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2004.07.31

祝 『浮世絵師』 優勝!ネオネオダイナマイトショー

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 ぎゃははは!久しぶりに大笑いしました!お笑いのライヴ、初めて行きましたが、いいもんですねえ。楽しかった。面白かった。濃密な時間を過ごしました。
 このライヴは、芸能プロ浅井企画が、新人発掘のために毎月開催しているもので、今回でもう113回目だそうです。ここで優勝して巣立っていった芸人さん、キャイ〜ン、テツandトモ、坂本ちゃん、おさる、などなど…。なかなかレベルの高いショーです。
 でっ、でっ、今回の優勝者は、なななんと!我が教え子、今最も寒い芸人!浮世絵師だったのです!!なんということでしょう!確かに今回の彼ら、今まで私がネットやテレビで見た彼らとは大違い、ちゃんとネタつくってコントしてました。それに、企画の部で、芸人さん全員でアドリブ怪談対決?をやったのですが、そこでも彼ら、見事なアドリブを見せてくれました。芸人さんたちにとって、彼らは格好のいじりの対象なわけですよ。
 予想を裏切って期待は裏切らない。これは難しいことです。やっぱり彼らはプロでした。そういう環境でもまれ、そして認められているだけのことはあります。私は彼らを尊敬することにしました。私も学校ではコントなどよくやります。お笑いが好きで、批評家みたいなこともよく言ってます。しかし、しょせん素人ですね。当たり前ですが。また、教え子に教えられました。

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2004.07.30

Vito Paternoster(チェロ) 『バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)』on Magnatune

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 Magnatune。知る人ぞ知るネット上の音楽配信・販売会社です。基本的に演奏家が自分で持ち込んだ音源を、全曲無料で視聴できるよう公開し、それを聴いて気に入った人がお金を払って(値段は買う人が決める)、ファイルをダウンロードするというシステムです。
 そこのclassical部門は古楽系がかなり充実しています。古楽器の演奏がほとんどで、けっこう有名な演奏家が自分の録音を提供しています。全曲高音質で試聴できるので、ものすごくお得な感じですね。買わなくてもいつでも全部聴けるわけですから(裏技使えば録音できますし)。
 そこで、今日、思わず聴き入ってしまったのが、これ。あの曲をなんとチェロで演奏しています!この人、I Musiciのメンバーらしいのですが、とにかくメチャクチャすごいテクニックと音楽性を持っているのです。だいたい、あの曲を(例えばシャコンヌやフーガを)チェロでそのまま(もちろん5度下げてますが)弾こうという発想が、まずメチャクチャです。それをなんか余裕でこなしちゃってるんですから、もうワケわかりません。カッコよすぎ!!軽いボウイング、ノンヴィブラート、ダンサブルなリズム…ほとんどバロックチェロの響きですし。全体的な音楽作りはかなり個性的で私好みですね。無伴奏チェロも全曲聴けます。こちらもなかなかの名演奏。必聴。

Magnatune

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2004.07.29

映像クリエーター&監察医

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 学校の先生は世間知らずだ。よく言われることですが、これは…本当です。だから、自分はなるべく他の業種の人々に接する機会を作っています。経験できずとも知ることはできます。
 昨日は出張先で「映像クリエーター」の方とじっくりお話をさせていただきました。業界の厳しい現実がよくわかりました。理想と現実=芸術性と商業性=やりたいこととクライアントのニーズ。なるほど…。
 で、今日は監察医の先生をお招きして、生徒対象の座談会を催しました。私もしっかりお勉強させていただきました。監察医さんのお話が聞けるなんて、そうそうあることではありません。監察医の仕事をいかに誤解していたか…恥ずかしい気がしました。と同時に、立派なお仕事だなあ、と感心いたしました。医者の仕事に必要なのは知識や技術ではなく人と話ができること、というのが最も心に残るポイントでしたね。臨床医ならなんとなくわかりますが、監察医さんもそうなんだ!目からウロコがポロポロ…実例を多く挙げて説明していただいたので、本当に納得。実際、とてもお話が上手で、もちろん生徒達は、私たち教師の話を聞くのとはエライ違いで集中しておりました、ハイ。
 やっぱり社会の一線で活躍されている方のお話は違う!それにくらべて我々教師はねえ。生まれてこのかた「社会」に出たことないんだから…。そりゃ生徒も話聞きませんよ。

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2004.07.28

NHK趣味講座 ショパンを弾く〜講師カツァリス(ビデオ)

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 ひょんなことから、10年以上心に残っていた番組を見る機会を得ました。生徒(の親御さん)がビデオ全巻を持っていたのです。ありがたや。音楽の素晴らしさ、演奏することの素晴らしさ、解釈することの素晴らしさ、教えることの素晴らしさ、教わることの素晴らしさ、練習することの素晴らしさ、そしてショパンの素晴らしさ…。本当に久しぶりに見て、あの頃の感動がそのままよみがえりました。
 今日とりあえず見たのは幻想即興曲とワルツ第3番のレッスンです。この巻を選んだのは、個人的にショパンのワルツが好きだということと、生徒役の小林沙智さんが当時の私のお気に入りだったからです(ってロリコンか?)。まあ、それはそれとして、カツァリスのレッスン、本当にいいですね。レッスンがすでに一つの芸術になっています。楽譜からイマジネーションを読み取り、それを言葉にして生徒に伝える。そして、それを的確に表現するための技術を分け与える。なんか、教育の原点を見るような気がしました。
 私も一流の方々のレッスンを多く受けさせていただきましたが、演奏を聴くだけでは分かりえない彼らの豊かなイマジネーションに触れられるのが、レッスンを受ける喜びでしょう。それが、こういう形で共有できるというのは本当に素晴らしいことです。レッスンのビデオは、新しいジャンルかも。

ps 小林沙智さんこんなにきれいになられて、感無量です…。

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2004.07.27

アシュケナージ&チェコ・フィル 『ドヴォルザーク記念コンサート』

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 今日はなぜかチェコデーでした。
 今年の春東京外国語大学に進学した教え子が遊びに来ました。彼女はチェコ語の試験勉強をしていました。チェコ語の教科書というものを見せてもらいましたが、え〜と、動詞の変化が6つ、名詞が7つの格変化…うわぁ、難しい!でも、発音は日本語風でよいということで、少しホッ。まあ、別に私が勉強するわけじゃないですから。ご本人は実に楽しそうでした。英語がいかに簡単が分かったそうです。ちょっとうらやましい。
 で、たまたま今日はこのDVDを借りて見(聴き)ました。チェコ・フィルとアシュケナージの組み合わせを聴くのは初めてです。とても良い演奏でした。チェコ・フィルの響きというのは昔から結構好きだったのですが、アシュケナージの指揮により、なお一層スラヴ的な歌心が際立ったように思います。まあ、お家芸のドヴォルザークですから、当然かもしれませんが。
 あらためてドヴォルザークを聴いてみると、旋律だけでなく、和声的にもヨーロッパではないなあ、と感じさせるものがありますね。そこが意外に身近に感じられました。チェ魂洋才(?)ってとこですかね。
 ただ、ヴァイオリン協奏曲のソリスト、パヴェル・シュポルツル…現代的なファッションはいいのですが、あまりに表現の幅がなさ過ぎて、せっかくの歌心が台なしになっていました。もちろん上手ですがね。

チェコフィルの方々と合コン!

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2004.07.26

三沢組vs武藤組  7.10東京ドーム

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 7月10日に行われた夢の対決がようやくテレビで放送されました。二人が同じリングで対峙した瞬間、私も万感胸に迫り、思わず涙を流してしまいました。しかし、いざ試合が始まると…。
 う〜ん、この二人の試合は、どこかかみ合わないのです。予想していたことですが。プロレスはどちらが強いかを競うスポーツではありません。どういうアンサンブルを見せるかという芸術なのです。20分とか30分とかのジャズのセッションみたいなものなのです。ある程度の流れは事前の打ち合わせで決まっているけれども、あとはアドリブです。お客さんの反応を見ながら、阿吽の呼吸で試合を作っていく。とても微妙なものなのです。
 三沢と武藤、昔からよく比較されてきた、と言われます。比較されるということは、やはり対照的ということなのでしょう。二人とも確かに天才ですが、タイプが違うということですか。ジャズでも夢の共演がうまくいかないことがあるように、二人の夢の対決はここまでにしてもらいたいと思いました。野球で言うと、新庄とイチローみたいなものですかな。ちょっと違うか。
 私はどちらかというと武藤の「華」が好きですね。武藤さん、私の勤める学校の母体となっているお寺の檀家さんです。一度そのお寺でお会いしてお話しましたが、根っから明るい好青年でした。カリスマのオーラが後光のように放射されていましたよ。

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2004.07.25

遊園地ぐりんぱ 『シルバニアビレッジ』

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 今日は近所の仲間で伊豆へ海水浴に行く予定だったのですが、都合によりキャンセルしました。残念。その代わりに、どうしても家にいることの堪えられない長女にせがまれ、ちょいと行ってきました。
 ウチの娘二人はかなりのシルバニアマニアで、今ではかなりのレアものと言える「ビーバー」の親子などを持っていたりします。で、そのミニチュアワールドが実寸大になって地上に再現されたのが、このシルバニアビレッジです。いわば逆箱庭状態。娘たちは当然、その等身大のシルバニアたちに大興奮していましたが、私と家内はいつもの通り、かなりオタッキーな楽しみ方をしてきてしまいました。
 ここは、昨年まで日本ランドだったわけで、そのアヤシイ面影があちこちに残っており、もののけマニアとしては、かなり楽しめたわけです。いろいろあったけれど、何といっても、森の休憩所?で行われたショーが傑出していましたね。いやはや、山の天気は変わりやすく、いきなりの集中豪雨のため、屋外ステージで行われていたショーが、あやしい体育館のような建物の中で行われることになったのです。拡声器を持ったおねえさんの司会も渋かったのですが、とにかくその建物、なぜか布団が積んであったりして、なんか被災地の避難所みたいでした。人少ないし、なぜかみんなオニギリ食べてるし。
 開園二日目でこれって…。大丈夫かなあ。

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2004.07.24

J.S.バッハ 羊は安らかに草をはみ

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 朝6時からのFM、ちょっと前までは「朝のバロック」で、テーマ音楽がこの曲でしたね。今は「バロックの森」となっています。テーマ曲はヘンデル(作品6の10からアレグロ・モデラート)になりました。今朝その番組で久々に「羊は…」がかかりました。本当に美しい曲です。そして、マリナーの編曲もいいですね。美しい演奏です。
 私は、中学生の時、あのワルター・カーロス(今は性転換してウェンディですが)のレコードで初めて聞きました。もちろんシンセサイザーによる演奏です。あまりに感動して、父親に聞かせた覚えがあります。音楽にはウトい父親はフーンという感じでしたが。その後、ちゃんとしたオリジナルな編成による演奏もいくつか手に入れて聞きましたし、生でも聞きましたが、どういうわけか、あの時ほど感動しないんですよね。よくあることです。初めてが一番ということ。
 それにしても、この曲の美しさは奇跡的ですね。2本のリコーダーパートの動きも奇抜でかわいらしいですね。しかし、何といっても、中間部後半の神秘的な転調による緊張感と、その後のダカーポによる徹底した弛緩は、いつ聞いても鳥肌ものです。いや、これをシンセサイザーで聞くと、またいいんですよ。ますます神秘的で、草原というよりは、宇宙空間という雰囲気です。名盤Switched-On Bach IIに入ってます。

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2004.07.23

『現代メディア社会の諸相』 廣瀬英彦・岡田直之 (学文社)

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 昨日は息抜きの本を紹介しました。今日は対照的な本です。
 この本は、東洋大学の先生方と大学院生の論文集です。秋の研究発表テーマが「現代メディアと国語教育」という挑戦的な(旧来の国語教育に対して)ものでして、まじめに勉強しなければ恥をかくのは必定です。それで、こんな固い本もちゃんと読みました。
 いやはや、現代というのは大変ですね。私自身、メディアは大好きで、それこそ古今東西・硬軟聖俗いろいろと手を出してますが、何なんでしょうねえ、やっぱり人間の本能でしょうか。世間では「知る権利」とか何とか言ってますよね。権利を主張するということは、つまりそういう本能があって、それを常に満たしたがっているということでしょう。
 ただ、一つ疑問に思ったのは、本当に今は昔に比べて情報が増えたのかということです。自動車に乗って短時間にいろいろな所を見て回るのと、ゆっくり歩いてその辺りを散歩して回るのと、どっちが我々が受けとる情報が多いのか…なんとなく答えがわかりませんか?車なら車なりの、自転車なら自転車なりの、歩きなら歩きなりの情報というものがあるのだと思います。だからあんまり気にしなくてもいいんじゃないですか。高度情報化だとか、IT革命だとか騒ぎすぎな気もします。
 人間はそんなにバカじゃないですし、そんなにリコウじゃないので、勝手に取捨選択していくと思いますよ。

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2004.07.22

『老人力(全一冊)』 赤瀬川原平 (ちくま文庫)

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 実は今合宿中です。勉強の合宿なんですが、私はいろいろと〆切が迫っているタスクがたくさんありまして、生徒をほったらかして自分の仕事にいそしんでいます。
 とっても疲れるので、合間合間に癒されるために、この本を読んでいます。自分で言うのもなんですが、最近この老人力がめきめき伸びていまして、全くうれしい限りです。誰のおかげでもなく、自分の潜在能力が目覚めたわけですがね。
 いやいや、こんなふうにうれしい気持ちになれるのは、まさに赤瀬川さんのおかげですよ。赤瀬川さん、私の最も尊敬するというか、崇拝する…なんて言うと、ご本人に笑って叱られそうですが、ホントに好きなんですよ。目標なんです。こういうふうに世の中を見て、発見して、楽しんで生きたいのですよ。トマソン、新解さん、いろいろなコトやモノやヒトを発見されてますが、やはり、この老人力の発見は特別。世界的歴史的発見ですね。いったいどうすれば、世界を一瞬のうちに変えられる「原平力」が身に付くのでしょう。できれば、直接ご指導いただきたいですね。
 いつものお仲間の皆さんがうらやましい限りです。まあ、私にも順調に老人力がついてきたことだし、「原平力」のおこぼれをいただきながら、今後の自分の人生に期待しましょ!

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2004.07.21

Nextway 『D Cube NMP-612T』

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 自分の演奏を録音して聴くことには、大きな意味がありますね。反省材料です。それから、実はその反対、自己満足の材料にもなります。
 で、その録音をする機材の話です。今までカセットやDATやMDなどを使ってきましたが、最近MP3レコーダに落ち着きました。MP3レコーダはこれが2台目です。D Cubeの前は、RioのDR30でした。これもいいモノでしたが、Macに接続できないという致命的な欠点があったので、Windowsユーザーに譲りました。
 今、ボイスレコーダを含めて、録音機能付きのデジタル圧縮オーディオプレイヤが花盛りですよね。しかし、バカ売れしているiPodを始めとして、ほとんどの機種で高音質でステレオ録音というのはできません。聞くところによると、生音源の著作権問題がからんでいるとか。その点、韓国製のモノはどういうわけでしょうねえ、外部マイクで録音できる機種が多いんですよ。D Cubeもその内の一つです。専用のラインレベルワンポイントステレオマイクもオプションで売ってるくらいですから。
 MDレベルの音質(128kbps)で4時間ぶっとおし録音できます(256MB)。小さくて使い勝手も良く、これは手放せません。単3アルカリで20時間以上録れる、というのも○です(充電池は個人的に×)。便利な時代になりましたね。たくさん録ってたくさん満足、いや反省してます!

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2004.07.20

Mew 『Frengers』

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 高校を卒業してからというもの、ほとんどロックのアルバムを買って聴くということがありませんでした。もちろんピストルズなきあと、時代的にロックは死んだと言われても仕方ない状況でしたが、それでもいろいろなアーティストがそれなりの新しいロックを模索して来たとは思います。そんな中で、芸術性を求める、いわゆるプログレッシヴロックというジャンルは、もともと反社会性を持っていませんでしたから、ある意味命脈を保ちそうな気がしました。しかし実際には、商業性という社会性を持ち合わせていなかったため、ほとんど消えてしまったと言ってもよい状態になっていました。
 今日おススメする「Mew」は、良い意味でプログレのテイストを取り入れたバンドです。デビューアルバムである「Frengers」は、私にとって久々に聴き込んだロックのアルバムになりました。デンマークの若者たち(二十代)の傑出したセンスは歴史に残るべきものです。力強さと繊細さを、複雑さと分かりやすさを、伝統的なものと新しいものを、それぞれ同時に持ち備えているのです。全曲傾聴に値します。彼らは映像の世界でもその才能を発揮しているようですし。注目ですね。なかなか2枚目が出ないのですが…。

Amazon Frengers

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2004.07.19

世界遺産 紀伊山地の霊場と参詣道

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 NHKで紀伊山地世界遺産登録記念番組をやっていましたね。熊野や吉野は憧れの場所です。なんとか今年中に訪れてみたい所ですね。
 今回世界遺産に登録された一つの理由は、その多様性にあるとのことですが、なるほど、神道、仏教、修験道、民間信仰などが渾然としています。まさに日本的なるものの集大成です。深く豊かな自然という意味でも原日本を彷彿とさせます。魅力的ですね。
 また、ある種の怪しさ(妖しさ)を醸しているのもいいですね。歴史的に見てもいろいろな物の怪が棲みついていますし。ゆっくり歩きながら、そんな空気を体で感じてみたいものです。
 京都や奈良はほとんど朝鮮半島文化の昇華した姿ですよね。その点、熊野や吉野は日本的なるものという気がします。東北地方と同じ臭いがします。つまり、縄文なのでしょう。人間中心のシステム化した都市を作るのではなく、自然のシステムの中に溶け込んでしまおうとする。これこそ本来の日本人の生き方です。
 ところで、紀伊半島は黄泉の国だと考えられていたようですが、そうすると「なまよみ」である甲斐の国は、まだまだ中途半端だということでしょうか。たしかにこの富士北麓の自然も、あちらに比べると若々しすぎますね。

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2004.07.18

『ナンバ走り』 矢野龍彦 金田伸夫 織田淳太郎 (光文社新書)

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 温故知新…これこそ今必要なこと。明治以降の日本が成し遂げてしまった近代化、西洋化の弊害が、ここに来て自分の心身に顕在してきました。つまり、現代の常識が絶対に正しいとは限らないということを、意識せざるを得なくなったということです。
 今日読んだ「ナンバ走り」も、目から鱗の本でした。ナンバ走り(同じ側の手足を同時に前に出す!)は、間もなく始まるアテネオリンピックでもメダルが期待される末續選手の走法によって、百数十年ぶりに注目されることになったわけですが、この日本古来の走り方、本当にいろいろなことを私たちに教えてくれます。いや、思いださせてくれるという感じでしょうか。
 この本は、ナンバ走りなどの古武術の動きをスポーツに応用することを目的として書かれたものです。その基本は「踏ん張らず」「ためず」「うねらず」「捻らず」の実践、まさに西洋式運動法(学校体育の基本)の対極にある術理にあります。
 世界中の天才と言われるスポーツ選手たちが、実はそのナンバ的な動きをしているのでした。たしかに天才には独特の普通でなさがありますよね。特に長嶋さんの「フルチン打法」には笑いながら納得。そういう自然な動きができる人は、きっと精神的にも無理無駄がないのでしょう。

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2004.07.17

Bluegrass Fiddle

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 今日、カントリーのコンサートに参加させていただきました。最初お話をいただいた時は、全く演奏したことのないジャンルでしたので、少々不安でありましたが、昨日のおススメに登場した天才に倣って、勉強させていただくこととしました。まずメンバーにフィドルの活躍する曲を集めたCDを作ってもらい、毎日聴きました。また、教本も2種類米国から取り寄せました。私にしては珍しく家で楽器を出して練習しましたので、家内は驚いていました。
 元はといえば、私はロックでヴァイオリンをやろうと画策していたのであり、それがいつの間にか「バ」が付いてしまったという経緯がありますから、ようやく本来のオフビートの世界に帰ってきたとも言えます。また、最も尊敬するヴァイオリニストである故ステファン・グラッペリさんも、ブルーグラスフィドルの影響を強く受けています。
 というわけで、やってみたら、これは楽しい!本番ではアドリブも結構うまく行きました(自己満ですが)。正直、演奏技術やリズム感、即興法、様式感などなど、いろいろと分からない点もありますが、まあ、新しいことに挑戦する心地よい緊張感を感じられたことが最大の収穫でしたね。
 私のヴァイオリンケースには15歳の私が書いた「I'm fit as a fiddle」の文字が消えず残っています。四半世紀のちにその境地にやっと近づくことが出来るとは!人生は面白いですね!

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2004.07.16

Yo-Yo Ma&Koopman 『Vivaldi's Cello』

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 早く聴きたかったこの一枚。今日Amazonから届いていました。
 ヨーヨー・マの弾くバロックチェロは本物です。彼にとっては音楽のジャンルなんて意味がありません、とよく言われますが、私は逆に大いに意味があるのだと思います。彼はたしかにクラシック、ジャズ、ワールドミュージック、ポピュラーミュージックを股にかけて活動し、その全てで驚くべき成果を上げています。しかし、それを実現しているのは、彼のプレイヤーとしての才能だけではありません。それぞれのジャンルについて学び、そして練習に励むということ、それが実に重要な理由なのです。つまり、彼の優れた才能とは、その謙虚さと勤勉さに見いだすべきだということなのです。数年前から、彼はいわゆる古楽器の世界でも新たな挑戦を始めました。チェリストとしては、同様のアプローチで世界を極めたアンナー・ビルスマという偉大な先輩がいますが、マの奏でる古楽器は、それをある意味簡単に越えてしまったとも言えるほど、画期的で刺激的です。
 このアルバムを聴いて、私は、今までの音楽観、楽器観、様式観、人生観…あらゆる〜観というものが、ぶっ飛んでしまいました。時間も空間も越える、いや越えるではなく、それぞれに根ざす…これが、凡人にもできれば、きっと世界は平和になるでしょう。

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2004.07.15

MODERN JAZZ QUARTET 『40th Anniversary Celebration』

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 二十代の頃、最もよく聞いたミュージシャンは、もしかするとこのMJQかもしれません。ジャズに目覚めてすぐに、おそらくバッハつながりで聞き始めたのだと思います。
 たくさんのCDの中から一枚、本当にひさびさに聞いてみました。10年前の発売ですから、今年は結成50周年でしょうか。ミルト・ジャクソンは亡くなってしまいましたが。
 購入当時は、MJQと当時若手のミュージシャン達が共演していることに少し違和感を覚えました。じゃまだと思ったのです。MJQはMJQで完結していると思っていたからです(確かに完結してますが)。しかし、今日は全く違った感想を持ちました。思わず2度続けて聞いてしまいました。今風なミュージシャンと共演することによって、彼らの天国に近い(失礼!)音楽が際立って聞こえてくるのです。中でもジョン・ルイスのピアノ!!二十代の頃ももちろん好きでしたが、今の私の方が間違いなく深く共鳴している!
 何というのか、もう「わび・さび」の世界ですね。削りに削ってなお深まる。特に伴奏している時の右手!ブルーノート東京でのライヴを聞いたことを思いだしました。何千回も弾いているであろう「ジャンゴ」を、楽譜をしっかり見ながら慈しむように弾いていました。
 このアルバムも国内盤は廃盤のようです。

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2004.07.14

地ビールレストラン「シルバンズ」 燻製ビール 『ラオホ』

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 昨日、近所の寄り合いがあり、近くの地ビールレストラン「シルバンズ」に行きました。
 今年は早くも梅雨も明けて、猛暑が続いています。そんな中、地ビールが一杯100円!というのは、実に嬉しいことです。いや、もちろん特別キャンペーン料金ですよ。普段は一杯400円近くします。しかし、一杯100円とは、発泡酒一缶よりも安いではないか!!100杯飲んでも10000円!なんて話しながら飲んでました。
 特に私が好きなのは、燻製ビールの「ラオホ」ですね。なかなか家庭では味わえないテイストです。家では日本酒党で、ビールは積極的に飲みたいという方ではないのですが、この「ラオホ」は毎日でも飲んでもいい。そんな渋い味です。
 説明によると、なんでも麦芽を乾燥させる際にスモークするんだそうで、それがあの独特の深い薫りと色と味わいを生んでいるということです。ビールというと夏、というイメージですが、このラオホは他の季節に飲んでもおいしいんですよね。実は冬に飲むラオホが、私は一番好きです。ジャパンビアカップ6年連続入賞、ワールドビアカップで金賞受賞という輝かしい経歴からも、そのおいしさは想像に難くないでしょう。是非ご賞味あれ。

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2004.07.13

『知の編集術』 松岡正剛 (講談社現代新書)

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 松岡さんは私の目標とすべき人です。すべき、と書いたのは、今はしていないからです。すべきだと、もう十年以上前から思っているのに。
 その理由はたぶん、「編集工学」というネーミングに、生理的に違和感を感じるからだと思います。氏はまさに「古今東西」「硬軟聖俗」の碩学ですし、氏の「編集」観は私の人生に大きな影響を与えてきました。しかし、なんででしょうねえ。この違和感。売ってるものは魅力的なのに、店のネーミングが今一つ、って感じでしょうか。たぶん世界で唯一のお店だと思います。市民権を得ない理由というのがあるわけです。
 しかし、氏がこのネーミングにこだわる理由は、そのこだわるという編集行為自体にあるのだと感じます。こだわることによって生まれる個性、その個性の形を借りて、一般に埋もれた真理が浮上する。それを狙っているのだと思います。氏の個性的な学問する姿勢…いや、遊ぶ姿勢こそが、新しいジャンル「編集工学」なのでしょう。唯一無二の存在として、違和感を感じつつも尊敬してやみません。
 早朝この本を読んでいたら、ちょうどテレビで、NHK人間講座〜おもかげの国うつろいの国…日本の「編集文化」を考える、をやっていました。相変わらずの見事な編集ぶりで、新しい意味、新しい価値の創造をなさっていました。つくづく、すごい人です。

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2004.07.12

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 アルフォンソ・クアロン監督作品 

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 本当はよく理解できなかったので、おススメしていいものか躊躇しますが、一応紹介します。今日たまたま見る機会を得ました。若手監督を迎えての作品ということで、なるほど1,2作とはだいぶ趣が異なっていました。純粋なファンタジーというよりは、アメイジングテイスト(?)の味付けで、ドキッとさせられることが何度もありました。それは、ある意味、ハリウッド的であり、正直私の好みに合わないものです。監督さんはメキシコ人らしいのですが、やはり、ハリウッドに憧れているのでしょう。ああいうふうに映像的に刺激を与えることは、文学では不可能ですから、やはり、かなり原作から離れた表現になっているのでは。なんて、原作を読んでいない私がいろいろ言うのも何ですが。
 それにしても、私はバカなんでしょうか。それともハリウッド風映画に慣れていないのでしょうか。アメイズしてばかりいたら、ストーリーが読み取れなくなってしまいました。前半のダラダラした展開のおかげで、後半の急展開に思考が追いついて行けなかったとも言えますし、どんでん返しの上に、どんでん返しが重なるので、単に私の頭には複雑すぎたのかもしれません。結局タイムマシーンを使っても歴史は変えられないのだ、と思い始めたら、いろいろ疑問が湧いてきてしまい、何が何だかわからなくなってしまいました。いつもの考え過ぎですね。

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2004.07.11

フェルメール

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 朝BSでフェルメールの番組を見ました。フェルメールの不思議は、そのリアルさにあると思います。そのリアルさは、単に人間の見たままのリアルさではありません。世の中にはいろいろな分析があるようですが、私は、フェルメールの画集を初めて見た時、あっ、これはカメラの視線だ、と思いました。
 遠近感から感じられる焦点距離が、人間の目のそれとは違うのです。ある時は望遠、ある時は広角。私たち現代人は写真を知っていますから、こういうふうに説明できるわけです。しかし、フェルメールはバロック期の画家ですから、写真を知る由もありません(初期のカメラのようなものはありましたが)。今日の放送の中で、フェルメールはキャンバスの一点にピンを打ってそこから糸を張り、放射状にいわゆる墨付をした、という解説がありました。なるほど、そこに謎を解く鍵がありそうです。
 そして、もう一つ。明暗です。バロック期の画風の特徴は、もちろん光と影の対比ですが、フェルメールの明暗感は、他の画家たちとは一線を画しています。これが、まさに写真のラチチュードに近い、と私は思うのです。ですから、当時の人々の目には、フェルメールの絵は、ある意味不自然に映ったはずです。現代人にこそリアルでありますが。不思議です。
 そういえば、フェルメールの絵を写真で再現している日本人がいましたね。

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2004.07.10

ラッシャー木村さん 本当にご苦労様でした

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 今日、プロレスリングノアが初めて東京ドームで興行を行ないました。
 メインの小橋 対 秋山、セミの三沢組 対 武藤組(!)など、豪華カードめじろ押しの大会、そんな華やかな雰囲気の中、一人の名レスラーが引退することを宣言したということです。私も大好きなラッシャー木村さんです。最近体調を崩されたとうかがっていましたが、結果引退ということになり、非常に残念に思います。
 まさに昭和プロレスの生き証人であった木村さん。その波乱万丈のレスラー人生については、ここでは語り尽くせません。ですから、私の思い出を一つ。
 今から、そうですねえ、7年くらい前でしょうか。教え子と富士急ハイランドに全日本プロレスの興行を見に行った時のことです。試合後、我々はいつものように、出待ちをしていました。そこにトコトコとやってきたのが木村さんでした。木村さんはなぜか、私たちの前で立ち止まると、ふりかえって、ジェットコースター「フジヤマ」を見上げているのです。私はチャンスとばかり、「木村さん、お疲れさまです。フジヤマ乗りました?」と聞きました。すると、木村さんは「乗らないよ〜、コワイでしょ、やだやだ」と言って、私たちにはにかんだ表情を見せたのでした。本当に人柄のにじみ出たお顔でした。なぜか、涙が出ました。
 引退後は大好きな詩吟や盆栽にいそしむ好々爺になるのでしょうね。ご苦労様でした。

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2004.07.09

『日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す』 金谷武洋 (講談社選書メチエ)

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 以前に一度読んでいたのですが、ちょっと調べたいことがあったので、再び目を通してみました。
 現在学校で教えられている文法(橋本文法)は、西洋の文法の影響を強く受けており、日本語の実際にそぐうものでない、というのが筆者の主張です。全くの同感です。私も古文の授業などで、日本語は主語が省略されるから…などとつい言ってしまうのですが、最近源氏物語を現代語訳していると、これは省略という意識が働いているのではない、もともといわゆる主語という概念がない、と強く感じます。今気づいたのですが、この文章の冒頭など、いい例ですね。始めに「私は」なんて入れたら、日本語として不自然です。もちろん、私の頭には「主語の省略」なんていう意識はありません。主語に関連して、「は」と「が」の使い分け論争についても、著者は疑似論争であると喝破しています。この問題に関しては、私も今まで何度も考えてみましたが、なかなかいい考えが浮かびません。最近では、著者の言うように「は」と「が」をとりあげて比較すること自体に意味がない、という考えに至りつつあります。
 それにしても、辛いのは、自分がぜったいに間違っていると思うことを、生徒に教えなければならないことですね。完全な代替文法もないのですが…。

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2004.07.08

NHKラジオ ラジオ深夜便 『こころの時代』

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 最近なぜか4時に起きています。高校時代以来ですから、もう二十数年ぶりのことです。4時といえば、ラジオ深夜便ですね。なんて、まるで老人のようですが。もうそろそろ自分も人生後半戦。折り返し地点はたぶん過ぎていると思いますので、まあよしとしましょう。しかし、こういう素晴らしい番組が、なぜゴールデンではなく早朝なのでしょう。前々からいろいろな人に、いいよ、いいよ、と聞かされてきましたが、たしかに面白いですね。
 今日は、浜松医科大学名誉教授の高田明和さんによる「脳と心の健康法」でした。なかなか刺激的でした。「言霊」「呼吸法」「坐禅」…宗教者のような発言が相次ぎました。しかし、これが真理なんだと思います。
 いつかも書きましたが、科学と宗教はグルっと回って、同じ点に着地するんじゃないでしょうか。そうなると、理系も文系もありません。外と内もありません。やっぱり般若心経は正しいのですね。そういう意味で、自分は「グルっ」の道程のどこまで行けるか、楽しみでもあります。
 だいぶ、話がそれましたが、とにかくこのラジオ深夜便には、そのグルっ(私は文系、内側向きです)の道を進むためのヒントを与えてくれそうです。やっぱり「朝起きは三文の徳」みたいです。

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2004.07.07

『セーラームーン 第45・46話』(アニメ)

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 今日は七夕です。だからセーラームーンのビデオを借りてきました。ってどういうこっちゃ。いや、本当言うと、恥ずかしいので生徒に借りてきてもらいました。
 以前にもこのコーナーで話題に上がった、アニメ版(元祖=無印)の最終2話です。あっ、先に言っておきますが、私は決してオタクではありません。特にアニメについては、今までほとんど知らずに生きてきました。これから勉強します。で、この最終2話ですが、なるほど、世間を騒がせただけのことはあって、なかなか深い作品に仕上がってました。
 45話…セーラー戦士たちが、次々と死んでゆく姿が切なく美しく、涙を誘いました。地球を救うという壮大な「愛」と、女の子の日常的な「恋」とを隣り合わせ、背景に「死」を置くことによって、「善」や「正義」に対するアンチテーゼを表現していると感じましたね。効果的な表現技法です。
 46話…最愛の人と戦わねばならない苦悩、それを克服した末に訪れる悲劇、そして、最後の戦いののち全てが無に帰し、再び転生する…ある意味何も解決していないわけです。結局、善悪二元論と暴力とでは、カルマから抜け出すことは不可能なのですね。
 また、クイーンベリルの言葉に多くの真実を聞いたような気がします。「走れメロス」の王の言葉のようでした。

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2004.07.06

『情報の「目利き」になる! メディア・リテラシーを高めるQ&A』 日垣隆 (ちくま新書)

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 なぜか、今日朝4時に起きて読みました。日垣さんは敵も味方もたくさんいる人だと思います。私はそのどちらでもありませんし、どちらでもあります。
 メディアリテラシー=情報の目利き、アウトプットこそインプットの前提、仮説力を鍛える、あたりは全く同感です。つまり、とりあえず太字だけ読んでいけばいいような気がします。あとの部分は正直言って不快でした。この人は、非常に賢いですし、それこそ情報の処理は上手だと思いますが、やはり、文体ですかねえ、文は人なり…なぜか、この人の「高校時代」が目に浮かぶんですよ。こういう生徒、私の母校にもいました。
 私なんかが非難する立場ではありませんし、まともに戦ったらすぐに私は白旗あげて退却でしょうが、とにかく鼻につくんです。つまり、アウトプットの方法を間違っているということです。ですから、他人の意見を上手にインプットできない。御本人の理屈によればそういうことです。
 ただ、私も似た文体で書いてしまうことがあるんですよ。自覚しています。それは強がっている時です。ほんとは自信がない時に、人をおちょくるんです。ユーモアをはきちがえているわけです。そういう意味で、この本は大切なことを私に教えてくれました。醜い自分を映す鏡でした。

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2004.07.05

『一日一食断食減量道』 加藤寛一郎 (講談社+α新書)

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 おもしろい本です。私も実は2週間前から、この本に背中を押してもらって、一日一食を実践しています。結果は見ての通りです。って見えないか。非常に好調です。減量もスムーズですし、何しろ体調が以前とは比べものにならないほど良くなっています。体が軽いのです。ここ数年…といっても20年くらいになりますが…慢性的なかったるさを感じてきたのですが、すっかり元気になりました。そして、何といっても、気持ちが前向きになるのです。著者も書いていますが、たぶん生存本能でしょう。何事にもアグレッシヴになります。
 基本的に、夕食だけ食べたいものを食べたい量だけ食べよ!という本なのですが、自身のリアルな体験談(ほとんど失敗談)や、なぜかデパ地下試食のススメにまで、話が発展(?)し、結局人生の楽しみ方の指南みたいになっています。
 聞くところによると、著者は世界的に有名な航空工学のセンセイ(元東大名誉教授)らしいのですが、全然そういうアカデミックな感じがしない味のある文章を書きます。こういう生き方好きですね。
 1日3食欠かさずっていうのが世の常識ですよね。しかし、その根拠は全くないようです。そういえば西医学(西式健康法)でも朝食の弊害が強調されていますよね。私も著者の気合いをまねて、自分の体で実験してみます。

およそ1年後…一日一食経過報告

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楽天ブックス 一日一食断食減量道

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2004.07.04

十文字美信 「ポケットに仏像vol.1,2」 (新潮社)

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 絶版になった本ばかりおススメしてすみません。でも、この本もすごいですよ。立体視できる仏像写真集です。何としても復刊させなくてはなりません。
 十文字さん、本職は広告写真家だと私は認識していますが、その独特の感性と行動力が、コマーシャルの領域からはみだすことが多くあります。この写真集もその一つでしょう。
 今から10年前、この本を買った時は、正直ぶっとびました。そして、罪深い気持ちになりました。だって、目の前に現れる立体的な仏様たちが、妙に色っぽいんだもん!十文字さんの意図もそこにあったと思われますが、私はそのたくらみにまんまハマってしまったのでした。当時ステレオ写真マニアだった私も、こういう表現があったか!と、さすがに目からうろこが落ちる思いになったことを記憶しています。
 今日、偶然NHKの新日曜美術館で十文字さんの展覧会の情報を見ました。今回のテーマは「滝」でした。いや、いわゆる滝ではなく、落ちる水を超高速シャッターで撮影したものでした。千住博さんの滝の絵は、御自身の感性の中で超高速シャッターを切ることによって、落ちる水のある瞬間を捉えたものでしたが、十文字さんの写真は、それをホンモノの滝から抽出したのです。驚くほど両者のエネルギー感が似ていたので本当にビックリしました。お二人とも発想からして我々とは違います。

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2004.07.03

マリア・シャラポワ ウィンブルドン2004

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 今日の感動はこれでしょう!いい試合でした。杉山戦あたりでは…17歳だし、かわいいし、応援しちゃおうかな…なんていうオヤジ丸出しの私でしたが、試合が進むにつれて私の邪念は純化され、最後には、彼女と一緒にガッツポーズするまでになっていました。
 それにしても、彼女の集中力、いったい何なんでしょう。試合後の表情からは考えられません。神々しさまで感じてしまいました。とんでもない才能てすね。そして、それこそとんでもない努力をしているのでしょう。
 テニスの試合というのは、1対1のスポーツの中では、特に長時間にわたるものですよね(今日の試合は1時間半で終わりましたが)。そういう意味では、なんか囲碁や将棋を見ているような感じもしましたね。お客さんの雰囲気も、ちょっと特別ですし。全体の空気感は、以前ビデオで見た剣道の7段のおじいさんどうしの試合のそれに近いと思いました。つまり、テニスというスポーツはスポーツではないのかもしれません。長いことオリンピック競技にならなかった何かがあるのだと再確認しました。道なのかもしれませんね。いや、そのわりには、無礼な選手もたくさんいましたねえ。
 まあ、とにかく、とんでもない選手が出てきました。技術、体力、精神力、若さ、アイドル性…今後の活躍に期待しましょう。

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2004.07.02

至宝の風 (扇子です)

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 貧すれば鈍する…いくらキレイゴトやリソウを言っても、結局はオカネがたくさんあればいいなあ、と思います。しかし、札束を扇子がわりに涼を取るなんてのは、また夢の夢ですな。とあきらめていたら、なんと実現しました。
 写真をよ〜く見て下さい。なんと1万円札20枚で作った扇子です。福沢諭吉さんが20人、私のために風を送ってくれます。なんとなく、普通の扇子よりもリッチな風が吹いてくる気がします。いやあ、極楽極楽…なんて、誰も信じませんよね。
 実はこれ、2980円でした。もちろん本物の札束を張ってあるワケなどありません。よーく出来た印刷です。裏側もリアルそのもの。こんなものを販売していいのかという気もしますが、販売元によれば、日本銀行と警察の許可を取っているとのこと。なら、いいのですが、ホントかなあ。ちょっと心配です。たしかに実際の万札に比べると小さめなのですが、その他の点については、ほとんど完璧な複製です。お札はコピーを取ってもいけない、と聞いた気がしますし、赤瀬川原平さんが精密に模写(!)して、裁判にまでなったと記憶していますが…。
 しかし、冷静に考えると、ただの扇子としてはかなり高い!こんなもの買ってる自分って。カミさんが怒ってます。

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2004.07.01

『学力があぶない』 大野晋 上野健爾 (岩波新書)

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 ずっと読まなくちゃと思っていたのに、結局今日まで読まずじまいだったこの本。来秋の研修での発表に備えて(しかたなく)読んでみました。
 基本的に対談本なので、あっという間に読み終わってしまいました。たしかに納得いく話、満載でした。特に、冒頭の東海正之さん(ヴァイオリンの先生)の教育法に関するところ、共感することが多くありましたね。まあ、楽器の先生と学校の先生を一緒くたにしちゃいけませんが。私は恐れ多くも両方をやらせていただいてますので、それらをつなぐ大切さと難しさを分かっているつもりでおります。
 こういう教育論や朝日の教育記事を読んでいつも思うのですが、教育について一家言持っていらっしゃる大学の先生方、1年でもいいので現場で働いてみてほしいですね。おっとこれを言っては大人げないか。評論家には誰でもなれますし、なっていいのです。私たちもプロですから、そういう批評に耳をかたむけることは大切なことです。自分も音楽や映画やお笑いや車や電気製品や…つまり自分の専門外全てについての立派な評論家ですし。
 それにしても、学力低下だ、漢字が書けない、とか言ってる矢先に誤字(誤植)があるのには、大いに笑わせていただきました。初版本ならではですね。collect errors行きです。

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