チック・コリア&フレンズ 『バド・パウエルへの追想』
錚々たるメンバーによるバドへのオマージュ。久々に出してきて聴きました。うん、いい!
まずメンバーを紹介しましょう。
チック・コリア(p)、ロイ・ヘインズ(ds)、ケニー・ギャレット(as)、クリスチャン・マクブライド(b)、ジョシュア・レッドマン(ts)、ウォレス・ルーニー(tp)
これだけで、すごさが分かりますね。
このメンバーで行なったパルテノン多摩でのライヴ映像も見ましたが、演奏の完成度はやはりこちらCDの方が高いと思います。スタジオ録音でも十分ライヴ感あふれていますし。
しかし、はっきり言ってしまうと、私が感心するのは、その演奏ではありません。では、何に?
そうです。やはりバドの楽曲の素晴らしさにです。かっこよさにです。
バド自身の演奏でバドの曲を聴くと、私はついその演奏の存在感に耳を奪われてしまうのですが、こうして違う人の演奏で改めて聴くと、やっぱり作曲家としてのバドの才能に驚かずにいられませんね。
穐吉敏子の時も、そんなふうに思いました。ただ、穐吉さんの場合は、本当にバドのお弟子さんという感じで、比較的似たようなタッチで弾いていましたから、それほど新鮮な感じはしませんでした。一方こちらはチック・コリアですからねえ。全然タイプが違います。だからこそ、楽曲が際立って聞こえてくるのでしょう。
さすがチック。かなり斬新なアプローチで現代風にまとめあげています。いろいろなアイデアを駆使して料理しようとしていますが、バドの曲は動じません。バッハとかビートルズといっしょです。違うジャンルにアレンジされても、そのアイデンティティーはゆらがない。名曲の条件ですね。
チックのオリジナル曲も、バドからインスピレーションを受けてか、なかなかいい曲です。
最後にあえて演奏のことを一つ。どなたも名手ですので、文句のつけようがありませんが、特に素晴らしいのはリズム隊でしょう。ちょっとつんのめりながら爆走する若いマクブライドを、絶妙の安定感で支える超ベテラン、ロイ・ヘインズ。ジャズ・アンサンブルの妙ですな。
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