『源氏物語のもののあはれ』 大野晋 (角川ソフィア文庫)

読み物(推理小説かな)としては、実にエキサイティングな本でした。一読の価値ありです。さすが大野晋さんですね。
国語学という特殊な世界(言語学でも日本語学でもない、国学の一つかな)で、圧倒的な存在感を示している大野晋さん。御自身の思いつきを強引にストーリー化する最強の学者さんです。日本語の源流を南インドのタミル語に求める彼の学説に、大学生の私もずいぶんと入れ込んでいましたっけ。大野さんの本を読んだり、講演を聞いたりすると、その最中や直後は、絶対にこの先生の言っていることは正しい!と思ってしまいます。いや、思ってしまっていました。実に巧妙な内容なのです。よく論敵に指摘されることですが、自らに都合の良い部分しか書いていない、始めに結論ありきであまりに帰納的に過ぎるのです。人の話を素直に聞く善人は、すぐに洗脳されてしまいます。実際私も洗脳されてました。若い頃は多少はいい人だったのかも。
でも、今は全然違います。今日読んだ本も、ちょっとびっくりするような強引さで私を興奮させてくれました。例文の引用とその解釈がずいぶんと恣意的ですなあ。その結果、本は赤ペンによる書き込みと?だらけ。ケンカを売る気は毛頭ありません。ただ、シンパにはなれません。
まあ、興奮したアマノジャクの書き込みも、後で冷静に見ると、大野先生と同じ強引さを感じさせるものでしたが。
(で、私の「もののあはれ」はこちらなどで…)
Amazon 源氏物語のもののあはれ 角川ソフィア文庫
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