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2004.11.13

『電車男』 中野独人 (新潮社)

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 う〜ん、不覚にも最初から泣いてしまいました。そして一気に読んでしまいました。文芸作品(?)で、こんなに私を夢中にさせたのは、正直言いますと「バトルロワイヤル」以来です。私の文学的レベルなんてそんなもんです。ははは…。
 私は「モノガタリ」とは「モノ」を「カタル」こと、つまり「受け手の知らない情報」を「メディアを介して受け手に提示する」ことだと考えています。そういう意味で、インターネット上の掲示板は、注目すべきモノガタリの場です。非常に古典的な文字言語と、そこから派生した非常に原初的なイラスト類(AAや顔文字など)とによる語り合い(コミュニケーション)。しかし、そこには非常に現代的な即時性と開放性が付与されている。一方で、各コミュニティー特有の語彙や文法が多用され、その発言(書き込み)内容にもある種独特な掟(空気を読む義務)が存在するため、結局濃厚な社会性を要求される。私はずっと、こういった興味深いメディアが新しい文学を産む可能性があると期待していました。そこに「電車男」が、というより、彼と彼を取り巻く語り部たちが登場したわけです。
 作品は私の予想以上に素晴らしい内容に仕上がっていました。いわゆる生ログでも、それはそれで立派なモノガタリ作品でしょうが、まあ、一般向けとして、こうしたエディッテッド・バージョンもありだと思います。いや、それでも、2ちゃんリテラシーを知らない人にとっては、「場」自体が「モノ」でしょうから、理解不可能かもしれませんね。だからと言って、作品の価値を貶める必要はありません。新しいモノとはいつもそんなものです。
 それにしても、この読後のほのぼの感はなんでしょうね。私はこの作品の主人公は「電車男」でもなく「エルメス」でもないと思います。不特定多数の「Mr.名無しさん」たちだと思います。そして彼ら彼女らの心の温度が、私を温めてくれたのだと思います。なんか、性善説を信じたくなりました。いや、正確に言うとヲタク性善説かな?

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