荘野ジュリ 『36度5分』

以前に紹介した荘野ジュリの1stアルバムが届きました。まず、1回通して聴いた感想を。
1曲目が「カゲロウ」。この曲は大好きでかなり聞き込んでしまいましたから、特に感想はありません。ただ、どうでしょうかねえ、1曲目に持ってきたのは。ちょっともったいなかったかもしれません。
日本の場合はほとんどが、シングルが出てからアルバムが、というパターンですから、その曲がアルバムの中でどういうポジションで、どういう役割を与えられるのかというのが、一つの興味の対象になるんですよね。トップに持ってこられると、どうもその意図が読み取れない。楽曲自体がアルバムにしっくりとなじんでいかないことが多い。今回はその典型。
他の曲はまあ、可もなく不可もなくって感じでしょうか。駄作もないかわりに、これはというのもありませんでした。全体としてのクオリティーは結構高いと思いますが、マイナー曲がほとんどなのと、変形のないリフレインが多すぎるのとで、やや単調な印象を抱きました。
アレンジ的には、ラテンのテイストを上手に採り入れているなと思いました。しかし、一方で打ち込み系のリズムと音色が、後半に行くにつれて、ちょっと耳に辛くなりましたね。ボーカルが比較的淡々としているので、もう少し生々しくても良かったかも。生のラテンにこのボーカルを乗せた方が、効果的なコントラストが現れたかもしれません。このあたりは、最近の楽曲の問題点ですね。演奏というものの本質を問いたいところです。
まあ逆に言えば、こうした音造りのおかげで、荘野ジュリの詞の世界が前面に出てきているとも言えます。一見ネガティヴな内容の詞が多いのですが、言葉とシーンの選び方に並々ならぬセンスを感じましたね。う〜ん、こう来たか、という感じ。古典的な言葉の配列から、今まで全く見たことのない風景を現出させる。詩人としての能力ですね。そのあたりを噛みしめながら、これから聞き込んでみたいと思います。
Amazon 36度5分
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