『火垂るの墓』 野坂昭如
戦争教材第4弾。ジブリのアニメじゃありませんよ。原作です。
アニメの方が、何しろ有名になってしまいましたからねえ。毎年夏の夜に見ながら泣いてる人も多いのでは。ちなみに私は原作を先に読んでいましたから、とてもとても泣けませんでした。
原作者の野坂昭如は「アニメ恐るべし」と言ったそうですが、その真意は何だったのでしょう。私は、アニメによる演出効果…もちろん泣かせのですよ…に恐れ入ったのではないかと思います。
確かにかわいそうな話です。とにかく節子はかわいそうだ。しかし、戦争がただ「かわいそう」で済まされてしまう恐ろしさもあると思います。かわいそうはセンチでしょう。センチは美化の入り口です。
私は辛いけれども、やはり清太を責めたい。金持ちのボンボンの甘えに腹を立てたい。なぜ金もあり、身寄りもあった兄妹が、戦後死ななければならなかったのか。そこをしっかり考えるべきです。原作は冷徹な、いや冷酷な文体をもって、それを考えさせてくれます。しかし、アニメはどうでしょう。あの感傷たっぷりの表現はホンモノの戦争なのでしょうか。もちろん、商業的な作品だということは分かっています。しかし、あの作品に強い違和感を抱く私がいるのも確かです。
生徒たちはもちろん毎年泣いているクチです。それは健全なことです。原作なんて知らないんですから。しかし、今日、原作を読んだ彼らは、きっと来年の夏には違った気持ちであのアニメを見ることでしょう。
ちょっと考えれば、全ての観客から敵意を抱かれる、あの親戚のおばさんの言動が、人間として当たり前、正常なものであることが分かるでしょう。その考える力を奪うのが、あのアニメの恐るべきところです。それこそが、アニメに限らず、いわゆる総合芸術の怖さであり、素晴らしさだと思うのです。つまり、感情に直接入ってくる。文学との大きな違いです。
それにしても、あの作品、トトロと2本立てだったんですよね。当時の子どもはすごいものを同時に見ていたんですね。どっちを先に見るのが幸せかなあ。う〜ん、微妙ですね。
いずれにせよ、私は映画やアニメや音楽が大好きですが、それらに感動したら、なるべくオリジナルとも出会おうとするようにしています。それが私の基本姿勢です(ヒマとお金がありませんが…)。
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