ張り出してきて、バランスを取っていかなければならないわけですか。じゃあ、これからこそ、哲学の時代じゃないですか。あっそうか。だから0=1なのか!恐るべし哲学。
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