『渚のシンドバッド』 橋口亮輔監督作品
やっとDVDになりました。私の最も好きな映画の一つです。何度観てもいい。胸がキュンとしますね。
これは奇跡的な作品だと思います。特典映像の中で監督や岡田君も言っておりました。偶然に偶然が重なった作品だと。神が降りたのでしょう。
なんといっても、まず岡田義徳、浜崎あゆみ、二人の圧倒的な魅力です。私が初めて観た時、まだ浜崎は歌手としてはデビューしていませんでした。しかし、この女優のこの存在感、翳の魅力は何なんだ!これは大物になる!と思いましたね。繊細すぎる岡田君も最高。そして、奸原役の山口耕史君(今は立派なラッパーです)がいいですねえ。エンディングの彼の哀愁漂う背中…たまりません。
話によると、リハーサルは本番の前後のシーンだけを繰り返し、本番はその流れでほとんどアドリブで撮影したそうです。なるほど、演技が演技ではなく、妙にリアルなはずです。セリフが聞きづらかったり、かぶったりしますが、それがどこかドキュメンタリー風で効果を上げています。こういう演出法もあるんですね。感心、感心。
内容的には17歳のひと夏の甘酸っぱい想い、という感じですが、そこにゲイとレイプいう、ある意味非日常を織り込むことによって、切なさ、やるせなさ、言葉の無力さを上手に、しかし自然に浮かび上がらせています。
言葉が無力であることをリアルに痛感した者しかできない表情を、出演者みんながしています。それだけ、監督が彼らを本気で悩ませたのでしょう。そうでないと、あんな空気は作れませんよ。感情移入とかいう次元じゃない。本物の感情の交錯、衝突なのです。
いかにも日本映画です。小津作品にも似た、淡々とした感動を呼びます。もし、もしもですが、自分に才能があって、映画を撮ることができたとしたら、こういう作品を残したいと思います。
それにしても、あの田舎の夏みかん畑について語るシーンでの浜崎の穏やかな表情、その前後とのコントラスト抜きにしても、やっぱり泣けます。美しい。彼女には歌より芝居をやってほしい。彼女自身は、この映画を「美しすぎる」という理由で見返していないそうですが。
ps浜崎あゆみと安西ひろこが共演してることに気づいてる人、どれくらいいるのだろう…。あと、未公開シーン…ちょっと衝撃でしたが、私はカットしなくてもよかったのにと思いました。
Amazon 渚のシンドバッド
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コメント
コメント有難うございます!
すごい写真です。。。
初めて知りました。。。
ところで、確かにあゆのファンではありますが、TOPページの縦書きに一番驚いたのは私だけでしょうか???
初めて縦書き見ました!
かっこいいっす^^
またちょくちょく遊びに来ます!
これからも宜しくお願い致します!
投稿: ちゃっぷる | 2005.12.21 08:32
いえいえ、こちらこそ。
渚のシンドバッドの浜崎…ホントものすごいです。惚れます(笑)。
私もあゆを見にそちらに行かせてもらいますね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.12.21 08:41