『封印作品の謎』 安藤健二 (太田出版)

力作です。有名なウルトラセブン第12話など、封印されてしまいウワサや憶測が先行してしまっているメディア作品の真相に迫っています。友人が面白いですよと貸してくれました。
もともと、影の歴史や差別問題、さらには裏情報などに目がない私のことです。こういったネタは大好き。一気に読んでしまいました。上質なドキュメンタリー番組を見たような読後感が残りました。
セブンの第12話など、ある程度の知識はあったつもりでしたが、筆者の語る真相は新しい発見に満ちており、いかに私の思い込みがいい加減なものかよくわかりました。無責任な掲示板の情報などを鵜呑みにして、シッタカをきめこんでいたと思うと恥ずかしい限りです。
この筆者は、なかなか冷静沈着です。さすが元新聞記者。ルポの内容も説得力があります。単に興味をあおるような物書きさんたちとは一線を画し、ていねいにていねいに取材しています。結局謎のままという部分も多いわけですが、決して消化不良に終わりません。逆に納得して終われます。やはり、どこか、謎のまま闇のまま終わってほしいという願望が、私にあるのでしょう。そのあたりが絶妙のバランスでしたね。私には。
封印させる側の論理、封印する側の論理、両方理解できます。もちろんそうした衝突を事前に避けたいメディア側の論理もわかります。しかし、封印することが逆差別になりうることも忘れてはなりません。小人プロレスなんかもそうですね。
ブラックジャックに封印された作品があることなど、不勉強な私は知りませんでした。読了後、生徒が持っていた文庫版BJの一冊をめくったら、本当に偶然、この本で話題になっていた「フィルムは二つあった」が載っていました。今まで何気なく読んでいたものが、全く違って見えたのでびっくりしました。これが勉強の面白さですね。
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