『運のつき』 養老孟司 (マガジンハウス)
誰が買ったのか、ウチの本棚にあったので、読んでみました。
まず南伸坊の装丁が素晴らしい。このデザインに私の脳が反応します。
肝心の養老節の方はどうでしょうか。まあ、節回しはかなり好調でしたね。内容は、そうですねえ、講演で聞くなら面白いんじゃないですか。その場その場では「あっ」と考えさせられる。しかし、すぐに次の話になっていくから、深くは考えられない。でも「あっ」は「あっ」で、それなりに快感です。
筆者の本では、『結納論』じゃなくて『唯脳論』と『「都市主義」の限界』、あと、ビートたけしとの対談が格別勉強になりました。それらに比べると、やはり軽いですね。(『パカの壁』についてはノーコメント)
この本では、珍しく「脳」を連呼していません。私はなんでも「脳」のせいにする、そんな養老先生の脳が大好きですから、ちょっと物足りなかったのでしょう。
でも、心に残る部分もありましたよ。たとえば、両極端の意見を理解することが中庸である…なぜなら、両極で成り立つことは、その内側でも必ず成り立つ、というお考えには、なるほどと納得させられましたね。そうありたいものです。
筆者の言う脳化は、私流に言うと「コト化」です。科学や都市が招く「安心」は、「モノ」からのインスタントな逃避だと思います。かないっこありませんが、そのあたりを筆者と語り合ってみたいですなあ。
そうそう、この本のどこかに唯脳論と阿含経の内容が似ていてびっくりした、というようなことが書いてありました。そこを具体的に知りたいですね。面白そうです。
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