2017.02.21

仲小路彰 『夢殿の幻〜聖徳太子の救世悲願』より「甲斐の黒駒」

Th_20101004100221 和の天才、いや人類史上最大の天才の一人と言ってもよい、歴史哲学者の仲小路彰。今、その思考と活動の全貌が明らかになろうとしています。いや、知れば知るほどその深さ、広さに全貌が見えなくなってしまうというのが正しいかもしれません。
 群盲象を撫ず。もうどうしようもないほどのスケールですので、群盲の数を無限に増やして、なんとか全体像を輪郭だけでも把握しなければなりません。
 とにかく感じるのは、一部の少数の人が、自分の立場だけで彼を解釈すると、大きな間違いを起こすということです。あまりにその言説が多様なので、ある意味都合の良いところだけを取り上げて、一つのストーリーを作ることができる。これは仲小路彰研究の陥穽であると思います。
 さて、膨大な仲小路の著作物の中でも、ひときわ強力な光芒を放っているのが「聖人伝シリーズ」です。
 釈迦、孔子、ソクラテス、イエス・キリスト、マホメット、聖徳太子という六聖人の未来的本質を示した戯曲調の文章群です。
 中でも白眉は、そうした世界の聖人の思想を融合した聖徳太子について書かれた「夢殿の幻」。これについては、以前こちらで少し紹介しましたが、このたび改めて読んでみました。
 その中で、富士山麓に住む者として、特別な感慨を覚えた部分があります。今日はそれを活字化して紹介いたします。
 山中湖畔に住み、富士山を未来の地球平和の象徴として観じていた仲小路彰ならではの内容です。地元に濃厚に残る徐福伝説などにも触れながらの、実に味わい深い文章となっております。弥勒の世という言葉も出てきますね。また、須弥山(シュメール)と富士山を重ね合わせているところも、仲小路彰らしいと言えましょう。
 では、どうぞお読みください。

 第四章 甲斐の黒駒

 朝に夕におよそ十年の間、休むことなく太子の愛馬、甲斐の黒駒は、おだやかに広がる飛鳥野をわが主太子をお乗せして、いともまめやかに蹄の音も高く、元気にかけめぐった。
 ある時は春のやわらかな微風のように、花々の間を黒々と毛並を光らせながら走りゆき、ある時は、すさまじい雷光の下をとどろきわたるいかずちにも負けず、その速さを競った。
 冴えわたる秋の月光をあびながら、もの思いにしずまれる太子を、いささかも揺がさぬようにしずかに足を運び、また吉野おろしに道も白く、いてつく上を決してすべらぬ、たしかな足どりでま冬の朝をかけすぎた。
 道のほとりの人々は、いつも太子を拝すると同じく、その黒駒を何よりも親しく送り迎えして、折々のさまざまな好物を馬にささげることもつねであった。
 太子のいますところ馬はあり、馬のいななきが高らかにひびけば、尊い太子のお姿が、人々の眼に何よりも喜ばしげに映じ出された。
 かくもけなげに忠実にお仕えする黒駒を太子はこよなく愛されて、もし季節の変り目に何か馬に異常があり、食のすすまぬ時があれば、太子はそれこそわが身の病い以上に案じられ、その回癒を切に祈られた。
 夜にあっても、時には厩戸を見廻わられ、いかにも御名にふさわしい馬への深い因縁の愛情を示された。
 かくて愛馬は太子のあつい信仰のままに、さながら霊の翼ある天馬と化して、空をしのぎ、雲を分けて天翔りゆくかと思われるほどに成長した。
 いかなる時にも黒駒は、太子をしたって高らかにいななき、そのひづめをひびかせて、太子をお待ちしていた。
 夢殿の夜は、まことに静かで、かなりへだたった厩戸の音が、かすかにひびいて来ることもしばしばである。
 ふと太子は、さえさえとした月光の中に、黒駒のつややかなたて髪と、そのつぶらな眼があさやかに光っているのを見られる。
 太子は軽やかに馬上の人となられー「さあ、行け」と凛然としたお声をかけられる。馬は、いかにもうれしげにその首を動かし、耳を立てて一散に走りゆく。たれもお供する者もない。大和三山は黒々とまなかいにあって、みるみる小さく去ってゆく。
 もはや地上を走るのではなく、さながら天上を風のように天翔ける如くである。山を越え、森をすぎて、河は白々と流れる大和の山河を一瞬にかけ去って、今やはたしもない海の上を雲とともに飛んでゆく。
 長い海浜に打ちよせる波は、白い糸となって連なり、星々は天上の音楽を奏でるかとま近にきらめく。
 はるか彼方には、かぐろくも山脈がさまざまな陰影をもってそびえ立ち、その大いなる自然は、いかにもわが国のたぐいない美の世界を展開している。
 まことに、これこそ地上の楽園であり、そのままが寂光の浄土であると、太子は讃美せられる。ー黒駒よ、汝の故郷はどこか、甲斐の国は、ーいかにも黒駒はそれを知るように、ひたすらに東北への道をひたかけりゆく。
 まさにその時、とうていこの世ならぬ荘厳な須弥山さながらの姿をもって、わがあこがれの富士の霊峰が、あのように鮮やかに鎮もっているのを、太子は展望される。
 しかも東の空は、ようやくほのかに曙の光を予兆するかと白みはじめる。ただ蒼茫たる未生の海原も、たちまち多彩な光のまんだらを現じはじめる。その光は、まさしく霊峰の上にかがやき、永遠の雪は神秘な赤に燃えはじめる。
 天も地も富士によって一つに結ばれ、一切は、その神の峰によって、目さめゆく。まことに天地の別れし時を再びここに相結ぶ、この一刻である。
 その麓には、ほの白く富士川はめぐり、それをさかのぼる所、わが黒駒の故郷の損するのか、今こそ一きわ高く愛馬はいななく。わが故郷はここにありと、心をこめて叫ぶごとく ‥ ‥
 これぞ神のいます聖なる峰か、美しく木花咲耶姫の舞い舞う万古の雪をいただく、白き峰か ‥ ‥
 ようやく山をめぐる霧は限りなく開け、その間に点々と光る首飾りの宝玉の如き湖のつらなり、あれこそが常世の神と称せられる神の姿か、緑なす森の中に生れし神の蚕と云われるものか、これを祭れば老いたるものも若さにかえり、いかに貧しきものも、幸ある恵みをうけるとされる信仰であるか ‥ ‥
 けれど常世とはどこであろうか。それはもと黄泉国とされたものではなかったか。そは死の国であり、死とは何であるか。ここに死を越えるものへのあこがれとして、不老不死への悲願がある。
 さればこそ、かつて、かの大陸の秦始皇は不老不死の妙薬を求めて、徐福らを東海の神仙の島に送ったとのことが司馬遷の「史記」に見られる。
 ついに彼らは帰らなかったが、あるいは、このあたり絹と光る湖のほとりに安住したのであろうか。
 この神の山の麓にこそ、わが夢に見た浄土の地か、常世とは、不死の国、そは弥陀が極楽浄土とされた仏国土か、さらにこの富士のあたりこそ次に来る末世の後の弥勒の世の現ずる地なるか、やがて果てしなき戦乱の世に、ここにこそ果してとこしへの平和の訪れるあたりか、まさしく富士への信仰は弥勒の信仰とともにあるのか。
 弥陀が念じられた須弥山とは、まさしくここ富士の峰か、我もまた徐福の如く、この山麓に、わが愛する黒駒を心ゆくままに走らせて寂光土をここに現ぜんかなーと太子は、明けゆく秀麗な大自然の中を御夢とともに限りなくかけめぐられたのである。

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2017.02.20

遠藤賢司 『カレーライス』

 の中でラジオを聴いておりましたら、「エンケンさんを紅白に!」ということで、大友良英さんが純音楽家遠藤賢司さんを熱く紹介しておりました。
 ああ、私もなんだかんだ言って、エンケンさんをここのところ忘れていたなと。何かが足りないと思ったら、やっぱりエンケンさんだったのか、という感じで家に帰って懐かしく何曲か聴きました。
 今年70歳になられ、またご病気だとうかがっていましたが、全くそのパワーは衰えることなく活躍されているようで、少し安心もいたしました。
 まあ、いろいろ名曲がありますが、やっぱり結局「カレーライス」かなあ。ラジオで大友さんも言ってましたが、毎度違うんですよね。
 それにしても、この自由さ。リズム、コード、音階、構成。今生まれたばかりのエネルギーがあるので、全然不自然に聞こえない。かっこいいですね〜。
 そうか、猫の自由さだ!これは。猫の自然さだ。
 たしかに紅白に出てほしいかも。猫と三島由紀夫とともに日本の音楽界にカツを入れてほしい。カツカレー!(笑)
 

遠藤賢司秘宝館

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2017.02.19

天才チェリスト…ERNST REIJSEGER

 日紹介した『バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る』に名前が出ていて初めて知ったチェリスト。
 ビルスマの弟子ですが、ビルスマの手には負えなかった…なるほど、彼の演奏の動画を観ると、たしかにこれは ビルスマを超えている(ところもある)。
 私はジャンルレスな人間なので、こういう音楽家大好きです。ついていけない人もたくさんいると思いますが(笑)。
 いやあ、まだまだ知らないミュージシャンがいるなあ。たくさん貼っておきますので、とにかく観て聴いてみてください。
 5弦チェロも弾いていますが、これは低弦を加えた楽器のようですね。やっぱりこれからは5弦の時代だ!?

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2017.02.18

東芝 dynaPad N72

Th_61m52jkjrhl_sl1000_ 芝さんがヤバイ。パソコン部門も規模縮小という話が。
 そんなわけで、東芝さんの最後の(?)頑張りの成果である、このタブレットを中古で手に入れました。本来ならキーボード・ドックをもついている、いわゆる2in1ノートパソコンなわけですが、私が買ったのはタブレット部だけ。
 もともとタブレットとしてしか使わない予定でしたから、それで充分。
 今、いろいろな文書をスキャンしていまして、それを自分で見たり、人に見せたりするのに、大画面タブレットがほしいなと思っていたところ、安くでちょうどいい中古が出ていたので即買いしました。
 非常にいいですよ。Windowsタブレットを二つ目なのですが、この12インチサイズは実に使い良いですね。ほとんどB5サイズくらいになりますから、スキャン画像を見るにも見せるにもちょうどいい。
 そして軽いのがいいですね。なにしろ、このタブレットのコンセプトは紙と鉛筆ですから。ワコムと共同開発のペンもいい感じの書き心地で、本当に紙と鉛筆感覚で使えます。
 そして、なんといっても東芝さん独自のアプリ群がなかなか優秀でよろしい。手書き文字の認識、また写真(キャプチャ)した文書のOCR機能も精度が高く、これから多くの文献の整理に際して、非常に役に立つであろうと思われます。
 東芝さんに限らず、かつて栄華を極めた多くのメーカーさんが苦しんでいます。日本の「ものづくり」の伝統復活に期待をしたいと思います。職人芸、匠の技の粋を集めた製品、世界中から憧れられる高品質な製品の登場を願います。

Amazon 東芝 dynaPad N72

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2017.02.17

『大川隆法の霊言―神理百問百答』 米本和広・島田裕巳 (JICC出版局)

Th_81mbxx8vll こそ復刊を願う名著(?)。
 今から25年前の本ですが、基本的なことは何も変わっていませんので、ぜひとも皆さんに読んでいただきたい。
 「〜の霊言」シリーズのパロディで、大川隆法自身の守護霊を降ろしてしまった本。本人のホンネが聞けて実に面白い。
 私の、教団、教祖に対する考え方も四半世紀前から変わりません。申し訳ないが笑ってしまう。しかし、それがこうして生き残り、成長し、ワイドショーネタとなり、政治ネタとなるというのも事実でして、それは私が研究している大本、出口王仁三郎についても全く同じことが言えます。
 昨年、歴史学者の伊藤隆先生にお会いした時にも申し上げましたが、私はそうした民衆の裏の歴史に興味があるのです。なぜ、こんなバカげたこと、嘘っぱちに民衆は踊らされ、そしてその影響もあってか、政治家や実業家、軍人や皇室までが動かされ、事実としての歴史を紡いでしまうのか。
 そう、ある部分では「笑えない」わけですし、もしかすると、向こう側の世界が正しくて、こっち側が間違っているのかもしれない…。
 そういう可能性も含めて、私は宗教に対しては常に冷静でいたいと思っております。いちおうかつて新宗教研究会の会長でしたし。 今は「地獄で会おう会」会長(笑)。
 そう、だいたいの宗教は「天国」「極楽」を目指し、「地獄」に行かないためのものですから、「地獄で会おう会」に入っていれば、絶対に宗教に勧誘されることはありません。最強でしょ(笑)。
 この本では、やはり仏教のほかに、やはり出口王仁三郎や高橋信次の影響が語られています。まあその通りでしょう。現代の新々宗教で両者の影響を受けていないところはありませんよ。
 そのあたりにかなり詳しくなってしまっているワタクシ、おそらく「教祖」になるくらい簡単にできます(笑)。しかし、できるけれどもやらないところが、私の信仰心なのです(なんてね)。
 ところで、昨年公開された「金正恩の霊言」ですが、なんだかこれを聴くと金正男暗殺もさもありなんという感じですよね。なんだかんだ言ってトランプ当選も予言しているし、やっぱり大川隆法先生は、ワタクシと同じくらい立派な霊能者のようです(笑)。

Amazon 大川隆法の霊言


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2017.02.16

ターニャ・アニシモヴァのチェロ版シャコンヌ

J.S. Bach, Chaconne (arr. Tanya Anisimova)

 日はビルスマの無伴奏チェロ組曲を紹介しましたが、今日はちょっと違うタイプのチェロによる無伴奏をどうぞ。
 チェロでバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを演奏する人はけっこういます。
 一つのパターンとして、(私がヴィオラでそれを演奏するように)、5度下げてある意味原曲どおり弾く方法がありますね。
 その場合、ヴィオラならまだしも、チェロだと運指が大変です。ヴァイオリンで手がつりそうになるのに、チェロだとほとんど人間の現界に近い指の形を要求されます。
 昨日の記事にも出てきたビルスマの本にも、ヴァイオリンでいまいちな奏者がチェロに回ってくることがあって、そのためヴァイオリン的な運指でそのまま演奏したことがあったというようなことが書いてありました。ヴィオロンチェロ・ダ・スパラなんかそういう事情で重宝されたんでしょうね。
 しかし、このロシアの女流チェリストは違います。かの有名なシャコンヌを原曲通りニ短調で演奏しています。彼女自身によるアレンジ。
 いやあ、これがカッコイイのなんのって(笑)。ロックですねえ。これは演奏スタイルとかそういう細かいことは抜きにして、本当に魅力的な音楽演奏のあり方だと思いますよ。細かいミスもありますが気にならない。
 やっぱり音楽はヴィジュアルも重要ですね(笑)。こんな美しいご婦人が、こんなに荒々しく、激しく、そして時に瞑想するようにバッハの音楽を構築していく。
 技術的には、実に近代的、現代的な運指ですしボウイングですが、たとえばこれをバッハ自身が聴いたら、それなりに納得というか感動してくれるのではないでしょうか。
 そういう意味、すなわちバッハの想定外の事態としては、こちらで紹介したヴァイオリン一本で演奏する「大フーガ」なんかもスゴイですよね。理屈なんか抜きで、人間ってすごいなって思います。
 私、このターニャ・アニシモヴァというチェリストのことは全く知らなかった。なかなかいい奏者ですね。
 様式無視だけれども(笑)、ものすごくいいなと思ったのは、このロカテッリのチェロ・ソナタです。原曲はヴァイオリン・ソナタ。この冒頭から連発するスピッカートは、実はオリジナルの楽譜にも指示があります。ヴァイオリン演奏技術の開発者としても有能だったロカテッリらしい。
 そんなロカテッリでも、これをチェロで弾かれたら驚きでしょうね。

 

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2017.02.15

アンナー・ビルスマ 『バッハ 無伴奏チェロ組曲』

 日紹介した『バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る』、バッハ演奏家(の端くれ)としては、本当にたまらない内容ですね。実際に演奏しながらビルスマの言葉にいちいち納得しています。もちろん私は5弦ヴィオラ(ガット弦@モダン楽器)で演奏しております(笑)。
 さて、その本の中でも紹介されていたビルスマの韓国でのライヴ動画。たしかにこうして聴く&観ると、実に自由な解釈ですね。
 若い頃のビルスマは、組曲が舞曲であることにこだわった風もありましたが、そうした立場とは明らかに違う境地に達していることが分かります。
 それにしても、このボウイング(アップ&ダウン)は古楽人からすると、ある意味ショックですよね。私には無理です(笑)。特にヴィオラだとすると本当の意味でアップとダウン、すなわち引力に抗うか従うかの力学的違いが明確になりますので。
 最近は私もチェロをよく弾きますが、たしかにチェロだとあまりアップとダウンにこだわらなくても、同じような表現ができますね。
 結局のところ、モダン・ヴァイオリンやヴィオラの奏法というのは、そうした引力と私たちとの物理的関係性を感じさせない、すなわち「均質」な音が出るような方向に発達したということですね。
 私としては、やはり「歌」や「語り」が楽器の基本だと思いますので、ビルスマもこの本で語っていた「呼吸」、すなわち吸うエネルギーと吐くエネルギーによる「波動」が大事だと思いますので、やはり運弓にはこだわりたいと思いますね。
 私がこの動画のようなビルスマの演奏をテレビで観た時、そうしたことを無視したボウイングだと思ったので、大変ショックを受けた覚えがあります。
 しかし、この本を読んで、それは私のようなシロウトの次元とは全く違うところでの「選択」、それも必然的選択であったことが分かりました。いやはや、これだから古楽は面白い。
 そして、ガット弦の表現力の豊かさ、これは素晴らしすぎますね。やっぱり私はガット派だなあ。

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2017.02.14

論客面談 『橋下徹 vs 森達也・ケビン・クローン・古谷経衡』

 校生の「国語表現」の授業で使った教材。昨日の「橋下×羽鳥」内「論客面談」。
 ディベートの勉強をしているわけですが、その教材としてはなかなかいいですよ。橋下さんの討論技術は高い。もちろんそれは「ずるい」とも言えるわけですが、高校生くらいならこういう戦闘能力に興味を持ってもらいたいと思っています。
 橋下さんは誰が相手でも、「政治」という「現実」を振りかざして、「理想」すなわち「正論」を掲げる皆さんをいなしていく。つまり、相手の正論を正論だと認めつつ、その「理想」が持つ矛盾、すなわち「現実的(現在的)無理」を理由として反撃していく。
 結果噛み合うわけはないけれども、現実の観客(視聴者)には、橋下有利で終わったかのような印象を与えることに成功しています。
 これはある意味プロレス的な勝ち方であるとも言えましょう。本当にどちらが強いかというケンカとは違う。自分の立場を充分に理解した戦い方です。
 まあ、こんな番組のこんなコーナーを喜んで(?)引き受ける理由があるということですよ。お見事ですね。
 個人的には橋下さんの政策や各種発言には異論もありますが、こういうプロレス的な力は素直に敬意を表したいと思います。
 プロレスと言えば、森達也さんはプロレスの取材もいくつかしていますね。その内容にもプロレスファンとして賛否両論有るんですが、やはり森さんも自分の立ち位置の置き方は上手だと思いますよ。世間の常識を敵に回すというか、あえて裏側から弱者を支援するというか、その手法には徹底が見られます。私は嫌いではありません。
 そういうことも含めて、生徒たちが何かを学んでくれればと思います。
 ケビンや古谷さんはまだ若いので、森さんのような独特の立ち位置があまり感じられませんね。本人たちなりには頑張ってそれを確立しようとしていますが、まだ大衆の思考の域を超えていません。
 

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2017.02.13

PYRAMID 『The Best』

Th_91ykzzvwj2l_sl1425_ こ最近、家庭内で国産フュージョンがブームです。車での旅のお伴はだいたい国産フュージョン。
 私やカミさんにとっては懐かしい青春時代、あるいはバブル時代を思い出し心地よいし、子どもたちにとってはオシャレで新鮮な音楽体験となっているようです。
 本場のフュージョンもいいのですが、やはり日本独特の「分かりやすさ」がいいですね。子どもたちにとっては、のちのアニソンやゲーム・ミュージックにも重なってくるところがあるし、ホームセンターのBGM的な日常感もある(笑)。
 今でも現役バリバリのカシオペアやT−SQUAREはもちろん、高中正義、渡辺香津美、渡辺貞夫、MALTAといった大御所、さらにはスペクトラムなどの伝説のバンドも、今聴くといろいろ分かるところもあり、私も改めてフュージョンの楽しさを味わっているところです。
 さて、そんな中、古典的かつ最新のフュージョンと言えば、やはりPYRAMID(ピラミッド)でしょうね。元CASIOPEAのドラマー神保彰さん、元T−SQUAREのキーボーディスト和泉宏隆さん、そしてワタクシ的には松田聖子の「あなたに逢いたくて」の名アレンジでお世話になった(演奏させていただいた)ギタリスト鳥山雄司さんの三人が結成したピラミッドでしょう。
 特にこのベスト盤はいいですね。21世紀のフュージョン。技術は言うまでもなくセンスが抜群に良い。
 ベースがいないので打ち込みの曲もありますが、それはそれでうまく生かしてますね。未来的な音がしている。デジタルとアナログの融合としては最高の実例でしょう。
 葉加瀬太郎さんのヴァイオリンをフィーチャーしたラプソディー・イン・ブルーの動画をご覧ください。淡々と3人の演奏ぶりを撮しているのですが、それがいいですね。思わず見入ってしまいました。
 ぜひ新しいアルバムを!

Amazon PYRAMID 『The Best』

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2017.02.12

追悼 チャボ・ゲレロさん

 た往年の名プロレスラーの訃報が。新日本で藤波選手と、全日本では大仁田選手と死闘を繰り広げた実力派チャボ・ゲレロさんが68歳でお亡くなりになったとのこと。肝臓ガンだったそうです。
 チャボ・ゲレロさんと言えば、やはり上掲の大仁田戦でしょうね。試合後の惨劇には、当時テレビ観戦していた17歳の私も強烈な衝撃を受けました。
 結果として、大仁田選手はデスマッチ王という邪道に走ることになり、そして今でも現役で(今度は本当に引退するらしいが)頑張っています。
Th_d_09429040 そう、昨年8月にチャボ・ゲレロさんは来日し、そして大仁田選手とタッグを組んで、往年の得意技ジャーマン・スープレックス・ホールドで勝利してるんですよね。
 そんな新しい記憶もありましたから、この突然の訃報には本当に驚きました。
 上掲の試合からも分かるとおり、本当に基礎のしっかりしたいい選手だったと思います。体はそれほど大きくありませんが、パワーもあるし、スタミナもある。気持ちも強い。スーパーヘビー級にも真正面から挑む姿には、心から感動した覚えがあります。
 大仁田選手が回想するように、たしかに彼のような存在が、のちにジュニアの選手のヘビー級への挑戦という道を切り開くきっかけになったのかもしれません。そのことによって、プロレスは非常に幅が広がりましたし、新しいヒーローがたくさん生まれました(もちろんその半面マイナスもありましたが)。
 そして、この試合を改めて観ると、大仁田選手のレスラーとしての素質、センスの良さ(ある意味でのなさ?)を再確認しますね。今の姿と重ねることにより、ますますプロレスの深さというのを感じずにはいられません。
 今ちょうど日米の首脳が会っていますが、かつての因縁のライバルが、時を経て盟友としてリングに立つというのもまた、ある意味プロレスが歴史の象徴である、いや歴史は実にプロレス的であるということを思い起こさせてくれますね。トランプさんもプロレス人ですし。
 あらためてチャボ・ゲレロさんの功績に思いをいたし、ご冥福をお祈りいたします。


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