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2004.12.13

グリーン・デイ 『アメリカン・イディオット』

B0002MOLB0.09.MZZZZZZZ これまた、遅ればせながら聴いてみました。世界中でかなり売れたようですから、それなりの内容であろうと期待しつつ。
 まず一言。パンクもずいぶんとスマートになったなあ。楽曲的に言えば、明るく元気でおしゃれ、演奏もうまいし、凝るべきところはちゃんと凝ってる。そして、何と言っても分かりやすい。だから売れる。これってパンクなんでしょうか。いや、パンクだよ、という前置きなしで聴けば、なかなかいいアルバムですよ。好きです…でも…。
 もともとロックが持っている矛盾というか、運命というようなものの残酷さを感じましたね。ロックという概念は、反社会的な部分から始まっているはずです。しかし、ロック自体はあらぬ方向に進化してしまった。他のジャンルと融合し、商業的になり(つまりとっても社会的になり)、カッコいいおシャレなものになってしまった。難しいことをやってみせる優等生になってしまった。そこに、現れたのがパンクでしょう。
 ピストルズも、たしかに商業的な産物です。しかし、あの頃のイギリスの経済状況からすると、それ以上の意味を持ち得た。鬱屈した若者のエネルギーを受けとめるだけのパワーがあったわけです。それはロック自身への反抗だったのではないでしょうか。優等生になってしまったロックに対する問題提起だったはずです。
 しかし、彼らがやった音楽は、劣等生だったからこそ、つまり分かりやすかったからこそ(例えば和音が3つしかないとか)売れてしまう。ロックから離れていた層、ロックに愛想を尽かしていた層をも取り込んでしまった。そうして巨大になれば、また商業的になる。次は何をやってくれるんだろうという期待を受けて、進化を余儀なくされる。そうして、結局今のような状況に…。実に皮肉な運命です。
 パンクという言葉自体が、ファッションになり、洗練されたイメージすら持つようになってしまったわけです。だから、グリーン・デイの矛先が、いくらブッシュ政権に向かおうとも、やはり雰囲気でしかない。気分にすらなっていないような気がします。それでも彼らの音楽が素敵なのは、残念ながら優等生だからです。
 正直、ランシドの方が荒削りな乱暴さを残しており、気持ちよく聴けました。優等生にならないように、という努力のあとがうかがえました。さあ、今度ホンモノのならず者が現れるのは、いったいいつなのでしょう。そういう社会情勢を期待してはいけませんが。
Amazon アメリカン・イディオット

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今会社で進行してるプロジェクトで、外部に発注してる曲が上がってきてて聴かせてもらったんだけど、もろプログレでELPだったりする。別にフレーズまんまパクッてるわ... [続きを読む]

受信: 2004.12.28 11:28

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