『ライフ イズ ビューティフル』 ロベルト・ベニーニ脚本・監督・主演
戦争教材第2弾。これも見せるだけ。何も語りません。今日も生徒ともども泣きました。
いろいろな映画に感動してきましたが、やはりこれはベストテンに入りますね。どんなに良い作品でも、何度か見るうちに、不満な点が出てきてしまうものですが、これは違う。非の打ち所がありません。私にとっては、全てが完璧。
この映画、戦争のシーン抜きで戦争を描いていると言えます。そういうものは他にもありますが、ユーモアを前面に押し出すことによって、悲哀を増幅させるという演出技法に、私はすっかりやられちゃいましたね。ベニーニやるな。
お笑いの人という意味では、北野武に近いのかもしれません。しかし、北野演出にはちょっとまじめぶりすぎる(つまり、ユーモアの対極で無理やり勝負しようとする)きらいがあるので、時々鼻につくんですよね。その点、この作品でのベニーニは最後の最後までユーモアを貫こうとする。その徹底ぶりが、ユーモアの対極を通り越して説得力を持ちます。
それにしても見事な脚本ですね。リアルではありませんが、モノガタリとしては最高のシナリオです。伏線の配置の仕方、絡み合ういくつかのストーリーのバランスの良さ、前半と後半のコントラスト。私は見るたびに、小津安二郎監督の「生まれてはみたけれど」を思い出します。この全く違うと思われているであろう2作品が、私の頭の中ではいつも仲良く並んでるんですよね。
いずれにせよ、大いに笑い、大いに泣き、大いに考えることのできる、永遠不朽の名画でしょう。人類の財産です。こういう作品に出会えるから、まさに人生はすばらしいのです。
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