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2004.09.30

『美少女戦士セーラームーン キラリ☆スーパーライブ』(DVD)〜ゾイサイト(遠藤嘉人)のこと

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 初めに言っときますが、買ったのは私ではありませんよ。ちなみに娘たちでもありません。犯人はカミさんです。しかし、たしかに面白かった!残念ながら大笑いしてしまった!う〜ん不覚。
 いわゆる歌謡ショーなわけですが、そのいわゆる歌謡ショーのショーの部分、え〜とつまり、歌じゃなくて、お芝居とかMCの部分、え〜と、特に男性軍(つまり、悪の四天王)が実にいい味出してくれてました(なんかシドロモドロ)。カミさんも実はそのあたりが目当てで買ったようです。特別トラックとして「男だらけの座談会」というのもありますし(これも面白かった)。
 四天王の内、中心的な進行役を買って出たのは、思った通りクンツァイトこと窪寺昭さん。一気に会場の空気を自分のものにする、彼の絶妙のアドリブと毒舌トークは、さすが舞台俳優さん!という感じでした。その他の3人が正直シロウトなので、彼の素晴らしさが際立ちます。
 というか、そのシロウト3人のそのシロウトぶりが初々しく刺激的です。中でもゾイサイト役の遠藤嘉人くんはカワイイですな。いやいや、彼はピアノはもちろん、ギター、ベース、フルート、ヴィオラなどなど何でもこなせるホンモノのミュージシャンなんですよ!私は彼が音楽の世界で羽ばたくことを心から願っています。そうそう、彼のホームページなかなか面白いですよ。オリジナル曲けっこういいし。
Amazon 美少女戦士セーラームーン...

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2004.09.29

TIME FIVE 『SUPER HARMONY』

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 日本を代表するスーパーアカペラグループのアルバムです。TIME FIVEは今年で結成35周年(!)。一度もメンバーチェンジしていないという恐ろしいオジサマ5人組です。それにしては、一般の日本人にはあまり知られていないんですよね。世界的な実力者なんですが。とは言っても、CMソングを1000曲以上歌っているそうですから、絶対に一度は耳にしているはずです、日本人なら。
 今は少し下火になりましたが、ちょっと前までアカペラブームでしたよね。私とカミさんも、恥ずかしながら「はもらーず」というグループで歌っておりました。アカペラというのは、音楽の基本である歌と合奏の最もシンプルな形ですから、お手軽なようでなかなか奥が深い。うまい下手がはっきりします。TIME FIVEは、テクニックが完璧なのはもちろん、その声質のバランスや表現のセンスの良さも傑出しています。彼らを聴いてしまうと、某ゴスぺラーズなど、おいおいって感じになってしまいますよ。レベルが違います。
 このアルバムは、ジャズのスタンダードナンバーから最近のヒット曲まで網羅した、一見ブーム便乗盤風な選曲なのですが、実際の内容はとんでもない!歴史の重みすら感じる超名演の連続です。
Amazon スーパー・ハーモニー

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2004.09.28

木下貴雄!(無名の画家の名前判明!)

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 26日づけのこのコラムで情報を求めていた、「無名の画家」のお名前が判明いたしました。無名の名前が判明とはちょっと変な感じですが。2ちゃんでも全然答えが返ってこなかったので、最後の手段(てか、最初の手段では?)NHKにメールしてききました。そして今日、丁寧なメールが来まして〜9月26日(日)放送「おはよう日本 日曜特集放送 絵に一生を奉げた画家」で紹介いたしましたお尋ねの画家名は、[木下貴雄さん]です〜とのお答えをいただきました。
 早速検索して画像も取り寄せました。う〜ん、やはりいいですね。エネルギーを感じます。本当に孤高の画家ですよね。生涯独身、ゴミ収集で日銭を稼いでは画材を買い、制作に没頭する。団体や展覧会、コンペには無関心。そして死後評価が高まる。ある意味パターンですが、それを実際にやるのは、やっぱりすごいことですよ。
 鹿児島の孤高の画家と言えば、田中一村も思い浮かびます。彼の作風も、自信に裏付けられた力強さを感じさせます。私には才能なんかありませんが、もしあったとしても、やっぱり生きているうちに名声を得たいと思ってしまいますよ。いわゆる天才は皆孤高なのかもしれません。社会とは相容れない存在なのでしょう。

木下貴雄遺作画集

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2004.09.27

ジョアン・ジルベルト 『ジョアン・ジルベルトの伝説』

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 いつの間にか、このCDも廃盤になってました。なんか御自身とレコード会社の確執が原因とか。私は何気なく買ったのですが、日本には3000枚しか入ってこなかったそうです。買っといて良かった…。いまやオークション物ですからね。
 それにしても、ジルベルトってすさまじい天才ですね。このアルバムは初期の3枚のアルバムからのベスト38曲を集めたものです。何しろ70分以上聴いていても、全くあきることがありません。この頃(1960年前後)というのは、まだまだボサノヴァというジャンルが定着していないと思うのですが、何でしょう、この存在感!安定感!…当時の人々には本当に新鮮に響いたでしょうね。突如として一つのジャンルを作ってしまう天才青年の姿がここにあります。この後、アメリカでジャズで出会い、ゲッツらとさらなるチャレンジに邁進していくわけですが、私としてはこの頃の純粋なジルベルトが好きですね。
 独身時代、このCDを買って大いに刺激を受けた私は「ジルベルト奏法」なる楽譜まで手に入れ、慣れないギターなんか練習しちゃいました。もちろん、全く弾けるようになりませんでしたが。しかし、それらの楽譜に触れてみて、彼の天才ぶりがさらに良く分かりました。ボサノヴァって本当に複雑な和音でできているのですね。不協和音の連続が、こんなにもやわらかく美しいものだとは…音楽観が一変しました。
参考CD Amazon ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョー

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2004.09.26

鹿児島出身 無名の画家 情報求む!

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 今日の朝、7時半ごろ、NHKのニュースの中で、鹿児島出身の無名の画家についてのコーナーがありました。なんでも、最近61歳で亡くなり、東京のアパートから約3000点の絵が見つかったそうです。私の目はその放送を見て、本当に釘付けになってしまいました。信じられないくらい魅力的だったのです、その絵たちが。どうも鹿児島で遺作展をやったらしいのですが、ついうっかりその画家の名前を失念してしまい、インターネットで調べても、どうしても分からず(珍しい)、2ちゃんで質問しても、全然回答がありません(珍しい)。
 その画風は印象派の影響を感じるものでした。とてもしっかりした基礎の上に、自身の個性を模索しているように感じられましたね。いわゆる繊細さと力強さを併せ持った感じでしょうか。中学生時代に描いた自画像も、本当に天才的な輝きを持っていました(暗〜い絵でしたが)。一時期画家になることをあきらめたようですが、どうしても絵筆を捨てられず、会社勤めをやめてからは、絵を展覧会に出したり、売ったりせず、ひたすら描き続けたそうです。
 晩年、癌を宣告されてから、故郷鹿児島を回って描いたという何枚かのスケッチが紹介されました。絶筆になった沈みゆく夕陽の哀しくも明るく力強い色彩に心震えました。生き様も含め、たぶんこれから注目を浴びることでしょう。それが彼の本望かは別として…。

木下貴雄!(無名の画家の名前判明!)

木下貴雄遺作画集

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2004.09.25

実写版セーラームーン  最終回!!

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 いやはや、今日は忙しかったなあ。宿泊学習会が終わってすぐにコンサート(ピアソラ&冬ソナ!)だったので、さすがに疲労困憊。とか言いつつ、朝は生徒達が食事をしているスキに、しっかりセーラームーンの最終回を車の中でチェック!何やってんだか。不覚にも1年間1回も逃さず見てしまいました。
 さて、その最終回の内容ですが、う〜ん、結局予定調和に陥ってしまいましたが、それは子ども番組だから仕方ないでしょうし、アニメ版の最終回の反省やらもあったのでは。しかし、最愛の人と戦わなければならない葛藤、そしてその人を殺してしまった後の、ショックのあまりプッツン自爆テロ的みんな道連れ地球破壊(?すみません、表現力乏しくて)というのは、なかなかショッキングでした。
 正直7時45分頃までは、えっ?エヴァ?AKIRA?っていう勢いでしたからねえ。そのまま終わったとしたら素晴らしかったわけですが、もちろん後半の15分が残ってます。後半はなんとなく無理やり救い上げちゃったという感じで納得いかなかったのですが、何度も言いますが子ども番組なんで。
 全49話終わってみて、全体としては結局駄作の烙印を押されても仕方がない作品になってしまいましたね。子どもの間でも、社会現象というほどにまではブームになりませんでしたし。敵味方問わず、個人個人の描写が中途半端に終わってしまって残念でした。
参考DVD Amazon 美少女戦士セーラームーン(9)

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2004.09.24

SUZUKI(?) Chevrolet(?) CRUZE 青

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 以前、ウチの問題児(問題車)フィアットプントを紹介しました。今日はもう1台、私が常用している方をおススメしましょう。なんでまた、こうも妙な車を買ってしまうんでしょう。一応ブランドはGMシボレーですので、2台とも外車?ちなみに2台足しても300万円に遠く及びません(新車で)。まあ人と違う車に乗りたいし、外車には憧れるけど、結局貧乏臭い、というわけですな。こういう組み合わせで持ってる人、他にいるのかな?世界中探せばいるかもね。
 しかし、このクルーズ君、ただ希少車というだけはなく、なかなかの実力車だと思います。ウチのあたりは結構豪雪地帯でして、それも山ん中なので、除雪がなかなか入りません。50センチくらいの新雪の中を走るのは日常茶飯事なんですよ。だから、当然四駆が必須。以前はジムニーでした。私は一生ジムニーに乗るんだって宣言していたのですが、さすがに家族ができると、あの車では冬以外の季節はきついんですよね。それで、まずkeiにしました。あれもまあまあだったんですが、普通のフルタイム四駆だと、やっぱり年に2回くらいスタックしてしまう。それで、昨年末EMCD4WD搭載のクルーズに乗り換えました。この四駆システムはなかなか秀逸で、ジムニーに肉薄する走破性を実現しています。その他の点でも、まあ満足してます。
 CMのお陰か最近少し増えましたねえ。青は絶滅しましたが。

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2004.09.23

DAWN808 (アルコール分解ドリンク)

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 昨日、なんだかんだ言って、ふなぐちを3本も呑んでしまいました。今日は三鷹でペルゴレージの練習があったので、二日酔いだけは避けたかったのですが…。早朝5時に目が覚めると、頭はグラグラ、心臓はドキドキ、足もとはフラフラという具合で、正直こりゃやばい、あと2時間寝ても絶対抜けないな、という感じでした。こんな時はこれに限ります!早速一缶ゴクッとやって再び寝ました。結果、8時には完全復活!ありがたや。さてさて、この怪しいドリンクの正体は?
 実はこれ、アルコール分解ドリンクなのです。
 以前、韓国でホームステイした時のこと。とにかく毎晩呑むわ呑むわ…こいつらのパワーはいったいどこから…そして朝はいつも6時にたたき起こされるのです。そして千鳥足で向かうのサウナ。そこで体内のアルコールを強制排出し、そして最後は仕上げに妙なドリンクを飲むのです。ハングルは分かりませんが、なんか漢方薬のような味がして、どうも二日酔い防止の効果があるようです。実際なんとなくスッキリしたような気がしたので、日本に帰ってきてからも、その怪しいドリンクを常備したくなったわけです。で、ネットで見つけました。
 ハンノキから作るんですねえ。なんでも世界発明グランプリをとったとか。本国では年間500万本出荷してるって、本当かなあ?最安でも1本500円以上しますが、効果を考えれば安いかも。

DAWN808 (119ml)

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2004.09.22

菊水酒造 『ふなぐち』 一番しぼり 生原酒

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 今日は近所でしゃぶしゃぶパーティーがありまして、たらふくお肉をいただいてきました。皆さんはビールや焼酎の抹茶割りなどを楽しんでおられましたが、私は一人日本酒をちびちびやりました。珍しく「ちびちび」なのには理由があって、それは飲んだお酒が「ふなぐち」だったからです。このふなぐち、生原酒ですのでアルコール度が高く19%。ごくごくやったらすぐにぶっ倒れます。また、大変濃厚な風味ですので、自然とちびちびになります。
 ふなぐちはコンビニで買えるワンカップ(缶)のお酒としては、格別に美味い酒ですね。キャップに記されている解説によると、なんでも日本最初の生原酒商品だとか。生原酒ということですから、いわゆる火入れをしていません。ですから当然お酒自体が生きています。その結果、冷蔵していてもどんどん発酵が進みます。味が変化していくわけです。そして、それがふなぐちを呑む楽しみ、いえいえ、ふなぐちを選ぶ楽しみになるわけです。ふなぐちファンは、コンビニでその缶を手にすると、まずは缶をひっくり返します。そして缶底の製造年月日を確認します。2ヶ月以内ならさわやかな新酒の風味、6ヶ月くらいなら濃厚な原酒ならではの味わい、それ以上ならブランデーのような芳香と老酒のような味わい…今日はどんな味にしようかな、という楽しみがあるわけです。
 ちなみに今日呑んだのは新酒風味でした。

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2004.09.21

アンドルー・マンゼ(vn) リチャード・エガー(cem)  コレルリ  作品5(ヴァイオリン・ソナタ集)

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 久しぶりにバロックのCDを買いました。中古で半額以下だったので。25日にコレルリの作品5からちょこっと弾く予定があるので、まあ参考になるかな、と聴いてみました。
 この曲に関しては、シギスヴァルト・クイケンのあまりに素晴らしい録音があるのですが、選集のため、今度弾く第9番が入っていませんでした。このCDは全集です。実はこれが他人の演奏で全部聴く初めての経験なのでした。自分の気持ち悪い全曲演奏は何度も聴いてますが…。さて、バロック・ヴァイオリン第3世代(?)を代表するマンゼさんの演奏はいかに?
 結論。面白いのでおススメ!ただし、新品を5000円出して買うのはどうでしょう。いやいや、マンゼさんとエガーさん(特にエガーさんかな)、サービス精神旺盛で、やりたい放題やってます。オマケがたくさん付いてくるっていう感じ。それが現代的ということですね。確かに面白い。今までにない新鮮な印象を与えることには大成功しています。ファンが多いというのもうなずけます。
 しかし、どうでしょうねえ。ちょっとやり過ぎじゃないでしょうか。コレルリさん特有の快感のツボが埋もれちゃう。自分にもこういう創造性というかアイデアがあったら、きっと得意満面でこんな演奏すると思いますが、コレルリさんには聴かせられないなあ。マンゼさんのヴァイオリン自体は弱音がとても美しく好感を持てますがね。
Amazon コレッリ:ヴァイオリンソナタ

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2004.09.20

 『源氏物語のもののあはれ』 大野晋 (角川ソフィア文庫)

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 読み物(推理小説かな)としては、実にエキサイティングな本でした。一読の価値ありです。さすが大野晋さんですね。
 国語学という特殊な世界(言語学でも日本語学でもない、国学の一つかな)で、圧倒的な存在感を示している大野晋さん。御自身の思いつきを強引にストーリー化する最強の学者さんです。日本語の源流を南インドのタミル語に求める彼の学説に、大学生の私もずいぶんと入れ込んでいましたっけ。大野さんの本を読んだり、講演を聞いたりすると、その最中や直後は、絶対にこの先生の言っていることは正しい!と思ってしまいます。いや、思ってしまっていました。実に巧妙な内容なのです。よく論敵に指摘されることですが、自らに都合の良い部分しか書いていない、始めに結論ありきであまりに帰納的に過ぎるのです。人の話を素直に聞く善人は、すぐに洗脳されてしまいます。実際私も洗脳されてました。若い頃は多少はいい人だったのかも。
 でも、今は全然違います。今日読んだ本も、ちょっとびっくりするような強引さで私を興奮させてくれました。例文の引用とその解釈がずいぶんと恣意的ですなあ。その結果、本は赤ペンによる書き込みと?だらけ。ケンカを売る気は毛頭ありません。ただ、シンパにはなれません。
 まあ、興奮したアマノジャクの書き込みも、後で冷静に見ると、大野先生と同じ強引さを感じさせるものでしたが。

 (で、私の「もののあはれ」はこちらなどで…)

Amazon 源氏物語のもののあはれ 角川ソフィア文庫

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2004.09.19

NHKスペシャル 『老化に挑む〜寿命』

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 今日のNスペには勇気づけられました!今、私は一日一食を実践しています。朝昼は水分だけ。夜は野菜中心に食べたいものを食べたいだけ、という生活を続けています。おかげさまでベスト体重キープ、体脂肪率、内臓脂肪量低下、気力充実、病気知らず、という具合に楽しい日々を過ごさせていただいています。
 しかし、人にそのことを言うと、え〜大丈夫?という反応がほとんど。「朝食は必ず食べよ。3食しっかり食べるのが健康の基本」と言われ続けています。しかし、3食しっかり食べ始めてからの人類は、肥満、成人病、がん、脳卒中の急増に悩まされてきたのです。つまり、単純に言えば、カロリーの過摂取が人類の寿命を縮めてしまったのです。
 今日のNスペは、そのことを実例と科学的データに基づいて解説したもので、私の実践を後押ししてくれるものだったわけです。特に、日野原医師の食生活は、私のそれとほとんど同じだったので、正直「やったあ〜!それ見ろ!」と思ってしまいました。適度な運動も活性化酸素への対抗力アップを促す、と紹介されていましたが、それより何より、必要なカロリーと栄養素を過不足なく摂取するのが一番ということでした。
 たくさん食べて、無理やり運動するのが「健康法」のように言われますが、省エネ問題と考えれば、それは実に現代的な矛盾した発想ですよね。私はたぶん死ぬまで今のスタイルを貫きます。

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2004.09.18

テレビ静岡 制作 『富士山から日本が変わる』

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 夕方、何気なくテレビをつけたところ、こんな番組が放送されていました。最近富士山に越されてきたアルピニストの野口健さんが、環境後進国日本の現状を憂慮するとともに、アメリカや御蔵島の例を紹介して、今後の環境保護、環境教育のあり方を提案するという内容でした。自分も富士山に住む人間として、本当は常に考え、行動しなければならない立場にあるわけですが、実際そこに生活していると、その「生活」というものが中心になってしまい、環境が環境として見えてこなくなってしまうのです。ある程度健康なうちは、自分の体に無関心になってしまうのと同じでしょうか。
 この番組を見た後、私の住む別荘地に定住している人たちによる定例の会議がありました。そこで、話し合われるのは、いつものように、自分たちが「生活」の中で、どれだけ不自由や不便を味わっているか、他人様がどれだけ自分たちの「生活」を侵害しているか、管理会社や行政が自分たちの「生活」のために、いかになんにもしてくれないか…そんなことばかりなのです。誰一人として、富士山のこと、環境のことを話しません。自分たちの「生活」が、どれだけ自然の犠牲の上に成立しているか、省みることがないわけです。自分もその一人ですから、とても恥ずかしいのですが。カミさんには「まずは家の片づけから」と言われるし。う〜ん、悩んじゃいますね。

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2004.09.17

ALPS 『MD-5000』

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 ウチのプリンタはアルプスの名機「MD-5000」です。これを使っていると、いわゆるインクジェットプリンタは、どうしても許せません。なぜ、こういういいものが認められないのでしょう。こんなふうに思いつつ、自分は世間とは違うぜ!という信念の下、アルプスを使い続けているマニアな人たちが世界中に結構います。もちろん私もその一人です。
 MDプリンタは、顔料インクリボンを使い、溶融型熱転写方式で印刷するというものです。結果として、耐水性、耐光性に優れ、半永久的に色褪せなどしません(インクジェットはその点ひどすぎますねえ)。用紙を選ばず、にじみもないので、テキストなど完全に商用レベルのシャープさです。特色印刷も楽しいですね。例えば、金ピカとか、白とか。年賀状の印刷やTシャツの印刷に大活躍です。どこかのプリンタみたいに、1色なくなったら、他が残っていてもポイ…なんてことはなく、1色ずつリボンカセットを替えればいいので、結局安上がりですしね。ちなみに雑テキスト用には、エコブラックという繰り返し使用可能なリボンもありますし。
 では、なぜこんな素晴らしいものが店頭から消えたのか。結局、宣伝が下手だったんでしょう。アルプス電気ですから。まあ、音がうるさい、遅い、とかも言われてますが、それは本質ではないでしょう。
 後継機のMD-5500はアルプスのサイトから直接買えます。欲しい…。

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2004.09.16

『父・山口多聞 空母「飛龍」の最後と多聞「愛」の手紙』 山口宗敏 (光人社)

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 東京オリンピック開催、新幹線開業など、まさに戦後は終わったという節目の年に、私は生まれました。しかし、今思うと、私の幼いころは、高度経済成長の東京の地下道で、傷痍軍人が哀愁漂うハーモニカを吹いていたりして、実は戦争の残映が色濃く残っていたのでした。小学生の私の趣味も、戦記を読み、戦艦や戦闘機のプラモデルを作ることでしたし。
 そんな中、最も好きな軍人さん、なんてのもあって、それは空母飛龍の艦長「山口多聞」。単に自分と同じ苗字だったからでしょう(誕生日も一緒!)。空母大好きでしたし。まあ、ミッドウェー海戦記などを読んで、最期まで飛龍と運命を共にした名将、烈将として、心から惚れていたとも言えます。
 で、この本を読んでみて、本当にビックリ!軍人多聞からは想像しがたい、人間多聞がそこにいました。特に、二人目の奥さん孝子さんに対するすさまじいまでの愛情。こちらが照れくさくなるような手紙が多数紹介されています。それぞれの手紙の最後には、「貴女のことを忘れられない多聞より 私の好きでたまらない孝子さんへ」「貴女ノ写真バカリ眺メテイル多聞ヨリ ナツカシクテ食ベテシマイタイ孝子様へ」なんて言葉が並んでいるのです。
 お国のためと言いながら、実際はどんな気持ちで南洋に没していったのか、ちょっと考えさせられました。やはり戦争はいけませんね。
Amazon 父・山口多聞

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2004.09.15

山梨県環境科学研究所

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 研究所の皆さんに頑張ってもらうために、ここにおススメしておきます。
 今日、仕事の帰りにちょっと寄ってみました。以前訪問した時は、今一つの印象しか残りませんでした。今年から、荒巻先生が所長さんに就任されたということで、何か変わったかなと思って行ってみると、なんにも変わっていませんでした。
 環境科学研究所というのは、各県にあるようですが、どうなんでしょう、しっかり機能しているのでしょうかねえ。研究所なら研究所として専念していればいいのに、だいたい欲張ると失敗しますね。山梨の場合、研究・発信・教育・交流をテーマにしています。これでは、全てが中途半端になりますよ。行ってみれば分かりますが、展示にしろ、資料にしろ、解説にしろ、研究結果にしろ、全てが今一つな感じです。もし、理想を実現したければ、スタッフを今の5倍増しなければならないでしょう。
 今日は、富士五湖の湖底堆積物のボーリング調査に関する資料を所望したのですが、「え〜それはないですねえ」…って主要な研究成果でしょ!この調査結果にはずいぶんと新発見があったって、展示パネルで自慢してたではないですかあ!質問したいこともたくさんあったのですが、担当者不在ということで、残念でした。
 しかし、見学者も少なく、とても静かなので、ちょっとした勉強部屋として使うには、実におススメです。

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2004.09.14

高橋宏 薄井明  Mini-Max 英単語倍増計画(郁文堂)

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 私にとって英語はあまり重要な存在ではありません。ただ、言語として、日本語との対比として、興味はあります。特に語源マニアの私としては、なぜこの単語はこういう綴りなのか、この音は何を象徴してるのか、といったようなことが気になってなりません。それを知るための素晴らしい教材が今日届きました。生徒が使っているのを見て、ものすごく欲しくなったのです。
 この本は、接頭辞+語根で各単語を読み解き、その素性を明らかにしてくれます。例えばexpeditionはex(外へ)+ped(足)→足で外にでかける→探検、という具合です。ネイティヴの人に聞くと、こういう意識ほとんどなしに単語を記憶しているようですが(日本人の日本語の記憶も同様)。抽象的な英文になればなるほど、こういった構成の単語が多くなってくるのは事実ですので、受験やtoeicなどの対策としても有効かもしれませんね。日本語でも、高度な文章ほど、抽象的な漢語が増えます。知らない漢語に出会っても、その漢字一つ一つと、組み合わせを見れば、大概意味が分かるというのと、基本的には同じ原理だと思います。
 言葉にせよ、物にせよ、人にせよ、その素性を知る、性格を知る、愛情を持って接するということが、それらを忘れない条件だと言えるでしょう。私は記憶力がもともと劣っている上に、最近特に物忘れがひどいので、この方法が唯一の暗記法なのでした。
Amazon Mini‐Max英単語倍増計画

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2004.09.13

マキタ  水フィルター集塵機 M460

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 マキタと言っても実はイタリア製です。いわゆる水フィルター掃除機ですね。訪問販売で「ちょっとお宅を掃除させて下さい」と言いつつ登場するのが、このタイプ。今朝掃除したはずのリビングの床をガーッとやると、タンク内の水は真っ黒に濁り、髪の毛やらホコリやらの塊がいっぱい。次は布団の掃除をさせて下さい、と言われ、お願いするとまた大変。まあ、布団なんてのは、それ自体ホコリの塊のようなものですから、タンクの中はすさまじいことになります。それを見せられて、ウン十万円もする掃除機をつい買ってしまう…よくあるパターンです。ウチにもそういうセールスが来ることがありますが、ウチにはもうありますよ、2万円台で買えましたよ、ずいぶん高いですねえ、と言ってやります。
 確かに水フィルター掃除機はすさまじい効果があります。ウチはネコを2匹飼っていることもあり、毎日掃除しても水はドロドロになります。こいつは業務用ということで、パワーは申し分ないですね。フローリングをガーッとやると、ヘッドが床に吸い付きます。そして、表面のベタベタまで吸い取ってしまうのか、掃除後はツルツルスベスベになります。不思議なくらい。ちょっと大きめなのが玉に瑕ですが、コードやホースがものすごく長いので、コンセントを差し替えずに家中掃除できるのは結構便利。排気もクリーンですし、なかなかのすぐれ物ですよ。

マキタ水フィルター集じん機M460(送料無料)

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2004.09.12

東京事変 「群青日和」

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 今日は私の所属するバロックバンドのコンサートでした。どっぷりバロック漬けの二日間でしたので、夜はロックで耳直し(?)。椎名林檎姫参加のバンド「東京事変」のファーストシングル、生徒に借りて、早速聴いてみました。
 相変わらずの姫の魅力を堪能いたしました。しかし、全体の音の雰囲気としては、ソロとはだいぶ違いましたねえ。こちらの方が続けて聴くにはいいかも。つまり、耳あたりが良くなっているということです。それが物足りないという御仁もいらっしゃるやもしれませんが、これはこれで正調ロックだと思います。おいおいこれをロックと呼ぶのか?いやいや、基本的に姫の唄心はロックです。何を唄っても。詩の世界も、全体のデザインなども、いかにも林檎的ですし。
 個人的には亀田誠治様のベースがとっても良かった。さすが大御所(私と同い年でもう大御所かあ)。楽曲としては「その淑女ふしだらにつき」が良かったですね。姫の曲ではありませんが、演奏も唄もライヴ感たっぷりで、ドキドキしました。
 ただ、どうでしょう。長調の曲3曲というのは。私のみならず、林檎姫の奏でるダークな世界を期待した方も多いのではないでしょうか。たぶん、次にリリースされる「遭難」は、そっち系でしょう。いや、わからんな。タイトルだけで判断してはいかん。
 やっぱりライヴで聴きたいですね、このバンド。
Amazon 群青日和

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2004.09.11

Janusz Olejniczak  Genuine Chopin

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 このレコーディングも、今手に入りにくくなっているようですね。どういうわけでしょう。ここで演奏されているのは、ショパン自身が所有していたプレイエル1831です。この楽器の現在のコンディションがどんなものか私は知りませんが、実にすばらしい音色です。これを聴いてしまうと、現代のグランドピアノ(私は近代が生んだ化け物だと思いますが)で、ショパンを弾くことが、どうしても正しく思えません。ショパンも新しいモノ好きでしたから、改良されたピアノをどんどん手に入れています。しかし、現代のピアノを触ってみて、はたしてこれを弾きたい!と思うかどうか。ちょっと懐疑的になりますね。
 こうしてオリジナルの楽器で演奏されることによって、聴き慣れた(というほど聴いてませんが)ショパンの音楽が、全く違ったキャラクターでこちらに迫ってきます。とにかく繊細さを極めているのです。特にプレイエルの高音域は、まるでチェンバロのような響きがします。その鍵盤に、ショパンがどういう優しさとしなやかさをもって触れたのか、そんなことも自然と思い浮かべられる音色です。
 あっそうそう、演奏者のことも言わなくちゃ。この人、映画「戦場のピアニスト」の演奏を担当した人ですね。ショパンになりきって演奏をしています(たぶん)。時々ゾッとするような、かなり霊的な演奏です。
 歴史的な名盤。おススメ。
Amazon Genuine Chopin

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2004.09.10

富士山ハザードマップ〜富士山との共生

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 今日、富士山ハザードマップ検討委員会最終報告説明会に行ってきました。富士山に住んでいる自分にとって、富士山の噴火は生命に関わる大問題です。私自身、その懐に住むにあたり、当然噴火というリスクは常に意識していました。それなりに学会にも人脈を作り、情報も仕入れています。しかし、つい数年前までは、富士山はその若さと巨大さのため、分からないことが多すぎたのです。日本一の山、火山は、日本一謎が多かったのです。
 しかし、2000年、ある意味世界的にも画期的なことが始まりました。国主導の大規模な富士山防災プロジェクトです。その中心となるのが、ハザードマップの作成でした。爾来4年。多方面にわたる日本の英知を集結して、今年6月素晴らしいハザードマップが完成しました。
 そして今日、その成果が、地元住民(というか行政関係の方がほとんどでしたが)に報告されたわけです。内容は非常に分かりやすく、教訓と示唆に富むものでした。荒巻重雄先生(火山界のカリスマ)の生声を聞けたのはもちろん、池谷浩先生(防災界のカリスマ)の説得力抜群のお話にも感動しましたね。お二人とも「富士山との共生」を強調されていました。
 正しい知識と愛情、そして事前の準備と逃げる勇気…当たり前ですが、それが防災なのですね。ますます富士山が好きになりました。
 ハザードマップは内閣府のHPから入手できます。

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2004.09.09

オタク道 極まれり!  BSアニメ夜話「あしたのジョー」

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 昨夜放送分をビデオで見ました。朝4時半から。あんまり面白すぎて、2回続けてみてしまいました。6時半まで。いやはや、ホントこんなに面白い番組を久しぶりに見ました。
 確認しておきますが、私はオタクではありません。それどころか、オタクコンプレックスまで持っているのです。つまり、自分はオタクに向いていると思うのですが、オタク評論家、オタク研究者にはなれても、オタク本体にはなれていないのです。本当のオタクさんたちには羨望すらおぼえます。そのオタク道の集大成的番組がBSマンガ夜話、そしてそれを継ぐアニメ夜話でしょう。私は親にマンガやアニメを禁止されていたこともあって、本当に作品体験が希薄です。まあ、さすがにこの「あしたのジョー」は2も含めて見ましたが(再放送で)。
 しかし、その作品を全く知らなくても楽しめるのが夜話のいいところです。オタクのプロというかプロのオタクたちの、嬉々迫る(?)トークのエネルギッシュなこと!これほど人の話が終わる前に自分の話を始めてしまうのは、NHK的に言えば、まあ日曜討論と、ちょっと甘いけどしゃべり場くらいかな。
 それにしても昨日の放送は勉強になりました。出崎統さんねえ。ハム太郎も彼の仕業だったのか…。とにかく、オタクというのは、作家の意図や意識を越えて勝手に学問してしまう、恐ろしい遊びの精神に満ちた人々なのでした。まいった!

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2004.09.08

Fujio Akatsuka(赤塚不二夫)  THE GENIUS Bakabon(天才バカボン バイリンガル版)

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 カミングアウトしちゃいますね。実は…ウチの夫婦、バカボン教の信者です。神棚には文庫判天才バカボン全巻が奉祀してあります。ホントです。
 今日はその御神体の方ではなく、バカボン教布教世界戦略用の聖典を紹介します。これは私たち日本人の信者としてもかなりハマります。もちろん原典で読んだ内容なのですが、こうして真面目に(?)英語訳されると、もうその英語訳という行為自体に笑えてしまいます。だいたいが、原典の言葉自体もう日本語の体系を軽く超越した神の言霊ですから、翻訳者もかなり苦労しただろうなあ、と思いきや、このズフェルトという翻訳者の方、そうとうのバカボン教理解者のようで、見事神の言霊を英語化しちゃっています。
 少し視点を変えれば、これはかなり高度な英会話のテキストですね。ていうか、全く日常的でない会話文ばかりで、この本で英語の勉強をしようという人がいたとしたら(私はそうでしたが)、それはそれでかなりのバカげた心意気の持ち主だと思います。
 私がバカボン教などと言うと、バカげたジョークのように思われるでしょうが、実は結構マジメなのです。バカボンの世界は日本の神道の世界に似ているのです。荒ぶるバカボンのパパの言霊による破壊と創造。しかし、そこに漂う優しく温かな空気。これこそ世界平和への道だと思うのですが…言霊は万国共通なのだ!バカの壁などないのだ!
Amazon 天才バカボン―バイリンガル

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2004.09.07

C.ダグラス・ラミス   経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか(平凡社)

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 ようやく最近景気が回復してきました。なんとなく明るい気持ちになるのが普通だと思いますが、これを読むと手放しでは喜べませんね。
 結局は、人間という生きものがひどくエゴイスティックであり、たとえば自分の子どもが生きていくであろう将来のことさえも、いい加減にしか考えていないということでしょう。今の幸せ、いや快楽…ココロヨク、ラクチン…であることだけを追い求めるあまり、筆者の言う発展イデオロギーというものを創り上げるまでに至った。違和感を覚えつつも、その不文律に従わざるを得ない自分が、今ここにいます。皆が分かっているのです。このまま進めば人類がどうなるのか、いや人類だけでない、その他の種にまで害を及ぼすことを。しかし、誰も止められない。これを筆者は、氷山にぶつかることが分かっていながら進み続ける「タイタニック号」に喩えています。
 developの反対語がenvelopだったとは、この本を読んで初めて知りました。そうすると、木を切って土を削って人工物で覆い尽くすのが、developmentではないということがはっきりしますね。正しいイメージとしては、「花開く」というのが妥当ではないでしょうか。そうだとすれば、「消費が増えた」と言って喜んでいる日本も、やっぱりダメなのでしょうか。消費が招くのは枯死でしょうから。
 悩んでしまいます、タイタニック号の上で。
Amazon (装丁が変わって安くなりました)経済成長がなければ私たちは...平凡社ライブラリー

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2004.09.06

津島佑子   快楽の本棚 言葉から自由になるための読書案内(中公新書)

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 まず、書評的にいうと、この本はあまりおススメできません。たぶん、多くの人がつまらない、と思うでしょう。あまりに個人的な記憶をたぐった随想であり、著者のファンであっても、期待外れの感はぬぐえないのでは。私も予想とあまりに違う内容に思わず読んでしまった(?)一人です。
 私の場合は副題に惹かれました。言葉について考えている私にとって、「言葉から自由になる」というのは格好のアンチテーゼですから。ところが言葉についての言及は何もない。ついでに期待していた父親(太宰治)に対する記述もほとんどない。え〜?、と思う反面、なぜだか読み進めてしまうのです。それは、メインタイトルに偽りがなかったからでしょう。
 筆者の読書の記憶とは、彼女自身の「性」への関心の記憶にほかならないのです。「性」を「快楽」と言い換えて堂々としているあたり、男である私は、少したじろいでしまうわけですが、なるほど彼女にとっての読書のモチベーションはそこにあったのですね。それで作家になっちゃうんだから、やはりそういうパワーってすごいですね。まあ遺伝的才能も認められますけれど。
 で、この副題ですが、今になってみれば、これも偽りなしですよね。彼女にとっては、やはり言葉は理性の象徴なのでしょう。快楽、性、本能…言葉はその媒体にはなり得ても、それ自体にはなれないということでしょうか。
Amazon 快楽の本棚

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2004.09.05

ベット・ミドラー イン ラス・ヴェガス

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 今日は久しぶりに家でまったり。朝からいろいろ印象に残ることがありました。
 早朝「オンエアバトル」の録画を見て、「天使にラブ・ソング2」と「冬のソナタ」のサウンドトラックCDを聞き、子どもと「モンスターズインク」を見て、BSの「おーい、ニッポン 私の・好きな・山梨県」を見ながら本を一冊読んで、昔の全日本プロレスのビデオを引っ張り出してきて、ジャンボ鶴田と「オー」をやり、夜はコンサートの練習に出かけて「カマドウマ」に襲われました…ふう。
 そんな中で最も印象に残ったのは、プロレスのビデオの続きに入っていたコレです。録画したまま見るのを忘れていたらしく、今日初めて見たのですが、すごすぎる!!!まさにプロ!!!すさまじいエンターテインメントです。ベット・ミドラーさん、もともと歌・芝居・踊り・喋り、何でもこなす人ですが、それらが総合された驚異的なステージでした。圧倒的なパフォーマンスとパワー!前半大いに笑わせつつ、後半ではじっくり聞かせる。表現の種類の広さと、それら一つ一つの深さ。リズムよく展開される芸の中に、キラリと輝くアドリブ。極上のショーですね。
 普通の人があんなことやったら、単に下品なゲテモノになってしまいますよ。風刺もかなりきついですし。顔もスタイルもハッキリ言って良くない。この時すでに52歳ですし。しかし…ホンモノのディーヴァは違う!
Amazon ベット・ミドラー・イン・ラスベガス

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2004.09.04

ウルトラマンコスモスvsウルトラマンジャスティス

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 蔦屋へ行ったついでに借りてきました。去年から見たいと思っていた映画です。いきなりウルトラマンコスモスがジャスティスに殺されてしまうのでビックリ。とは言っても、基本的には子供のための作品ですから、最後は「愛」「夢」「希望」が勝利を収めるという予定調和的結末になっています。それは仕方のないことです。しかし、「正義」が、それらを「あいまいなもの」「奇跡は起きない」と否定して物語が始まっているのは興味深いことです。
 宇宙の「正義」は地球人を宇宙の「害虫」として駆除することを決定します。それに対して「地球の正義」は逆ギレして先制攻撃しようとします(劇中、特にアメリカは正義を振り回して暴れてましたな)。そして「聖戦」を挑むのですが、あまりに軍事力のスケールが違います(ある意味、アメリカがイラクになってしまうわけです)。「正義」は無機的な攻撃で地球人のリセットにとりかかります。そこで描かれるのは、唐突に死を迫られる個人(特に子ども)。結果としてその姿が、宇宙の「正義」を改心させて、上記の結末に調和していくのです。
 この作品は昨年製作されたわけですから、当然あの辺の事情を反映しています。なるほど、実は「正義」こそがあいまいなもの、主観的なものだということですね。実はこれって典型的なウルトラマン(セブン?)的テーマですよね。
 久々に考えさせられました。
Amazon 劇場版ウルトラマンコスモスvsウルトラマンジャスティス

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2004.09.03

ミスター高橋  プロレス 影の仕掛人 レスラーの生かし方と殺し方(講談社+α文庫)

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 私は生まれ変わったら、プロレスラーかお笑い芸人になりたい。真剣にそう思っています。最高のシナリオと最高の演技、そしてアドリブ。私の理想の仕事のあり方です。
 今日読んだこの本も、そのことを再確認させてくれるものでした。ここに書かれているのは、昨日のお笑いの現場の話同様、まさにプロレスの現場の話です。それを読んで、ますますプロレスへの愛と憧れの気持ちが深まりました。
 昨日、マネージャーさんとも話したのですが、今、日本では、音楽でもお笑いでもスポーツでも、とにかくいろいろな分野において、プロとアマの差がなくなってしまっている、と思います。いろいろな所で敷居が低くなってしまっているわけです。それが、その分野の裾野を広げることにもなったわけですが、それ以上に、全体の底下げを生んでしまったのです。その結果、プロのプロ意識の低下、アマのプロへの畏敬の念の消失などを招いてしまったように感じます。自分には出来ないものをお金を払って体験しにいく、これが興行の理想のあり方です。
 プロレスの世界にも最近多くの問題が浮上していますが、しかし基本的にここでは、まだプロの「すごさ」が命脈を保っています。並外れた肉体、精神力、カリスマ性、賢さ、人柄、エンターテインメント性…様々な要素を兼ね備えた、本当にごく少数の人々による「夢の世界」があると思うのです。
Amazon プロレス影の仕掛人

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2004.09.02

さすがプロ!  浮世絵師&じゅんご

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 今日も充実の一日でした。今日は学園祭。実はあの芸人「浮世絵師」の招聘が実現し、生徒の前で彼らに芸を披露してもらったのです。さらにうれしいことに、付き添いとして(?)あの「じゅんご」さんも一緒に来校し、素晴らしい芸を見せてくれたのです!ついでに言えば、私と数名の先生、そして生徒たちは、その前座としてコントをさせていただきました。期せずしてプロとアマの違いを露呈する結果となったわけですが、それはそれで観客の皆さんにとっては勉強になったのでは…、なんてね。
 いやあ、やっぱり若手売り出し中とは言っても、プロはプロ。さすがです。「浮世絵師」もいつもの通り、わけわかんなく面白かった。「じゅんご」さんは一気に生徒の心をつかんでましたね。彼は天才です。本当は器用で何でもこなすのだけれども、頑なに自分のスタイルを崩さない、その心意気がいいですね。ますます応援する気になりました。
 あと、彼らのマネージャーさんと2時間以上じっくり話す機会がありまして、本当にいろいろなことを教えていただきました。厳しい世界であることはよくわかっていましたが、やはり現場の方のお話は重い!そのマネージャーさんもかなりの覚悟と信念を持ってお仕事されてました。
 我々教師が学ぶべき点が本当にたくさんありましたね。何十人もの心をつかむという意味ではエンターテイナーなわけですから、私たちも。

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2004.09.01

「あさま」山噴火!

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 妙なおススメですが、印象に残ったので、すみません。
 今日は防災の日。というか関東大震災から81年目の日です。この辺り、富士北麓でも震度5強程度の揺れを感じ、数名の死者が出たそうです。
 さらにあまり知られていない話ですが、この辺でも例の朝鮮人についての風説が流れ、警察や消防、自警団なんかが大騒ぎしたようですね。当時の新聞なんかを見ると分かります。情報が凶器に、あるいは狂気になりうる。インターネットの時代になっても基本的には変わらないと思いますね。
 関東大震災の時のもう一つのウワサ。それは富士山の噴火です。これは根拠のないこととは言い切れません。富士山の噴火の歴史を見ると、かなりの割合で大地震と連動していることが分かります。結局その時の富士山は、崩落があったり、噴気が確認されたり、山頂の地温が80℃近くまで上昇しただけで噴火には至りませんでした…って結構活動してるじゃん!富士山は若い火山です。最近は、火山の歴史としては珍しいほどの静穏期が続いていますが、80年前には案外息遣いが荒かったわけです。
 今日浅間山が噴火しました。「あさま」とは火山を指す一般的な用語でした。そしてその浅間山のボス格が最も元気だった富士山。そして富士山のご機嫌取りのために全国に建てられたのが浅間神社というわけです。

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