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2004.10.20

 『猫語の教科書』 ポール・ギャリコ (ちくま文庫)

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 猫好きたちは、皆、自分が世界で一番猫が好きだと思っているものです。しかし、何事にも上には上がいるもの。私も、かなりの猫好きを自認していましたが、結婚してみてすぐにそれは間違いだったと知りました。今では、自分はそれほど猫が好きではないのではないか、なんて思うようになってしまいました。それほどウチのカミさんは猫を溺愛しているのです。実際、(私はもちろんのこと)子供たちよりも猫の方がかわいい、なんて言い出す始末ですから。ちなみにウチには黒猫が2匹います。
 これは、猫の立場から書かれた、いかにして人間を手玉に取るかという内容の教科書です。猫の言葉で人間を描くという意味では、漱石の処女作と同じ発想なのですが、こちらはよりリアルですね。猫自身がタイプライターを打って書いたという設定も面白い。
 漱石の時もそうでしたが、こうして猫ごときに揶揄される人間の一人として、読後いいもしれぬ怒りに、いえいえ喜びにうち震えてしまいます。全ては猫の意志のまま私たちが操られている…うすうす感づいていたことですけれど、やっぱりね、でもいいんだ。プロレスの本質を知って、ますます愛情が深まるというのと同じですね。
 筆者であるネコちゃんが繰り返し書いている「人間は擬人法で猫を見ている」という言葉、人間という種のエゴイスティックな性格を見事表現しています。その点も納得してしまいました。
 ところで、この筆者、いやいや、猫語の翻訳者は、あの「ポセイドン・アドベンチャー」の原作者なんですね。知りませんでした。
Amazon 猫語の教科書ちくま文庫

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